ゴブリン討伐と魔人9騎将
ゴブリンを討伐するだけの任務なのにBランクとなっていた。前の受注者(女)のパーティーが帰ってこないのでDランクから上がったのだ。
アルン大森林の中を疾走して。遺跡に到着したが…異様な雰囲気に包まれていた。
「状況から推測するに……死んだか陵辱されているかだな…。」
イツキはネズミ型の式神を遺跡内に放つ。式神とリンクして暗闇でも外と変わらない明るさで見えるようになった。
死臭が漂うなかゴブリンアーチャーが矢を放ってきた。放ってきた矢を掴み、そのアーチャーに向けて投げ返す。アーチャーは反応出来ずに突き刺さった。それに驚いたアーチャーらは困惑していた。イツキはリクを短刀にしてアーチャーらの頸動脈を斬り刻む。
大量のゴブリンが棍棒を携え、襲ってくる。イツキは音を消してゴブリンを通りすぎる。あまりの早さに気づけずキョロキョロする。やっとイツキの方に振り向いたゴブリンたちは襲いかかろうと走り出した。その時には遅かったのだ。ゴブリンたちの頭が地面に落ち首から血が吹き出していた。バタバタと倒れるゴブリンを無視し奥へ進んでいった。
進むにつれ死臭が強くなる。そして左右に別れる通路が現れた。イツキはネズミ型の式神を送り、リンクして遺跡内部の情報にアクセスしその情報を地図化する。右に行けばゴブリンたちの汚物部屋と6つ生存反応とゴブリンがあった。左は地下に繋がる通路に大広間があり、そこに無数のゴブリン反応と未確認反応が記されていた。まずはパーティーの生存反応に向かうことにしたイツキは突き進む。扉をぶち破ると、女性パーティーらはゴブリンに犯されている最中だったため、イツキは怒りを露にし、直ぐ様ゴブリンを排除した。
「大丈夫か。」
鎖に繋がれていた女性パーティーらは錯乱し声もあげられない状態で正常ではなかった。しかも犯され続けられていたため孕んでいた。
「楽にしてやる」
眠りの呪符を奏でながら、孕んでいるお腹に破壊の呪符を押し当て破壊する。そしてゆっくりと寝かせてやった。
「あ、ありがトウ」
微かな声をだした女性は眠りに着いた。ギルドマスターに念話で説明し、銀の舞台幕にてギルドに繋げ送る。
その作業が済み、イツキは頭を掻きながら俯き、顔を上げると目が変わる。完全にすべてを殺す目になった。
「まぁ弱肉強食の世界ならと思ってはいたがここまでとな。」
舞台幕を大広間まで繋げるとそこには数百のゴブリンが待ち構えていた。イツキを見た瞬間に全員が襲いかかってきた。
妖力解放【腐敗魂孨】
大広間全体に腐敗の妖力を垂れ流すと、ゴブリンらは腐り落ちた。さっさと終わりにしたイツキはもうひとつの反応があるさらに奥に進んでいく。
奥の部屋に進もうとした時、洞窟内が震える。奥から大鬼が姿を表した。
「雑魚どもが静かだと思うたら人間…お前がやったのか。」
3mある巨体に大剣を片手で携えているやつがそう言った。
「そうだが…なにか問題あるか?」
「別に雑魚をどう扱おうが問題ではない…が貴様のせいで数が減ってしまった。その責任は取ってもらう。」
「あいにく俺は苛ついていてなさっさと済まそう。」
鬼雷桜を構え戦闘体勢に入る。イツキはオーガに一気に近づき鬼雷桜を振るう。オーガはそれに反応し、大きな剣で防ぐ。オーガの蹴りがイツキに襲うが、イツキは防衛してオーガから一旦距離を離れる。
「チィ、まさか反応するとは。」
「そんな攻撃が通用すると思うておるのか…見くびるなよ!私は魔王様の魔人騎の1人ぞ。」
魔人9騎将とは魔王直轄9人の1人…戦闘能力がずば抜けて高く1人で5000人を葬る事ができる。
「そうか。」
「貴様の攻撃など通用せん…」
《魔王の根源たる我に力!闇に潜む大炎!大気に眩む小雷…その身を持って思い知れ。》
【炎雷留弾】
炎の流星群がイツキに襲いかかってきた。イツキはそれに動じない。
ー凍れ六道ー
天界道【冷陽地守の盾】
目の前に迫る流星群が凍った。この盾は凍らさる能力を持つ。大地をも凍らさるとも言われている。
「ば、馬鹿な。」
油断したオーガの右腕を切り落とし、驚きよろめいた。
「こんな、人間に我が、殺られるなど、あってたまるか!」
片手に持っている剣を振り上げるが、イツキは次の体勢に入っていた。
「終わりだ。来世からやり直せ。」
《天音剣術拾式》【百華廻桜戰】
鞘に納めている鬼雷桜を高速に抜き回転しながら、オーガを細切れにする。オーガは最後まで何をされたのかわからず死んでしまった。イツキは黙祷し、浄化の呪符を流し、ここで死んだ人たちを天へ導いていった。
作業を終えると目標を達成したのでギルドに報告しに空間の呪符を展開して、帰還した。
誰も居なくなった遺跡内で一部始終を見ていた奴が現れ、ゆっくりと降りてくる。
「あれがイツキ・イーステリアやね…あの神さんが要注意っていってはったねぇ。オーガを使って、この戦いをみとったけどまぁまぁやね…さぁて次はなにしょっとかね」
緑の髪にシルクハットの帽子を被り、狐の目をした「ハザマ」が呟いた。そして消え去った。
イツキは気配に気づいてはいたが気に止めなかった為放置していた。