罰
シエルの話を聞いて次の日からユナが襲われるようになった。盗賊やチンピラなどが襲ってくる。そいつらに尋問したところ闇ギルド≪悠久の死人≫より送られた刺客と言われカチンときた。イツキはユナを安心して日常を過ごせるために悠久のギルド本部に単身乗り込んだ。入り口の門を破壊し堂々と侵入した。
「な、なにものだ!」
「闇ギルド狩りだよ。」
冷静さを取り戻したギルド員は一斉に魔法を放った。いろんな魔法が飛び交い砂塵が舞っている。砂塵の中からイツキは滅符《滅天の燈籠》にて敵を倒していった。
「マスターはどこにいる!」
マスターを探しながら奥へと進んでいく。マスター部屋の扉を吹き飛ばし中へ侵入する。部屋とは思えないほど広かった。その中央には二人がいた。大柄で髭をはやした男と小柄で刺青を入れた男がいた。
「てめぇがここのマスターか?」
「そうだ悠久の死マスター……がはぁ」
大柄の男は喋っている最中に刺青の男に胸を貫かれ絶命した。その男は抜いた手を振るい血を払った。
「なにしてんだよおまえは。」
「この男は良くやったよお前を誘き寄せるための餌にすぎない。」
「この妖力…お前は。」
「僕は魔人9騎将にして10本指の十指…冷徹の挙ノールだ。さぁ死合しあいをしようか?」
笑いながら拳を構えるノール。拳に妖力を灯し睨み付けるイツキ。
そしてノールが動きだす。一瞬にして間合いに入られ拳が向けられる。イツキ拳を振るう。互いの拳がぶつかり合いその衝撃が部屋に伝いぼろぼろになっていく。ノールの回し蹴りが炸裂する。イツキは蹴りを腕で防御し吹き飛ぶ。
「くらっただけでこれだけかよ。」
防御した腕は大丈夫だが痺れが酷く動かせなかった。イザナミを呼ぶにしてもこの部屋中に複雑な術式が施されていて呼び出しに応じない。
「弱い退魔師ならいつもこれで死んでるからね。もうちょっとギアをあげようか。」
横無想構の構えをとる。ノールの足元に古代文字が展開される。
《الفوضى التي توقظ السماوات وتتلاشى من 》
【術式開廷】
〈第1の審判〉≪秦広王≫
イツキは悪寒を感じ下がろうとしたとき、目の前にノールがいた。イツキはノールにより引き込まれていたのだ。
【冥帝の一撃】
【反転】
咄嗟に位置を入れ替え、闇の妖力を灯した脚にてノールを吹き飛ばす。壁にぶつかり瓦礫に埋もれるが瓦礫を吹き飛ばし無傷のノールは笑っていた。
「驚いたよ……入れ替えなんて、でもお前くらったね?」
イツキは右わき腹に刻印が浮かび弾け飛ぶ。血が流れるわき腹を押さえ回復の妖術で血を止めるだけでした。しかしたてなくなってしまった。
「秦広王は停止する力を持っている。体に刻印を打ち込むことで一部機能を停止させる。ランダムで停止させるため僕でもわからないよ。だけど君は右足の神経を停止させられてる。じゃあ楽に殺してやるよ。」
ノールが歩いてイツキのもとへ歩いてくる。イツキの首を掴み持ち上げる。無抵抗のイツキに何度と殴り付ける。
「っていうと思うかい?僕は苦しんで殺してやるのが一番すきなんだよ。」
イツキを放り投げノールは首に目掛けて蹴りで骨を折った。倒れるイツキは氷となり砕け散る。
《氷符》【氷身防御】
《雷符》【雷竜の顋】
雷で造られた竜の顋がノールを襲うが、それを脚でぶち破った。
「肝が冷えたぞ。」
≪秦広王≫ 【冥帝の滅脚】
そのままの威力がイツキの腹部に直撃し吹き飛ばされ倒れる。かろうじて立ち上がるイツキをノールは押し倒し右足の間接を折った。
「ああああぁぁ!」
「叫ぶなようるさい。」
イツキの喉を潰して声を殺した。これで叫ぶことも喚くことまで出来なくなった。イツキは怒りだけで何も対策はしてこなかった。痛恨のミスであった。ノールは止めを刺そうと頭に打ち込もうとしたとき、部屋の天井が壊されイツキから一旦引いた。イツキの回りにリカとマリア、リンクがいた。
「まったく反応が弱まって来てみれば何やってんだよ?」
「ユナを思ってのことだろ許してやれよ。」
「俺があいつをやる。」
リンクはリカにより魔武器レグルスをオプションワークスにより改造されたオプションギア《豪壊の腕》を装備する。マリアはイツキを介抱していた。ノールは笑いながらリンクと向き合う。