見合う代償
「終わったのか……」
リクを戻し、変装を解除したイツキはリカのもとへゆっくりと戻っていく。
「あぁ。」
「これからどうすんだよ当の本人は死んじまって……」
「死んだやつのことはギルドの連中に任せる……俺は魔力を失った子供たちを見る。」
そういって子供たちに駆け寄り、状態を確認する。身体は問題はないが、魔力気管がやられているため2度と魔力を……いや魔法を使えなくなる。
この状態を打破するには
「これより魔力を取り戻す作業に入る。」
「そんなこと出来んのかよ。」
「因果を狂わせれば出来るが……俺の天音流はそんなことはできない。今の俺なら出来るかもしれない。もし因果が狂えばその能力は2度と使えなくなる。」
開発した因果を狂わせる術がある。それを使用すれば、反動が来て、使用者のどこかが奪われる。
「じゃあお前がその反動を受けることになるとこの先どうするんだ?」
「未来ある子供のためなら俺は人柱になろう。」
そのデメリットは何が起きるかわからない。だから奥の手だ。やりたくはないがやるしかない。
「さぁはじめよう。」
手を広げて全力の妖力を放出する。空間に亀裂が入り、異次元の空間が出現した。そこへ別の世界へとアクセスし、そこに存在する魔法を呼び出すことができる。
「平行世界……まさか!」
「気がついたようだな……そうだ全パラレルワールドの自分と記憶と情報を共有し、魔力の復活を確認するためだ。」
膨大な妖力を流したことにより、妖力の塊が蓄積し、翼が生えたようにみえる。。全パラレルワールドに意識を集中させる。数分後……イツキの身体に異変がおこる。皮膚から亀裂が生まれる。
「くぁ……反動が…。」
全パラレルワールドを覗いたイツキは世界から異物として見られ、排除しようとしている。
「もうちょっと……まだだ!」
「もうやめろ……お前の身体が持たない。」
「み、見つけた。」
全パラレルワールドを覗いてやっと取り戻し方を確認できたあとは妖力を解く。だが片目と味覚を失っていた。
「危なかった……もう少しで俺が消されるところだった。」
全パラレルワールドを覗いたことで、俺がいるこの世界の俺と2つの世界の俺しか残っていなかった。
もうひとつの俺が消えるとこの世界の俺はいまここにはいなかっただろう。これがデメリットだ。このデメリットはその能力に見合う代償となる