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休憩

イツキSide


「「た、ただいま……」」

「お~、お帰り。いきなり悪かったな……って何でそんな疲れてんだお前ら?」


マリア達を見送ってから約5分、キッチンで10品の料理をしていると、キッチンの隅にやたらと疲れた表情の二人が転移してきた。

基本的にあそこは時間が早く進むから、そろそろ帰って来るとは思っていたが、まさか食材の調達でここまで疲れて来るなんて思っていなかったので、つい何があったか聞いてしまった。


「お前……まあもういいや…ホラよ、食材だ。

レイムさんに手伝ってもらったから大丈夫だとは思うけど一応確認しといてくれ……」


マリアはそう言ってボックスを開き、次々と大量の食材を取り出す。


「ああ、了解……ん?」

「何か足りない物でもあったか?」

「らいや……お前らどこでこの食糧調達した?」

「へ?どこってミルク以外はフィールドで狩りをしたりしたけど……。」

「いや、何でだよ…。」


俺が書いたメモには各層の主街区で普通に買える食材しか書いていなかった筈だが、何でフィールド生息のレア食材ばかり狩ったんだ?

いや、助かるには助かるけど。


「何ィ?……レイムさんに嵌められた………。」

「私達の苦労って………。」


それを二人に伝えると、二人は大きな溜め息を吐いて椅子に座り込んだ。

どうやらうちのメイド長がマリア達を振り回したらしい。

そういえば食材も切れかかってたからマリア達の食材採集のついでに二人を手伝わせたのか。


「あ~、まあなんだ、取り敢えずお疲れ。

午後のシフトは空けといてやるからゆっくり休め。」


食材の中にはどう考えても二人じゃ狩れない物もあったし、相当疲れただろう。

二人にジュースを渡してゆっくり休むように言うと、何故か二人共驚いたような表情になり手元のジュースと俺の顔を交互に見比べだした。


「「イツキ(さん)が優しい…だと…?」」

「……ほう、どうやら休憩は要らん様だな。

ならキッチンの担当を代わって貰おうか?」

「「すいませんでしたイツキ様!」」


全く、人の厚意をどうしてすんなり受け入れられないんだこいつらは。


「あ~……しんど……」

「お疲れさまでした、イツキさん」

「ん、イリヤもお疲れ。ちょくちょく手伝って貰って悪かったな。」


それから暫くして忙しさがピークを迎える昼を何とかやり過ごし、少し客の入りも落ち着いて来たので後半のキッチン担当(ユウヤ、レナ、ミキ、コウガ、レイスさん)に引き継いで休憩となった。

交代の時にミキが捨てられた小動物のような表情になっていたのには凄まじく罪悪感を感じたが、今日の夜にミキが好きなデザートを俺が食べさせるということで手打ちにしてもらった。

ちなみにこれを提案したのはイリヤで、想像してしまったミキがボフッと音を立ててショートしたのは言うまでもない。


「いえ、私がやりたかったことですから。」


ちょくちょく手が回らなかった時に献身的に手伝ってくれたイリヤを労うと、可愛らしい笑顔でそう言ってくれた。


「ありがとう。それじゃ、せっかくだし回ろうか?

出来れば制服に着替えたかったけどな……。」


休憩に入る前に制服に着替えようとしたら、更衣室的なスペースに金髪オールバックのアヴェがおり、尻を狙っていたので、貞操の危機を感じた俺は、アヴェにパロ・スペシャルをかけていたら白い執事服で文化祭を回るという羞恥プレイをせざるを得なかった。


「まあまあ、凄く似合ってるよ♪」

「……ありがとう、イロハ達も似合ってるよ」

「そう?ありがとう!」


そして、我が嫁達も一緒に衣装のまま文化祭を回ることになった。

建前上、皆は俺一人だけにそんなことをさせる訳にはいかないと言っていたが、今は当の本人達が一番コスプレを楽しんでいるような気がする。

まあ俺的にはとても眼福なので文句など出よう筈も無いが。

ちなみに皆の衣装は、

イロハがメイド服、シェリカが黒い執事服で男装、イリヤが運命の少女服、ここには居ないが、ミキは巫女装束を身に纏っている。

まあ取り敢えず、ごちそうさまです。


「それじゃあどこから回ろっか?」

「うーん……そういえば昼食がまだだったな。

よし、先ずはご飯にしよう。」

「そうね、もうお腹ペコペコよ……」


まあ午前中ずっと立ちっぱなしで料理してた訳だし、そりゃお腹くらいは減るだろう。


キュルル……

「ん?」


そう結論を出すと、不意にそんな可愛い音が聞こえてきた。


「あう……」


その音の方を見ると、イロハが顔を赤くして腹部を押さえていた。


「ハハッ、そろそろ限界を迎えそうな人も居るし急ごうか?」

「そうですね。私もそろそろ限界です。」

「じゃ、せっかくの祭りだし。下の屋台で食べようか?」


ここの文化祭では、クラスの出し物としては飲食店は少ないが、代わりに城下町のプロの飲食店が敷地内に屋台で軒を並べたりするので食べる事には事欠かない。

まあそれでも先程までのクラスみたいになるんだが。

それだけ毎年期待されてるんだな。


「さんせー……屋台なんて……ジパング以来…。」


やっぱり祭りと言えば屋台巡りだろう。

という訳で、俺達は屋台が出ている校舎の外へと歩きだした。


「おvvイツキジャマイカ。キッチンは交代したのか?」

「モファ?」


皆で屋台巡りをしていると、いつも通りニヤニヤとした笑みを浮かべたリカに声をかけられた。


「おまvvどんだけエンジョイしてんだよvv」


リカは振り返った俺を見て、相変わらずのニヤニヤ笑いを浮かべながら呆れたように言う。

なんだよ、ちょっとホットドッグを咥えながら両手に食品が入ったビニール袋を提げてるくらいじゃないか。………うん、十分エンジョイしてるな。


「んぐ……お前は?仕事は終わったのか?あ、コレ要る?」


確かリカは呼び込みに行っていた筈だが、今は仕事が終わったのかコスプレ衣装(黒兎の候補生)から普段通りの紺色ブレザーに袖を通している。


「おvv焼きそばかvvサンキュvv

俺は今日は持たされたチラシを配り切ったらオフでいいって言われたからな。さっさと配ってしまったのさ。」


成る程、日頃の行動がアレだから忘れがちだけどこいつはこれで黙ってれば美少女だしな。

こういう場では一般の女性からお年寄りまでの逆ナンとかも凄いんだ。

そんな話をしていてリカは人込みの向こうへと消えて行った。

その後にリカが消えた方から複数の女性の悲鳴が聞こえてきたが取り敢えず無視しておいた。


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