それぞれの修行
消息を絶っているイツキは自身の世界の地下最下層にいた。自分の弱さを見つめ直すため特訓に入っていた。
『少し休みなさい……あなたはもう数千年寝てないでしょう。身体だって……』
「ありがとうイザナミ……大丈夫だ。俺はまだ生きている。皆を救う力はないだから……」
イツキはこの空間を覆い尽くす魔物を召喚し、休むことなく数千年戦っていた。妖力が尽きても呪符が尽きても、ぼろぼろになりながらも必死に戦っていた。イザナミが回復させてくれるがお構い無しに血を流しながら戦っている。
『いい加減にしなさい!』
「うるせぇよ。」
言葉をも聞かなくなったイツキをイザナミは分裂の妖術を使用し、目の前に現れた。
「貴方はいったいどうしたいの!」
「強くなりてぇんだよ俺は!」
「だったら私と戦いなさい。」
「お前と戦っても意味は!?」
「ふふふ…言っておくが彼女は優しすぎる。それに起きた私は荒々しい。」
イザナミからイサナミに変異する。イザナミが光とするならばイサナミは闇の存在である。変異したイサナミに着いていけず吹き飛ばされ倒れる。立ち上がったが目の前にイサナミがいた。デコピンするとイツキはまた吹き飛ばされ倒れる。
「がはぁ」
「ふぅふふふふ……まだまだ始まったばかりよ」
「神格解放」
「少しは出来そうね…だけど及第点。」
神格を解放するが、イサナミに圧倒される。いくつもの対抗手段を見つけるが対処され踏み潰される。絶望するがそんなイツキを構うこともなくボコボコにする。イツキは意識を失い倒れる。それが数百年続いた。
ダンジョンにてメンバーを召集したリカは、皆に特訓メニューを告げた。
「イツキがいない今俺がお前らに特訓させる。まずフレイ(炎)、グレイ(氷)、グレン(風)は各自に滅魔魔法を覚えてもらう。」
「滅魔魔法?」
「魔族を倒す力だ。お前の王殺魔法といっしょだ。」
「どうやってだよ。」
「俺が造った魔物で無理やり習得させる。リンクが出来たんだ。お前らもできるだろ。それと妖嘛を倒す力である妖力をも身につけてもらう。完成したらリンクと組み手だ。続いてイリヤ……お前はタロットの強化を行う。今は一体しか出せないだろ?」
「えぇ…魔力が少ないので。」
「まずは魔力を増やし四体同時召喚と霊装の強化を……」
「わかった。」
イリヤは皇ながらも魔力は少ない。だからそれを補っていた。これからの戦いはどうなるかわからない。魔力を増やし同時召喚ができれば力が身に付く。それと三人の滅魔魔法を習得にはかなり時間が必要とされる。王殺魔法を覚えているフレイでさえも難しいだろう。ハザマの部下10本指と戦うとなれば必須となってくる。
「マリア、ユウヤの二人は初代勇者に巻き込まれであるシドウ・レンが面倒を見てくれる。」
リカは千変万化を使用して、ひび割れた人形…巻き込まれで元創皇の称号を持ったレンを呼び出して、ひたすら戦ってもらう手筈だ。それとユウヤの悪友であるカイトは行方が解っていない。もしかしたらと考え強くなってもらう。
「イロハとコウガは初代勇者と戦ってもらう。」
歴代最強と謳われた王国最強の勇者。一人で国一つを落とす戦闘力をもつ。サクヤの帝国勇者とは比べ物にならない。
フェルト姫には鞭魔法強化及び聖属性追加、エルザとの姉妹での共同魔法【魔滅聖王】を発動。
こな魔法は強力な魔から王国を守る魔法。魔力の波長が合わないと成功しないが姉妹だからできるのだ。発動すれば魔を滅することができる。ただし魔力消費が激しいため1日1度しか使用できない。
サラは弓の射程距離を伸ばす。術式魔法の強化など。
ヒナさんは桜魔法の強化と鬼のヒナタ及び桜天使との憑依魔法の習得。武器である白桜の能力スキル強化など。
夜桜マスタークリス、クロト教諭は魔法強化など。
目が覚めたベルトは剣術の強化のため先代師範との修行。
各自修行メニューが決まり別々に転移させた。リカ自らも修行する。
そして、魔族であり魔人9騎将のトップであったディアゴを除き彼らはハザマの策略により魔王に殺された。ディアゴは必死に抵抗したが10本指らの反撃にあい命からがら逃げてきた。そこでリカに出会い使い魔契約をした。魔王とハザマを殺すために復讐するためにリカを利用した。利用されていることを知っているリカはそれをも利用する。ディアゴの修行は初代魔王との戦闘訓練である。支配者をその上へと進化させるためディアゴは嬉しそうに訓練へと赴いた。