女王と巫女と無影
『次は、皆さんご存知!イース王女、フェルト選手の競技です!
彼女は人と比べて魔力が少ないことを緻密な魔力コントロールで補うという戦闘法を得意としています!果たしてチヅル選手の記録を打ち破れるか!?』
ネル先輩の放送が入ると、選手入り口から女王姿のフェルト姫が苦笑いを浮かべて入場してきた。
うん、気負いも無さそうだし自然体だな。
「なんでアリスちゃんの猫耳を塞いでんだ?」
「直ぐに分かるさ。」
突然アリスの獣耳を手で覆った俺を見てマリアが聞いてくるが、そうとだけ答えてフェルトを見守る。
そして、フェルトは舞台の中央に来ると、360度周りを取り囲む観客達に微笑を浮かべて軽く一礼し、俺達の方を見ると綺麗な笑顔でウインクをした。
『『『お姉様ァァァァ!!!』』』
そしてその瞬間巻き起こる黄色い歓声。
「……なるほどな。」
「せっかく眠ったんだから起こしたら可哀想だろ?」
全く、ここまで来ると女子だとわかってても複雑な心境だよ。
なんだあの百合ドSホイホイ。
「ん?フェルトは魔武器を使うのか?」
マリアの言葉に舞台上の白線に立ち競技の準備をしているフェルト姫に目を向ける。すると、フェルト姫は鞭の王快を構えていた。
『準備はよろしいですね?では、競技スタート!!』
パァン!
スタートが宣言されると、まずは一枚の円盤が袖から射ち出され、有効エリア内に入った瞬間フェルトの鞭に中央を貫かれた。
パパパパパパパパン!
すると、次は一気に8枚の円盤がバラバラの方向に飛行していく。
『おおっと!これはえげつない!一気に難易度が上がりました!この競技は基本的に不規則なタイミングで射出されますが、今のように円盤の中央を打ち抜くと射出される円盤の数や速度が上がる仕様になっております!』
そういう説明は最初にするべきでは?と思ったが、ひとまずそれは飲み込み舞台の上で魔力で生み出した矢をつがえて有効エリアに入ろうとしている円盤を見つめているフェルトを見守る。
すると、フェルトは少し目を細め、一瞬鞭の軌道の角度を変える。
バキャ!!
そして放たれた鞭は8本に分裂し、有効エリアに侵入してきた円盤に向けて吸い込まれるように突き進み、全ての円盤の中心に中たると円盤を粉々に粉砕した。
「すげえな……なんつう操作技術してんだよ……。」
「あんなのはまだ序の口だよ。フェルトの本領はここからだ。」
凄まじい鞭の操作技能を見せつけたフェルトに感嘆の声を漏らすマリアにそう言い、眠っているアリスの頭を撫でながら舞台に目を向ける。
【光速増殖蛇足鞭】
【磁力分裂棘鞭】
袖からまたもや大量の円盤が一斉に射出されると、フェルトは一つの魔法を発動する。
発動された魔法は有効エリア内に複雑な魔法を作り出し、エリアに侵入した円盤を蛇のような動きで絡めとる。
『な、なんとフェルト選手、鞭を増殖させて円盤を強引に破壊してしまった!』
そして増殖した鞭は円盤は全てがエリア全体に飛んでいる円盤を捕らえて、それは中央にぶつかると他の円盤と衝突して砕ける。
「なるほど、自分の手で壊さないといけないなんてルールは無いからな。魔力を作らなくていい分魔力の節約になるのか。」
もっとも様々な角度や速度で侵入してくる円盤を全て細かく調整して中央で衝突させるんだから相当精密な魔力コントロールが求められるがな。
『そこまで!競技終了です!!』
そしてフェルトはしばらく飛んでくる円盤を打ち落とし続け、ついに競技の終了を迎えた。
『出ました!フェルト選手の記録は、打ち落とした円盤の数は100!気になるタイムは…………………なんと50秒!!
これは凄まじい!イース学園の長い歴史の中でも前例の無い記録となりました!』
ネル実況の記録を読み上げる放送が入ると、会場は今までに無い程に沸き立つ。
「……みんな達が可哀想になってきたな。」
そして会場の盛り上がりとは対照的にこちらは沈んでいた。
「いや、あれはフェルトが器用過ぎるだけだから。
それにイロハ達だって器用な方だろ?
