賭け
背中に付けた傷が直ぐ様ふさがり、一旦離れようとしたときケンセイの刀がイロハの目の前に迫ってきた。イロハからイリスに憑依し、刀を安恒で弾いたが肩に傷を負った。
「ほう……その姿は伊勢童子か……久しいなイリス。」
「そうですねケンセイ……300年ぶりです。また相対するとは……」
「殺してもなお…現れるとは運命か」
「運命ではありませんよ。私は貴方を殺すために怨念となりこの世に留まっているのです。私が人間に復讐したいと思ったのは貴方のせいですからね」
イリスが人間を恨むようになったのは、慕っていた剣の師匠であるケンセイに裏切られ死んでしまったために怨霊にありながらも復讐を望んでいた。そしてイロハが生まれたことによりその魂が結合してしまった。そしてイロハとイリスの同調率は100%を越えていた。イロハが剣の才覚があるのはイリスの恩恵があるからだ。
「お前の技を教えたのは誰だと思っている。」
「だから貴方を越えてみせるのよ。」
互いに駆け出し技を繰り出した。
《弐之無炎》【練獄】
《壱之鬼剣》【盧鬼】
互いの刃が当たると風圧が起こりベルトたちが吹き飛ばされそうになる。援護しようにも付け入る隙がない。状況を見極めようとしたときイリスがケンセイから離れベルトたちと合流した。
「大丈夫か?」
「はぁはぁ……やはり憑依はきついですね。残り時間が残されてないのよ。」
「俺たちが囮になってやるよ。なぁ支部長」
「あぁ勝機があるのならなんでもやる。」
「貴方たち……」
(イリス……あれをやろう。)
(やるとなるとお前の身体が……)
(持たないけどやってみる価値はある。)
「(わかった)二人とも頼みがある。10分だけ持ちこたえてくれ。」
「なにをするんだか知らねぇがそれで勝てるならやってやらぁ……」
《憑依》【天魔アスタロト】
《魔眼》【天鷹】
ラルドは血に宿る悪魔を憑依する。魔力が上がり黒い翼がはためかせる。ベルトは僅かな魔力を残し、網膜にありったけの魔力を注いで集中力を高めた。これをやってしまうと失明する恐れがあるがやるしかなかった。




