終わりとそれから
内部では必死に出ようとするコウガの姿があった。しかし傷でさえ付かないため焦っていた。さらに酸素が薄くなっているため徐々に体力も限界に来ていた。
「はぁ……はぁ……ど、どうして僕がこんなめに……開けてよ。」
コウガは妖力の壁を殴る。手に血が滲にも関わらず出ようと必死に足掻く。
「あ、開けてよ……。」
その体力も限界になり倒れてしまう。薄れ行く意識の中……後悔の念にかられる。いままでにしてきたことを思い出しながらあぁすればよいかこうすればよいか考えている。だけど何も出てこなかった。
僕は小さい頃から友達が居なかった。父は財閥の社長でなに不自由もなく裕福だった。あるものは父に取り入ろうとして僕に接近する人やコネがほしくて近づく人が多かった。あるときイツキや真理亜が声を掛けてくれて嬉しかった。そのときからイツキは僕の憧れだった。当時力が欲しくてイツキがいる天音道場に通った。門下生たちは怪我させるのを恐れて見学してろといい習わせてもらえなかった。それに見兼ねたイツキが僕と組み手をしてくれた。案の定僕は怪我をした。怪我と言っても打撲程度だ。でも父はそれを見た途端に天音家に抗議した。僕が説得したが、聞いてもらえなかった。だけどイツキや真理亜が僕を警護することで了承した。それ以降…僕は守られてばっりだった。僕には力がない。いや甘えていたのだ。だんだん態度が変わっていったのはわかった。近づいてきている女の子もイツキたちを嫌っていたのも、見て見ぬふりをしていた。僕は傷つけていたんだ。この世界にこれて嬉しかった。魔法とよばれる力が僕を強くした。最初はお城で鍛練をしていた。団長が誉めてくれた。嬉しかった。その自惚れで鍛練するのをやめてしまった。イツキより強くなったと勘違いをしてしまった。クラスメイトのイロハを好きになってしまった。告白しようとしたが女の子たちに邪魔をされてしまった。さらに使い魔となって、強くなっているイツキ羨ましくて妬ましくて決闘を挑んだが、この様ざまだ。僕は弱い…馬鹿だった。
こんなことをおもっているとエクスカリバーが光輝いた。
幾つもの人間の影が現れる。顔は黒く塗りつぶされ見えなかった。
≪貴様がこれを手にした時から見ていたが呆れたな≫
誰?
あれ声が出ない……
≪貴様の思っていることはわかっている……≫
≪勇者という肩書きを利用し悪どいことをいくつもしている≫
そ、そんなこと……
≪歴代勇者の恥だ……士道不覚悟で切腹しろ。≫
≪そうですね……自信の勝手な思い込みが身を滅ぼすことも知らずにねぇ。≫
《僕はどうでもいいよ。》
そんなこと……ない
僕はもう何もわからなかった。身勝手な行動でいろんな人の迷惑をしていたなんて……もう自分が信じられない
勇
者
と
は
?
信じた正義とはなんだ……
平和とは?
あの親友とかも
もうどうでもいいや……
いや…イツキたちはどうか…何のために強くなるのか…何のために守るのか
よろめきながら起き上がり影に向かい宣言をした。
「もう認められなくていい……いまからでも変えてやるいや変えて見せる!もう正義とか平和とかどうでもいい!自分を俺を阻むものは全て俺が殺してやる!」
くそ……意識が……
倒れかけた俺を誰かが支えてくれた。そして目を開けると俺と同じ顔をした男がいた。
男は俺を離すと9人が並んでいた。男は中央に立ち、俺を見据えていた。
「貴様の覚悟しかと受け取った。だがその心は穢れてはいけない。」
「……」
「この刀は時間を越え受け継がれている。」
「時間……時?」
「だが忘れてはいけない……その思いが自分を傷つけていることを……どうでもいいってことはない自分の使命をまっとうすることがお前だろう。」
「そうだ……俺はこの世界に召喚されてからみんなのことだけを考えて自分のことを忘れてしまっていた。」
「この試練は秘めた力を引き出すために行ってきたが継承者があまりいなかった。この方々が継承者だ俺の名はカグツチ……この刀に宿る霊だ」
そして
カグツチ
アダム
土方歳三
アルトリア・ペンドラゴン
織田信長
シモ・ヘイヘ
クーフーリン
ケイローン
ギルガメッシュ
歴戦の英雄がその場に立っていた。
「だが継承してしまったものは強力な力を得る代わりに悲惨な死に方しかしない……それでもこれを受けるか?」
俺は死にたくはなかったが平和になるためならば死神にでも魂を売るつもりだった。
「やるよ……だがただ死んでやるつもりはない。足掻いてでも生きてやる!」
「その覚悟しかと受け取った。受けとるがいい……我らが力を。」
9人の意思はコウガの魂へと入り込んだ。そして球体に触れると簡単には出れることができた。
イツキは一気にコウガに迫る。先程とは覇気も段違い何があったのかはわからないが気持ちが高ぶっていた。強者に進化したコウガがどれほど成長したかが見たかった。
「力を燃やせカグツチ!」
刀身が燃え上がりそれを振るうと辺り一体が焦土かした。イツキは咄嗟に空へ移動する。そして
「へぇ……それが真の力って訳ね。まだほんの少しだけどやばいな」
鬼雷桜を抜き構える。
《聖炎魔法》【火の風見鶏】
ー分解しろ六道ー
天界道【熾天円環の盾】
炎の鳥が現れイツキを襲う。イツキは六道を発動する。盾に分解の妖力を流し、鳥が直撃すると同時に分解する。
《かがやくは火之神……灼熱の世界を…業火となりてもっとしりたもう!!》
《天音流拾壱ノ型》
イツキは腰を深くして抜刀の構えをする。
【火之毘古神】
【飛龍天帝光螺】
2つの技がぶつかり合う。その衝撃で結界に亀裂が入り始める。拮抗している2つの技はやがて炎を飲み込みコウガをも喰らう。
「ぐぅおおおおおぁ」
爆煙が起き、それが晴れるとコウガが倒れていた。
『き、決まったぁ!勝者イツキ・イーステリア!!レベルの高い決闘になりましたねヒナ副会長』
『そうですね……息のつまりそうな試合に思わずのめり込んでしまいました。』
イツキはコウガに近づきこう言った
「勝利の命令は強くなれ……これだけだ」
「わかった。」
目付きの変わったは強くなるだろうこれからの努力しだいで真理亜やイロハとも並ぶだろう。
「おつかれ……」
「そんなには疲れてないがな。」
「でもいいの?」
になにが?」
「あの命令で。」
「そのことか……あいつは先程までとは雰囲気が段違いだ……さらに鍛練を積めばイロハいまのお前と同等になるだろう。」
「私も頑張んなくちゃね。」
決闘が終わり、このまま解散となるため俺たちは夜になるまで修行することにした。