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守護者となった退魔師と勇者の異世界譚  作者: 黒猫
一新紀元 退魔師のいなくなった世界で勇者は奮闘する
210/219

決闘

あの戦いから半年が過ぎた。世界は変わりつつあった。戦場となったイース王国は少しずつであるが街が復興し始めている。そして城があった場所である獄界門の周辺は忘れないよう慰霊碑として刻まれるようになる。

王国と帝国、そして大陸中の国々のトップが集まり会議が行われた。2度とあの戦争がおこらないようイース王国をトップとする世界政府が樹立した。だが世界政府といっても形だけではある。政治を行うのは国々の王たちである。年に2度の会議を行う義務が出来た。さらに貴族制度の廃止により人はみな平等となり貴族だからとその権力を使う者に処罰される法案も出来た。義務教育が出来て貧富の差を無くし誰でも学べる制度など様々な改革が行われた。【皇】制度も廃止によりSSSランカーらによる魔導十二門マギアスレイヴと呼ばれるギルドの連携を図る機関が出来た。

魔界ではディアゴが魔王となり統べることとなった。ディアゴは魔界を豊かに変えるべく奔走する。反発もあるが頑張っていた。

アルカディア学院と名前を変え、大陸中の生徒たちが通う巨大な学園となった。フィフスはあの大戦で身体が今までのように動かせなくなった為退き、学園長としてベルト・ホーク着任している。ヒナは生徒会長を退きコウガが第99代生徒会長となった。


そして……使い魔であるイツキを失ったイロハは学園には通うものの、笑顔はなくなり誰とも話そうとはしなかった。昔のイロハに戻ったかのように……シェリカらが心配して話しかけるが反応がない。

コウガはイロハがいつまでもそうしていることに苛立ち強制的に闘技場へと転移させた。


「けほ…何故連れてこられたか分かるか?」


軽く咳をしたコウガがイロハに訪ねるが返答はなく、ただコウガをじっと見ている。


「いつまでも落ち込んでいるお前の性根しょうねを直しに来たんだよ。抜け……」


コウガはイロハに刀を抜けと促すがそれでも反応がない。コウガは殺気を垂れ流しイロハに接近してサクヤを振るう。イロハは無意識に安恒を抜き防いだ。


「腕は衰えてないんだな……」

「なんでそんなこと……するの?」

「言っただろ?お前の性根を直しにきたと。」

「私に構わないで……」

「なら決闘デュエルといこうじゃないか?俺が勝ったらイツキのことを忘れ前を見るイロハが勝ったらお前の望むままでいい」

「そんな決闘……通るわけ……」

「いいよ♪」


イロハが発しようとしたとき神出鬼没のフィフス元学園長が現れ勝手に決闘を承認してしまった。この決闘は先生と元教師の承認があればいつでもできるようになった。防死結界を張ることで死んでも死ななかったことにできる。存分に戦うことができる。

勝者の命令は命を掛けるものでなければなんでもよい。突然現れたフィフスの後ろからマリアたちも駆けつけた。


「あいつも酷なことを言うな。どちらにしてもイロハが決闘を受ける意味ができる。」


そう。負ければイツキを忘れ生きていかなければならない。勝てばイツキを思い詰めたまま。どちらを選んでもイロハにとっては酷なこと。


「これで断ることも出来なくなったな?どうする?」

「……」

「言っとくが手を抜いたとわかった時点でも俺の勝ちになる。本気でやれよ?」


コウガの目付きが鋭くなり、サクヤとカグツチを抜いて構える。イロハも覚悟を決めたのか安恒を鞘から抜いた。暫くの沈黙が続く。フィフスの合図により二人は駆け出した。


《天神剣術・しち之型》【風神裂翔ふうじんれっぱ

《天音剣術・弍式》【韋駄天】


互いに技を出してつばぜり合いになった。シンはカグツチを短剣に変形させ首めがけて振るう。

イロハは素早く捻りそれを避けた。イロハはいち式【天風刃突】で突っ込んだ。


《真・天神剣術弌之型》【神天虚空しんてんこくう


安恒がコウガの腹を貫いた。しかしそこにはコウガは居らず幻だった。独特な足捌きで貫いたように錯覚させる回避術である。動揺したイロハをよそに背後にいたコウガはイロハの背中を斬った。イロハは瞬時に振り向きコウガに斬りかかるが避けられてしまった。傷は浅かったもののまだ動ける。


「どうした?昔のお前なら避けられたはずだろ?」


イロハは毎日部屋に戻ると木刀を取り出して素振りをしている。何かに取りつかれているかのように無心に降り続けている。

鍛練は怠ってはいなかった。それなのにコウガは遥か上にいる。

それと剣術が違う。同じ弌之型ならこんな技にはならない。するとコウガは天音剣術を造り直したということだ。天音剣術の教えは師から弟子へ弟子から弟子と伝わる剣である。さらに師を越えることは剣術において最大の恩義とされている。コウガはイツキを越えるため、一から叩き直して新たな剣を産み出した。


「お前はいつまでイツキの背中を追っているつもりだ?あいつはもう居ないというのに……」

「うるさい…。」

「あいつは死んだんだ!現実を受け止めろ!いつまでも」

「わかってる!わかってるよ。だけど……だけど!」

「だけどなんだ!あいつはそんなお前を見て喜ぶと思っているのか」


イロハは黙り込んだ。イツキとの思い出が流れる。カイツキの言葉が頭に浮かんだ。

【立ち止まるんじゃねぇ…前を見て歩き続けろ。】

その言葉を思い出してコウガの攻撃を防いだ。コウガはイロハから距離を取る。イロハから凄まじい魔力が流れた。本気になったイロハを見て仙法を発動する。


《仙術》【天海服】


仙術を発動して服を変えた。イロハも眠っていたイリスと同調する。完全な鬼の姿となった。そしてぶつかる。

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