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災害暴獣級の依頼

 そのら翌日登校し、教室に入った瞬間いつもの様に騒がしい感じがしない、全員が混乱している感じがした。


(なんか変だぞ? いつもと違う)

イツキは思っていた、隣にいるイロハも同様に不思議がっていた。

 全員が浮足立っている感じだった。

 イツキは辺りを見回すとマリアとコウガが、なにやら真剣な顔をし話していた。

 近づいて行くとイツキは声を掛けた。

「おい、何かあったのか?」

 2人はイツキの声に反応してこちらを向いた。

「あぁ…お前らか。えらいことになったそうだ。」

 マリアは渋い顔をしてそう言った。

「どうしたんだ?“えらいこと”って?」

「未確認なんだが、ギルドの隠密部隊からの情報なんだが『小鬼皇帝ゴブリンカイザー』が出たらしい、念話で《緊急の依頼》と来たからその為慌てているんだよ。」

 マリアは説明してくれた。


「はぁ?」

「えっ…嘘。」

 イロハとリカが驚いた顔をしてそう言った。


小鬼皇帝ゴブリンカイザー』、その存在は冒険者組合にとって非常に厄介な問題だった。

 通常の小鬼は害獣と呼ばれ倒しても、食べられず、畑の肥料にもならない正に害だけの存在だった。集団で襲ってくる小鬼の被害にあう事もある、それに畑も荒ささえ、作物にまで被害が出る事も起きていた。 

 武器も持っている小鬼による死亡も毎年確認されている。

 集団で人を襲い、被害も出し数も多いのが通常認識されている小鬼の特徴だった。

 ある程度熟練した冒険者にとって小鬼とは雑魚に過ぎない、力も無いし、身体も小さい大抵5~7匹前後の集団を作って襲ってくるが、頭が悪い為、殆ほとんど戦術と呼べるもモノは使えず、ただ闇雲に武器を叩きつける存在だった、冷静に対処すれば危険は少ないと思われる相手だった。

 それに魔物ランクもFランクで下位の存在。10匹程度出た所で問題は無いが……。


『小鬼皇帝』が出ると話は違ってくる……コイツは小鬼達を纏める存在だった。

 通常の上位小鬼の何倍も強く、素早い、知恵もあり、何より統率力がある。

 その統率力が問題だった、……集団で纏まる力も強く、過去にゴブリンキングがまとめた集団の数は最高で7000匹、さらに指揮されて行動する為厄介な存在になっていた。

さらに王様、剣帝、盾王、弓矢王などさまざまな王をも従えている。それを考えると数は万をも超える。

 当時の被害は村が3つ全滅と町が1つ半壊する程の被害が出ている。

 数の暴力は恐ろしい程の力を産んだ。

その小鬼皇帝が魔人騎(魔王軍)に属しているのであれば災害級となり、ランクはA…いやSSを超えてくる。【皇】ぐらいしか相手どれない。


 その為、ホルンの町の冒険者ギルドでは不確かな情報から、正しい情報をすくいあげ精査している最中だった。

 もし、本当なら急いで対策を練らないと被害が拡大していくからだ。


 現在、俺たちは、ギルド【夜桜】本部へ移動し、大広間にこの都…いや全ギルドにいる冒険者に緊急招集が発せられ、冒険者全てが集まっていた。

 ギルドマスターのクリスがギルド職員と共に受付台に並んで今回の報告を行った。 


「全員、もう知っているかもしれないけど、この王都の南西の村が小鬼皇帝とその集団によって壊滅したと報告がありました。」


 クリスがそう静かに告げるとその場にいた冒険者達はざわつき始める。

 危惧された事が現実に起こったからだった。

 イツキたちはクリスの話に耳を傾けていた

「前回小鬼王が出現したのは12年前、王都がまだ町だったころ…つまりここで、迎撃したと記録には残っています。今回も進行してくる方向からホルンで迎撃すると王様からの依頼です。規模は未確認ですが1万匹程度、予想到達日数は3日後です。」


 淡々と持っている資料を読み上げていくクリス。

「ちょっと待ってくれ、今回はホルンで迎撃だと聞いたが王国軍の軍団は来ないのか?」

 1人冒険者が声をあげた。


「もう、せっかちね、そこは説明するから……、王国軍は精鋭騎士300人出す予定です。その為今回の依頼はCランク以上の冒険者チームに依頼をお願いする形になります。低ランクは依頼禁止でDランクからは任意という形を取らせてもらいます。報酬は依頼板に張り出しますので後で確認をしてください。」


クリスはそう言って報告を終了した。

 そして、冒険者を見渡すと最後に……。


「最後におねがいがあります。この街を…住んでいる人を助けてください。お願いします。」

 そういって頭を下げるクリス。


 暫しの沈黙と激しい嫌悪感が辺りを包むと……。

「俺、この町出ようかな」、「リーダー、河岸かしを変えません?」、「さあ、寝るか」などやる気の無い声が聞こえてくる。

 それぞれの冒険者が、「ケッ、やってられっか」、「この町も終わったな」、等の暴言を吐きだして出ていこうとする。


 冒険者と冒険者組合の関係は主従関係ではなく、仕事の関係であり。

 完全なギブ&テイク(対等な関係)の契約だった。

 その為、気に入らなければ、この町を出て他の町や国で仕事をする事も可能であった。


 目の前の光景に涙目のクリスも慌あわて始める。明らかに敵意をもって帰ろうとする冒険者が続出し始めていたからだ。


「ちょっと待てよ!俺はやる。街を救うのが俺の…いや勇者の使命だ。」

「だな…俺たちがやらないで誰がやるんだ。」

「万だろうが億だろうが俺は燃えてくる。」

「俺の万能服が唸るぜ!!」

「私はやる。」

「そうだな。やるかイロハ。」


一部の冒険者はやる気になっていたが、それでも人手は足りない。


「おまちぃぃぃくださぁぁぁぁいぃぃぃ――――!!」


 クリスの秘書が突然前に飛び出して天をつんざく程の大声を上げて冒険者達を制止させた。

 その場にいた全員がの必死の形相を見ている。

「お待ち下さい、貴方がた冒険者の権利がある事は十分承知しています。が……『冒険者には冒険者の義』があると言います、その言葉をお借りして情けを頂きたいのです。」


 秘書は必死の説得をしている、その言動と表情に殆どの冒険者が足を止める、日ごろからその秘書と関係している冒険者は多い、査定官として常に公平に仕事をしている。その仕事ぶりはこの場にいる者は知っていた。


「考えとはなんだ?」

 どこからか1人の冒険者が声を上げる。


「はい、では最後にこの方々の話を聞いて下さい」

 秘書は後ろを見ると……。

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