終幕
コウガへと視線を送る魔王は魔法を解除する。砂塵が晴れると右腕を無くし、サクヤの刀身が無くなっており血だらけのコウガがそこにいた。
コウガはサクヤの魔力の吸収&所有者への魔力の還元、引斥能力をフルに使ったがそれに耐えきれなかったのはサクヤの方だった。やがて刀身が折れて砕け散ると効果が切れ魔法が直撃する。コウガはそれでも滅符を取り出して右腕を代償に魔法を消滅させた。
「はぁ…はぁ…」
「虫の息だな。さぁどうする?策はあるのか?」
そして斧がコウガに向けられる。策が尽きて絶望するコウガは限界を迎える。徐々に耐えきれず膝をついてしまった。コウガは絶望するが、王国中の皆の声が頭の中に聞こえてきた。
【諦めるな!】
【アーサーのためにも!】
【フレイ!】
【負けるかよぉ!】
【イロハくん!】
【諦めちゃ駄目……イツキが……くるまでは】
【くそったれがぁ!】
《お前が魔王を殺るんだ。殺せなかった俺の代わりに……》
「皆の……命が……消えていく……失っていく」
コウガは徐々に立ち上がっていく。力も増していきカグツチとサクヤが共鳴し始める。
「そんなこと…させるかぁー!」
カ グ ツ チ
サ ク ヤ
ー 臨界点突破 ー
魔王の斧を弾いて唱えるコウガ。そして輝きだした2つの刀。さらに向かってくる触手が燃えて無くなる。
「なに?何が起きた?」
魔王は何が起きたのかが分からなかった。さらに再生しない触手に疑問をもった。コウガへと視線を向ける。
《灼熱業火》【カグツチ】
焦土とかす地下墳墓に燃え盛る服を身に纏うコウガ。
右腕と片目の傷が灼熱の炎に傷を焼いた。
《聖天魔刀》【サクヤスルージュ】
『臨兵闘者皆陣列在前』と九字を切られた刀『九字を切る』というのは魔を払う刃。
魔王は触手を振るうがコウガへと辿り着く前に燃え尽きたいしまう。斧を持つが解けて無くなっている。魔法も何もかも手段が減っていた魔王にはもうなす術もない。
「臨兵闘者皆陣列在前」と唱え刀を振るう。魔王の左手、右手、左足、右足、顔に光の点が浮かび上がる。点と点が結び【☆】の形となる。魔王は動けなくなった。コウガはその中心にサクヤを突き刺す。聖なる力が魔王の身体を消滅させていく。魔王はコウガの頭を掴み握りつぶそうと足掻くがその前に消え去った。静寂となったこの場所にコウガは気が抜けたのか膝をつき息が乱れてしまった。暫くの間続いて漸く落ち着いた。だが魔王はコウガへと最後の悪足掻きとして呪いを残していた。
それに気づくこともなくコウガは外の仲間と合流すべくこの場所を後にした。