守るために
リカたちと離れたイツキは近くの山岳にアイカを放り投げた。
「あの時よりは成長してるようね。哀しいけどまた
「負けるかよぉ。妖嘛ならば…やることは一つ祓うだけだ。」
「そう…おとなしくあの小娘を渡してちょうだい?」
「なぜユナを狙う?」
「言うわけないでしょ?」
《天符》【妖器封印】
この妖術によりイツキが使う妖力すべてが使えなくなった。
「妖力が……練れない?」
『恐らくあの妖術の仕業でしょう。彼女を倒さない限り貴方は無力だわ。変わろうか?』
「いや……こんなことで入れ替わってちゃあ……ハザマには到底勝てない。体内の妖力は使える。放出できないだけだ。」
『危なくなったら即座に変わるから。』
イツキは札を取り出す。
「哀しいこと……貴方はまた私に殺される運命にある。」
「運命?それはお前が決めることじゃない俺が決めることだ。」
「そう。だけど死ぬのはあなたよ。」
《愛は哀に…世界の哀しみは全て私の願い》
【妖嘛解放】〈哀別〉
《哀符》【哀れみの死行軍】
哀華は提唱すると妖力の塊に包まれる。その塊から出てきたのは涙の入れ墨が入った顔、大刀が無数に回転しながら展開している。さらに妖力が増した。
アイカは今まで殺してきた人々の霊を呼び出した。殺してきた人々の魂は蠢き騒いでいた。
「哀れな霊達に魂の救済を……霊秡を開始する。」
【金閣、銀閣、白銀】
いつもの狼妖怪を呼び出し殲滅を開始する。イツキは札をバラ撒いて呪文を唱える。
《回葉上巻》【炎波轟雷帝】
雷が霊を直撃し炎が波となり霊を浄化していく。アイカはただ見ているだけで何もしなかった。
「なら本丸を狙い撃つ。」
札を大量にバラ撒いて術式を展開させる。
《対極となす妖怪……分かち合いて導きことまとわり離れ今ここに迫る見守ることしか出来なかったもの 》
【鏡花翠月】
しかしこの攻撃はアイカに直撃したが無傷であった。
「哀しきひとね。」
《아魔法》【망자의 아픔】
古代の魔法を唱えるとイツキは苦しみ出して血を吐いた。防御膜が発動しているのにも関わらず、感じたこと来ない痛みが襲ってくる。気を失いそうな痛みだが倒れるわけには行かない。自分の為仲間のためにも倒れるわけには……
回復の札を使用して痛みを和らげたがなんとか持ち直していく。
「あら立つんだ。倒れれば良かったのに…。」
「これが駄目なら!」
《選択鎧装》【須佐乃尾】
鎧型オプションワークス……須佐乃尾
対封印用に開発された鎧。イツキの妖力を封印を想定して造られた武装。予め妖力を貯蓄しており封印されても使用可能となっている。貯蓄量は決まっているため長時間の戦闘は不向き
「へぇ……これなんてどう?」
《天符》【裁きの流星】
空から大量の隕石が降ってくる。イツキは幻想を鞘に納め抜刀する。
《天音剣術・神速ノ太刀》【開闢】
鞘から放たれた神速の斬撃は隕石を消滅させた。アイカはじっと見つめるだけで意図がわからなかった。
それは徐々にわかってくる。
Alaxpachan taripäwipax llakimpiw jallu purintäna
Mukuro ukax mä jan sayt’kay revelación gravedad ukamp ch’allt’atawa
Walja jaqinakarux t’unjañamawa kunatix pachax walja thaya thayt’awinak taypinw saraski
「させるか!」
アイカの間合いに入るが、イツキは悪寒を感じアイカから離れる。アイカの回りの重力が失われ浮いていた。
《哀しき者よ私に殺されよ》
《天道符》【大地の神槌】
そして凝縮された重力がイツキを押し潰す。
イツキも重力を相殺しようとするができず押し潰された。アイカはさらに黒穴にて闇の世界へとイツキを閉じ込めた。
しばらくして自力で黒穴を破り出てきた。かなり疲弊していた。
ラクエイと戦っているリカは血だらけだった。使用していた武装走者のベルトが破壊され、その隙を逃さずラクエイは鉄扇にて耐えられない程の電撃を浴びせられ感電していた。普通の人間ならショック死してしまう。
「「なぜそこまで小娘を頑なに守る?そんなに大事か?」」
「なぜって…」
「決まってるだろ……」
「守るべきものは守る……」
「そうやっていつもやってきてんだ……」
「たとえ偽善者と言われようが……」
「たとえ恨まれようとも」
「「誓ったんだ守ると!」」
ふらふらしながらゆっくりと立ち上がる。
「「誰に?」」
「「俺たちの魂にだ!」」
目付きが変わった二人は構え直した。
「やるぞ……イザナミ……。」
『わかったわ』
「あーあ……決めた以上倒さねぇとな!オプションギア!」
イツキはイザナミと同調する。髪が白く長くなり、妖力の和服を身に纏う。
リカはオプションギアを発動する。鎧を身にまとわず素肌が露出し、刀だけを用いる。胸に晒を巻いて戦闘用の袴を履いている。長い髪は縛り靡いている。
《初妖神イザナミ》
《無刃タケミカヅチ》