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二日目の調査

イツキたちは昨日の森の中から外れた所を調査していた。

怒りながらイロハは森の中を調査している様子だった。

「おい、イロハ…機嫌を直せよ。」イツキが言うが

「…………」彼女は無言のままだった。


これには訳がある、昨日、一日目の報告に村長の家に出かけた時に、魔物の退治の数に驚かれた。__イツキ達は普通であると思っていたが、大分感謝される内容だったようだ。

リカと風呂に入っていた時、胸をリカに揉まれ、さらにあそこに指を入れられそうになったそうだ。

そのことをイツキに話したのだが、リカの冗談だろと言われて、キレたイロハと言い合いになり、軽い喧嘩中の状態になってしまっている。

リカは肩にノームを召喚していて、イツキたちを無視して口笛を吹いていた。


(リカのヤツ…覚えてろよ。)そう思いイツキは、明後日の方向を向くと、…何かを発見する。

急いでリカたちの元に駆け寄りの肩を掴む。


「何する…ぐごぇ!」

イロハは無言だが、騒ぐリカの口を手で塞いだ。


「静かにしろ!」と小声でイツキは辺りの警戒にはいる、その事を察してか、リカもその状況に気づいて真剣な顔になる。

イツキはハンドサインで合図を送る、__こっちに来い__という合図を。

イロハたちはそのまま、イツキの後をついていくと…地面に足跡が付いていた。

かなり大きい、50cmはありそうな大きさだった。


「どうやら、古い足跡ぽいな…。」

イツキはその跡を確認し、、近くに敵がいる危険が無いことを知らせる。


「イツキ、これはなんの足跡?かなり大きいけど…。」

「わからん。でも…2足歩行の魔物だな、かなり大きいぞ、4~5メートル位か?断定は出来ないな。」


冒険者は足跡を見つけると、まず、魔物の特定を急ぐのが基本だった、その足跡が何時頃出来たかで位置の特定、大きさ、形態、様々な情報がそこにはあるからだ。

これを出来ないものは冒険者として大成しない__と教えを受けている。


「どうするイツキ。」イロハはこの後どうするかを聞いてきた。


「考えのは後にして、とりあえず辺りを探すか。巡回している可能性もあるし、慎重にやるぞ。」

リカがそう言うと頷うなずいて答える、肩に乗っているノームも「ピリュルゥゥゥ」と叫んでいる。


「この足跡を追ってみるか、ハッキリと残っているからな、くれぐれも面白がって“藪やぶの中を突っつくなよ”蛇が出るぞ、リカ。」

「それを言うなら、『鬼が出るか、蛇が出るか』じゃない?」

「そうとも言うな、じゃあ行いくか、気を引きしめろよ。

そう言って、イツキは手で合図をおくる。


「ん。わかった。リカは調子に乗らないこと。」

「俺をなんだと思っている!」

「2人ともお喋りはそこまでだ。油断してると足元を掬われるぞ。」

イツキは2人の後ろで喋る。

「「わかっている! 」」__と息ぴったりに。

そういって2人は足跡を追って森の中をすすんでいった。___


※※


というわけで、鬼が出ました、大鬼オーガがでました。あの魔人騎よりは知能は低く弱いと確信するが油断はしない。

どうする?__イツキとイロハ、リカは藪の中で大鬼達を観察しながら思っていた。

距離は30m位、離れているが2人とも身を伏せて見つからない様にしている。


大鬼はモンスターランクで言うとC+に相当している。

通常ランク査定の基準は一体の魔物に付き、3~4人組みの冒険者で挑む事を参考にしている為、2人組みの場合は慎重になるべきなのが、普通だった。

大鬼の特徴は巨大な身体と怪力だけだが…それでも危険な魔物だった、体長は3m以上で頭に1~2本の角がある(※本数が多いほど強い傾向)体内の魔力と筋肉による攻撃力、そして固い木を削って昆棒のように使う格闘術を備えていた、それに木や岩を引っこ抜いて投げる事もする。


「俺に提案がある。じゃあ行ってくる!」

……そうリカがそう言って、どこかに行ってしまった。碌なことにならないと思い、こちらも戦闘準備に入る。


草むらから段ボールを被って、低い姿勢だか高速で移動しながら、大鬼に向かっていくリカ。なんともミストマッチな風景である。


(なんで傭兵の隠れ方なんだよ。)

「な、なんて隠れ方…。」

イツキは頭を抱えてそう思った。イロハはあんな隠れ方があったとはと驚いていた。


大鬼達も、枯葉の踏む音と気配から、リカを察知する。

「があああぁぁぁ!!」

と声を荒げてリカに対し警戒態勢を取るが…リカは段ボールを大鬼に投げてこっちに向かってきた。


「ダメだった。」

しょんぼりしながらイツキにそう言う。

「この役立たずが!」


イツキは大鬼達と距離を詰めると、すぐさま、鬼雷桜を低く横なぎさせる。

低い刃節が這っていき、右手の大鬼の――足の腱を切り裂いた。


「ぎゃがぁぁぁぁぁぁぁ!」

悲鳴を上げる大鬼。


そして、すぐさま鞘を戻して、――もう片方の大鬼にイロハは上段から振り下ろしで剣を伸ばしていくが…

[ズグン]

