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討伐の終幕

「ヤバ! 切れるかも。」

 レアは不安そうに言いだした。

 すると暴れだしていた森の木々の根が元に戻りだす。レアの『森精霊魔魔法エルフエンチャント』が切れたと言う事だった。

 シュルシュルと小さくなった結界だが、それが無くなって姿を現したのは小鬼の群れだった。

「ぎゃ! ぎゃ! ゲェェェ!」

 そう奇声を上げながら小鬼の大群はレアたちを標的にじっくりと展開しながら向かってくる。


 レアは鞄から“魔力回復薬”のびんを飲み干すとそのまま瓶を投げ捨てる。

「レアちゃん、もう一度、行使できるかい?」

 ナルは敵をにらみながらそう言った。


「無理、まだ魔力が回復しない。それにあの魔法は少し時間を開けないと、逃げ出すだけの魔法は行使できない。」

 レアも苦しそうな顔をした。

「しょうがないねぇ。ここは私とナルたちが抑えるから、レアは魔法行使まで休んでな。」

 ナルは男前に命令した。

 その命令にレアは「わかった」と言ってきびすを返し、結界を貼り、術式を展開し自然エネルギーを魔力へと変換させるために集中する。


2人はレアを邪魔をさせまいと、激しい戦闘に入った。


 アデルは避ける、避ける、転がる、転がる、また立ち上がる。そうして何とか小鬼将軍の攻撃をしのいでいた。

 敵は愉悦して攻撃していた。圧倒的優位に喜び自分で造った武器を振り回し叩きつけていく。

 横に、上から様々な角度でアデルを襲う。ソレを紙一重でかわしながらアデルは小鬼将軍に接近していた。

 本当に少しずつだ。


 また巨木の一部がアデルの頭の上を通過する。

「糸が鞭みたいにしなやかだ。あと少しで完成する。」


 と、敵の特殊能力である『蜘蛛の糸』の強度に思わず独り言の暴言を吐いた。

 いつもは冷静なアデルだがさすがに防戦一方だと心が抑圧されて言い訳のような言葉の1つでも言いたくなるものだ。

 そうは言ってもアデルは悪態をつくだけでは無い、冷静に計算も同時にしていた。機を窺うかがっている。

 先ほど彼女を助けた時にその技で蜘蛛の糸が切れると確認していた。


 すると後ろから巨大な物体が小鬼将軍小目掛けで飛んでいった。

 それに気がついた小鬼将軍は振り回している大剣をその物体に叩きつけ迎撃し、真っ二つにした。


[ドオォォォン!]――と音が鳴り響く。

 その物体は先ほどまで土蜘蛛と戦っていた蜘蛛小鬼だった。ちらっと目を向けると土蜘蛛はタバコを吸いながら、暇を持て余していた。

 小鬼将軍は先ほどの攻撃をして立ち止まっていた。


 アデルはその瞬間飛び出した。

 葉が姿を隠し、一気に小鬼将軍との距離を詰めると、黒炎を鞭に纏い、そしてそのまま小鬼将軍に打ち付けようとする。


「死線が見えた!一気に畳み掛けるぞ!」


乱撃黒炎鞭衝打アタッコ・バァルファ・フェルミィーチェ


「ギャァァァァァァウ!」

 悲鳴を上げる小鬼将軍。アデルから距離を取ろうとするが、黒く燃えている脚がうまく動かせない。


「ココだぁぁぁぁ!」

天無明戟鞭タルボ・ディアラ・フェルミィーチェ


 そう叫びながらアデルは肉体強化魔法を使い距離を詰めて、連続乱打を繰り出した。


 だが、小鬼将軍は反撃とばかりに右手を出して蜘蛛の糸を放射状に飛ばそうとする。アデルは反撃させまいとさらに速く振るう。右手を斬り落とされる。


「もっと速く!」


 鞭は生きてるかのように、小鬼将軍を切り裂いていく。叫び声が響く中、アデルさらに加速させる。


王手チェックメイトだ!」

《影魔法》『影薔薇シャルドア・メルシェ


 すると小鬼将軍の傷から影で象られた薔薇が咲き始めた。


「ギュウアアアアァァァァァァァ………………」

 小鬼将軍が悲鳴を上げた。

 と同時に地面に倒れ込んだ。正確には地面に押しつけられたと言う表現が的確かもしれない。

 アデルがそのまま小鬼将軍の背中に着地していたのだった。

 地面に倒れ込む時に鈍い音と共に何かが砕ける音もした。

そして影薔薇は小鬼将軍の肉体を吸い取り消えて行った。


《精霊殲滅魔法》【無窮散花テュール・アルファベート


レアの精霊魔法が発動し、一帯の小鬼たちを殲滅したのを確認すると、体力が尽きたのかアデルは倒れてしまった。


イツキと小鬼皇帝との戦いはすぐに終了した。幻覚を見せるが、耐性があるのか正気に戻り、魔法砲を放つが金閣の防御妖壁が発動し、跳ね返されそれを受けてしまう。態勢崩した皇帝は銀閣による重力による拘束を受け動かずにいるところを首を刎ねて殺した。



【……んぁ?終わったぁか?じゃあ殺ろうか?】


暇してた土蜘蛛は吸っていた煙管を仕舞うと、土蜘蛛は嬉ろうな声を上げてイツキに襲い掛かる。イツキはため息をついて、刀を土蜘蛛に向けて殺した皇帝の上から飛び降りる。

 そして、そのまま横に移動して……。上段に刃を構えた。


[ドン!ドン!ドン!]

 と、激しい音を出しながら、土蜘蛛とイツキは戦っていた。

縦横無尽に動き回る2人の戦いにアデルたちは手を出せずに見ているしかなかった。

この戦いは数時間続いてようやく終わりを迎えた。お互いに傷だらけで重症だった。土蜘蛛は満足したように帰って行った。

イツキは刀を仕舞うと、アデル達の元へ戻って行った。

小鬼皇帝討伐は終わりを迎えた。死者は出なかったものの、マリア、フレイ、グレンは瀕死の重症だったがコウガが治してくれてら全治3日くらいまで抑えることができたようだ。

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