戦闘開始I
イツキの号令と共に後衛から曲線を描き弓矢が飛び交い、“魔法の矢”も飛び出す、“火炎弾”、“風刃弾エアーシェル”、“岩石弾”、“爆発”、“土槍刃”、各々が得意にしている魔法が飛びかう。
突撃して来る小鬼の群れに直撃した。かと思えた。
小鬼集団の前に盾を持った小鬼集団と盾王小鬼が現れた。魔法や矢を盾に魔法陣が浮かべ、それをすべて弾いた。
「そんなにうまくいかないな。前衛組は散開し、各個撃破に移れ。マリアと魔法隊は盾持ち小鬼を撃破に移れ。行くぞ。」
イツキの言葉に他の冒険者たちが動きだした。隣にいたイロハもやる気のようだ。イロハに気をつけることを言い別れた。
「さて俺もやりますか。」
イツキは鬼雷桜を抜いて駆け出した。
《天音流讀式》【天舞陽炎】
《二式・改》【韋駄天・壊廻】
小鬼集団のど真ん中に飛び込み周りながら揺らぐ刃を振るう。避けた小鬼たちだが、突然首が飛び絶命した。高速に振るう刃が遅く見えたと錯覚に避けたと勘違いして屠る技。
続けて回転しながら立体軌道を描くように動き、切り刻んでいった。
炎符【鬼火】
雷水符【雷津波】
札をばら撒くと鬼火が出現して小鬼を燃やしていき、津波を起こして、獣鬼たちを溺れさせ感電させる。さらに鎌鼬を発生させて斬っていく。
《オン・マドカ・ソワカ・ナル・ソワカ
百鬼を退け、喰らいつくせ。オーダー》
「金閣・銀閣・白銀」
3枚の札に呪文を唱え、妖力を流す。そこから三体の狐が現れた。
「久しぶりね。イツキ。見ないうちに強くなったようね。」(金閣)
「けっなんか用か?人間。」(銀閣)
「それで要件は?」(白銀)
「要件はあいつらを倒すのを手伝って欲しいんだ。」
「あの鬼たちね。」
「へっあんなくらいお前だけでやれるだろ。手鈍ったか?」
「あの数だ。イツキたちだけでやれっていうのも酷なものだ。」
「んだよ。お前から喰ってやろうか?」
「やってみろ銀閣。」
「はいはい。2人とも喧嘩しないの。いくよ。」
喧嘩が始まりそうな2匹を金閣が宥めて小鬼たちに向かっていく。その方向から叫び声と笑い声が響き渡った。
ー振るえ六道ー
修羅道【嵐雨撃退の棍棒】
凹凸がある棍棒を持ち小鬼に振うと、内部が弾け吹き飛んだ。さらに振うと、洪水が起きて溺死させた。槍を持った王種が現れると素早く移動して膝を砕き、振り回した棍棒を叩きつけて殺した。
「さてと戻れ六道。まだまだへらねぇな。」
イツキは減らない小鬼たちを見ながら倒していった。
そして魔法の行使で率いるマリアと冒険者の目の前は土埃にまみれていく。
暫くするとまたも奇声が聞こえてくると大量の足音が聞こえ。
―― その土煙の間から小鬼の群れがウジャウジャと飛び出してくる。
「大砲、放て―――――!!」
マリアは次の命令を下す。
冒険者の陣形の両脇から大砲が轟音を上げて放たれた。
[ボゴオオォォォン! ゴオオオォォン!………]と、激しい音が戦場に響き、小鬼達の陣形を斜めにえぐる砲弾が行きかう、地面に着弾して土と小鬼達の身体を空中に舞いあげた。
辺りには血と火薬の匂いが充満する。
その攻撃で小鬼達の突撃の勢いが弱まったが、盾持ちにだんだんとイラついてくるマリアたち。
しかし、すぐに「ギャ、ギャウ!……」と、一回り大きい小鬼が声を上げると、周りにいる小鬼が再び奇声を上げて反応している。
ツンと来る匂いの向こう側に、まだ大量の小鬼達が奇声と怒声に近い咆哮を上げながら再び纏まり始め……冒険者の陣地に突撃を開始する。
マリアは荷電粒子砲に切り替えて撃つが、威力が弱かったのか盾持ちにはいまいちだった。さらに違う弾に切り替えてようやく盾を破壊することに成功した。
タイミング良く第2撃目の遠距離攻撃を決めて、最高の先制攻撃を決めたマリアだったが、彼の顔は晴れやかでは無かった。
(ちくしょう、数が多すぎる、それになんだ…獣鬼まで居るし、厄介なのは盾持ちだ。何の術式が込められているのがわからないが相当な強度だぞ。)
心のなかで誰にもばれないように盛大に悪態をついて彼は命令する。
「お前達! 最高の『開戦の狼煙』だったな! このまま一気にいくぞ!」
マリアは大声を出し、仲間を鼓舞する。
「前衛が頑張っている。中衛は敵を漏らすなよ、しっかり後衛と砲手を守れ!」
マリアが流星弾を装填して放つと、空中で分裂した弾が次々と小鬼たち、盾持ちたちを貫いていくが王種はまだ健在であった。盾王は盾を前に突き出して術式を展開させる。マリアは咄嗟に骸福を防御形態へと移行させて、盾から放たれた膨大な魔法砲が抉りながらマリアたちに向かっていく。マリアはそれを防ぎきるが魔力を相当失ってしまった。息を切らしながらも2丁の銃へと変形させて盾王を見るマリアであった。