と腕と武器をクロスさせて防がれた。少し腕が切れたぐらいだ。


(固いな、さすが大鬼だ、間接狙いじゃないと駄目か)_イツキは直ぐに気持ちを切り替える。

抜刀の態勢を取りながら、大鬼から距離を取っていく。

明らかに挑発しえいるイロハを「があぁぁっぁ」と怒る様に叫びながら追いかけてくる。


(……釣れた。)

追いかけられるイロハは作戦区域まで来た。


「いまだ!リカ!」そう合図を送る。

ちょうど、その場所を通る大鬼の足元から、固い土の槍が生成され何本か大鬼の身体に突き刺さった。


「ぎゃがぁあああぁ! ぐぎぃいいぃぃ!」__大鬼は悲鳴を上げて叫んでいる。

しかし、土槍は下半身に深く食い込んでいる__その部分から青い血が滴り落ちていた。


(大鬼の厄介な所は皮膚が固い所だな…よし…)


ー霧落とせ六道ー

地獄道【霧惑う断頭台(ミストアーデギロチン)


リクが起動して、霧が濃くなり、大鬼の首元に断頭台が装着される。

[ギュジァァ]__という音と共に大鬼の首元と胴体が離れていた。

さらにもう一体の大鬼にはワイヤーを伸ばして、胴体に高速で巻かれていき、[シャアァ―――― ]と言う音と共に剣先にスピードが乗った一撃が同じ個所を切り裂いた。――


「がぎゃあああああっぁぁぁぁぁぁ」__という大鬼の最後の悲鳴と共に肩口から血が噴き出して、腹の方までバッサリと切り裂かれていた。――大鬼の内臓も飛び出すほどの重く鋭い斬り裂きだったといえた。


(……完了。)――イロハは少し油断した。

「イロハ――――!」と叫ぶイツキの声で我に帰る。

そして、危険を察知すると、直ぐに身を翻し__横に飛び転がる。


[バギィ、バギバギバギ]の音と共に木が根元から折られたそのモノを投げつけてくる大鬼がもう一体いた。

[ズグンンン]と重い音が地面から辺りに響く。

イロハのいた場所に丸太の様な気が投げ込まれるが_イロハは転がった後に受け身を取りすぐさま起き上がっていた。

(危なかった。)__イロハは無造作に投げ込まれた木を見ながら思っていた。


「馬鹿野郎!油断しすぎだ!」イツキは怒鳴る。

「ごめん。私がやる。」

そう言うとイロハは走りだす。抜刀しながら、大鬼との距離を詰めていく。


足に怪我をしてるだろう動きの鈍い大鬼は、近くにある木を引っこ抜いて、イロハに投げていくが…、木々に当たり方向が変わってしまう為上手くいかない。


(馬鹿だな…焦った方が死ぬんだよ。)__イツキはそう思っている。

当然イロハに木が当たらないのではない、当てられないようにイロハが移動をしていたと言うのが正しかった。

木々の隙間を縫うようにして近づいていく。イロハの目前に大鬼が迫る。


《天音流参式》【弁財天べんざいてん碧羅へきら


イロハは大鬼に突撃していく__かに見えたが直前でバックステップをして後方に下がった。

大鬼も迎撃しようと木の昆棒を構えていたが、ジョーの行動に呆気にとられた顔をしている。

イロハが後方に下がったその瞬間に___

[ジュブ、ジュブ、ジュブ、ジュブ、ジュブ、ジュブ、ジュブ、ジュブ、ジュブ。]

と大鬼の顔面や脇腹に斬撃が襲う。


高速でバックステップすることにより、残像が残るほどの錯覚に陥り、斬撃を浴びせる技。

イツキは感心していたが、直ぐにイロハは戦闘体勢を整える。

大鬼は突然の攻撃に戸惑い、悲鳴を上げていた。

そこにイロハは近づいて…至近距離からの一撃を鬼の首元に深い一撃を入れる。


「ぐがあぁぁぁぁぁ」と先程の鬼と同程度の断末魔を上げて、鬼は倒れ込んだ。

[ズジィィィン]と音が辺りに響いた。


「やったなイロハ。」

「ありがとう。さすが相棒だな。」

「それよりももう一人を労えよ。」

(お前は何もしてないだろうが。)

イツキはリカを見ながら思っていた。


イツキは鬼雷桜オウラを大鬼の死体に近づいて、刺すと、血を吸収した。この刀の能力でもある。血を吸うことで強化する。あの大鬼や悪魔も吸っている。


ウチの錬金術師が作ったとされる

生命の吸う吸う刀(ライフウェポン)”は倒した妖や力を吸い成長する。

この世界に来てから、魔物の血や魔力を吸い成長するように変化した。

武器自体の変化や、倒した相手の能力の習得、さらに別の能力も行使できる等の言い伝えがある武器。である。


「イツキ〜倒した?」リカが此方に歩きながら言ってきた。

肩に載っているノームも「ピキュゥゥゥゥ」と喜んでいる声を上げている。

「ああ、倒したぞ。……何もしてないだろうお前が解体しろ。」

イツキがそうリカに向けて言うと、――リカは露骨ろこつに嫌な顔になった。


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