新たな依頼
「こちらの職員に盗賊たちの持っていた、金品を渡してもらえるかな。」
残っていた職員が、イツキたちから盗賊たちの金品の入った封筒を受け取った。そして職員たちが計測を始めている。そして計測の準備ができたのか職員たちがイツキたちの前に出てくる。
「盗賊の持っていた金品と盗賊の引き渡し料諸々合わせて、イツキ様たちのパーティへの支払額は100,000ミルドとなります。そしてギルドクエストの達成おめでとうございます。」
ナハトの護衛達成報酬よりも、盗賊たちの討伐料の方が報酬額が大きかった。そのことを考えていると。リキスが口を開く。
「申し訳ないのだが。盗賊討伐の後は出来るだけ殺さずに、我らに引き渡してくれないか? ギルドとしても助かるし、冒険者に対しても支払額が多くなるので、お互いに損はない筈だ。』
「頭領と側近だけ、いればいいのでは?」
当然の疑問をイロハは口に出した。
「盗賊は他の盗賊の情報を持っている可能性が高い、まぁ色々と役に立つのだ。』
リキスは色々の部分については説明をしなかった。
「まぁ、いらないというのであれば、ギルドに渡さなくても、奴隷商に売る冒険者もいるがな。」
ギルドに引き渡すよりも、奴隷商に売り飛ばしたほうが金になるらしい。
「最近は盗賊狩りを生業としている冒険者がいるくらいだからな。」
盗賊に襲われる心配が減るので、一般人としては助かるだろうが、ギルドとしては引き渡してもらったほういい、盗賊狩りの存在は、余り嬉しいものでもないらしかった。
ひとまずイツキたちは、ナハトの護衛依頼を達成した。
報酬を受け取ってイツキたちが、この国の観光という話をし始めた頃、慌ててリキスが口を開く。
「待ってくれ! 君たちに一刻を争う程に重要な依頼を頼みたい。」
イツキたちは、観光以外に別に他に用事もないので、話を聞いてみることにした。
「ひとまず、座ってもらえるだろうか?」
再びイツキたちを椅子に座らせて、話を始めた。
「実は国内で今、危険な魔薬が流行っているのだ。」
〈ディラン〉で危険な魔薬が流行っている……、そういわれて真っ先に、このテュレン公国までの護衛を雇ってきた商人を、思い出すイツキたちであった。