勇者狩り
各地で勇者が命を落としている謎の事件が発生していた。緊急の会合を行い勇者の護衛することを決めた。しかし各国の勇者は頑なに拒否した。コウガと帝国の勇者であるパール・スレインは承諾した。その警護としてマリアとユウヤが選ばれた。それから数日たつと次々に各国の勇者たちは死亡していった。
その事件がありながらもイース王国では宴会を行っていた。あの大戦から一年が経ったので戦勝日の式典が行なわれていた。
騒がしい部屋のなかに暗殺者はさすがにやってこないと思っている能無しの貴族たち。そのなかでもイロハはコウガを心配して近くにいる。シェリカ、グレンたちも外に飛び出して見回っていた。
「……どこにいくの?」
コウガはグラスをテーブルに置いて外に出ようとしていたところをイロハに聞かれた。
「少し夜風に当たってくる。」
「それなら私も……」
「いや……来なくていい。少しで戻ってくるから」
そう言って部屋を退出した。イロハはただみているしかなかった。
コウガは会場から少し離れた庭園に来ていた。
「けほけほ……姿を表したらどうだ?勇者の暗殺者さんよ」
「ふふふ……いつから気づいていたのでしょう?」
「ここ数日は見張られていたからな。目障りだったんだ。」
コウガはカグツチを構える。その男も大鎌を構える。枝から葉っぱが落ちて地に落ちると互いの刃がぶつかり合う。カグツチが男の頬を掠める。
「…他の勇者とは格が違いますね。」
「伊達に戦ってねぇからな!」
「楽しめそうですねぇ。」
大鎌を消して次の武器を召喚する。それ紙の札を取り出した。それをばら蒔くと風属性の刃が無数に射出される。
《風魔符》【風帯刃】
《真・天神剣術守之型》【陽炎】
守りの型で刃を交わして男の背後を取る。
が男の背後から炎の鞭が出現して弌之型で瞬時に避けた。男から距離を取ると足元が爆発してくらってしまった。
《炎魔符》【炎鞭蛇・転爆夭陣】
「ちぃ…。」
コウガは爆炎から抜け出して地に付くとまた爆発した。
「強い……」
男は笑いながら札を持っている。コウガは血を拭い立ち上がる。カグツチとサクヤを構え【天海服】を装着する。息を整え瞬時に男に迫った。男は驚かず冷静に対象する。
《雷魔符》【雷腕】
雷の拳をサクヤで反らしてカグツチにて斬りかかるが弾かれてしまう。そしてコウガは首を掴まれてしまい身動きが取れなくなってしまった。
「苦戦しましたが、勇者の力を貰いますよ♪」
(やれマリア)
男は身動きが取れないコウガに笑みを浮かべ魔力を放出し始める。それをコウガは指で合図をした。
「時間通り。狙い撃つ……。」
10km離れた学院の時計塔でコウガたちの行動をスコープから覗き込んでいたマリアが対人魔銃【出雲】の引き金を引いた。渇いた音が鳴り響きその弾丸は拡散してコウガとその男を貫いた。その男はうめき声をあげコウガを放り投げ倒れた。コウガはその男から距離を置いて時計塔のマリアに向かってナイスと親指を立てた。男は血を流しながらも立ち上がった。
「お前も貫かれたはず…。」
「あーそれはこの弾は人の魔力に反応する。今の俺は仙力を纏ってるから貫かれたのはお前だけっていうわけだ。さぁなぜ勇者を狙うか離してもらおうか?」
男が札を取り出そうとした右腕を鞭にて動きを止めていた。さらに両足を氷付けにされ、男の回りにグレンたちが駆けつけた。男の首に安恒を突きつけたイロハがいた。
「さぁ話してもらいますよ?勇者殺しの犯罪者さん?」
鞭をさらに締め上げて吐かせようとする。しかし表情は変えない男は笑っていた。鞭を締め上げていた腕は液状化し鞭の拘束を解いて背後のイロハを蹴り飛ばした。
「王国の勇者はやりますねぇ。手土産に一つ情報をやろう。俺はレーザァ・スーヴァンという。ハーメルンに所属してる。」
「その名前は…300年前に解体された闇ギルドのはず……。」
「情報はここまでだ。ではまた」
フェルトはその名前に聞き覚えがあった。そしてレーザァーは液状化して消え去った。時計塔にいたマリアはすぐさま魔力感知を行ったがこの場所からは反応がなかった。逃げられてしまったが情報だけでもよしとした。シェリカがコウガの状態を見て回復魔法をかけて全快にさせた。
「ところでフェルト姫……ハーメルンっていうのは?」