魔力コントロール中心で鍛えたし、少なくともチヅルさんクラスの記録は出せると思うぜ?」
まあ、フェルトには及ばないと思うが。
まず年季が違うしな。
物心ついたときから少ない魔力で戦うことを考えて、魔力コントロールだけを必死に練習してきたフェルトと魔力に触れてほんの数ヶ月のイロハ達ではどうしても差ができるものだろう。
「それに私達は日常的にイツキさんと訓練をしていますから。フェルトだって今みたいに魔力をコントロールするのにリカさんの階層やイツキさんの【世界】で何十年も訓練したんですよ?」
「何十年もって……じゃあ実年齢いくつなんだ?」
「こらグレン、女子に年齢を聞かないの。」
「フェルト?」
グレンがイツキに訊ねると、後ろから執事服から普通の制服に着替えたフェルトが声でそれを制した
「お疲れ、フェルト。執事服、格好良かったぞ」
「ありがと、でも格好良いっていうのはちょっと複雑かな?」
マリアの言葉に苦笑して、フェルトは空いていたイリヤの隣に座る。
「そうか?可愛いフェルトはよく見てるけど、格好良いフェルトも新鮮で良かったぞ?」
「もう……口が上手いんですから……。」
「あれ?なんかいきなり桃色空気?」
「今更だろ。だれかコーヒー持ってない?」
『次は、ミキ・イサナ選手の競技です!!ミキ選手は準備をお願いします!』
「お、次はミキの番か。どれくらいだと思う?」
「57かな。」
「56だな。」
「じゃあ53。」
「うーん……俺55。」
「もれは54www」
放送が入り、皆に訊ねるとコウガ、マリア、ユウヤ、リカがそれぞれそう答えた。
コウガは文化祭のほうの調理から休憩している途中だ。
「何の話だ?」
俺達の会話がいまいち理解出来なかったのか、フレイが聞いてきた。
「ミキのタイムだよ。俺は57かな」
「タイムだけか?記録は?」
「考える必要無し。まず打ち漏らしはないだろ。」
『そうね、ミキなら多分ミスはしないと思うわ。
さっき控え室でも結構落ち着いてたし、案外あれの効果があったんじゃないかしら?』
「…そうかぁ……?」
あの様子からして逆効果にしか思えないんだが。
そもそもミキは基本的に超が付くほどの恥ずかしがり屋だし。見てると和む。
「…そうだな、多分あれを使うだろうし、心配は要らないか。
「あれ?」
「ああ、マリア達は知らないのか。なら見てのお楽しみだな」
首を傾げているマリア達にニヤリと薄い笑みを見せ、俺は膝の上のアリスを撫で始めた。
『それでは、競技開始!!』
ミキが入場し、軽い紹介をされながら所定の位置に着くと直ぐに競技が始まった。
「へえ、チャクラムか。妖術以外を使ってんの見たことないからちょっと新鮮だな。」
「ああ、確かに魔闘祭以来使って無かったな。」
ミキがボックスから二つの円形のチャクラムを取出し構えると、ユウヤがそう呟いた。
魔闘祭以降にこの世界に来たユウヤならが知らないのも無理はないか。
「やっ!!」
そしてミキは鋭い声と共にチャクラムを投げる。
すると、チャクラムは淡い黄色の光を纏い少しだけ幅を広げながら飛んでいき、有効エリアに侵入した円盤を砕いた。
「ん?あのチャクラム、戻らないぞ?」
そして次なる獲物を探すが如くエリア内を複雑な軌道で飛び回るチャクラムを見て、グレンがそう聞いてきた。
「あれはミキが補充した魔力の糸を使って、ミキの意のままに動き回るようになってるんだ。」
「へぇ……便利なんだな。」
「でもあれを使うには相当の努力と才能が必要だぞ。自分から離れた空間であんな薄っぺらい円盤を操るんだ、かなりの空間把握能力が要求されるし、少しでも集中を乱すと落ちてしまうからな。
集中力皆無のグレンやフレイには逆立ちしても使えんよ。」
「そこまで言わなくてもよくね!?」
「くそ、バカにされたのに言い返せない自分が情けない。」
『おっと!見事なチャクラム捌きでしたがここで一気に4枚の円盤が射出!!二枚のチャクラムだけでは処理しきれないでしょう!どうする、ミキ選手!』
と、グレン達をいじっていると舞台の上ではエリアの両袖から2枚ずつ、合計4枚の円盤が一斉に射出されたところだった。
「ちょっとやばいんじゃないか?」
「なに、問題ない。ミキはお前達の何倍も強いから安心して観てろ。」
「……一応巻き込まれとして召喚された身としてはかなり複雑だなそのセリフ。」
知らん、俺は事実を言ったまでだ。
《雷符》【雷光閃】
ミキは有効エリアに入った円盤の2枚をチャクラムで砕き、残る2枚は懐から出した札から雷を放ち、中心を貫いた。
そして息つく暇もなく、袖から倍の8枚の円盤が射出される。
【雷閃】【水を砕く閃弾】【氷槍】【霹靂一閃】
だがミキは特に慌てる様子もなく、飛来する円盤をチャクラムで砕き、雷で貫き、破裂する水の球で打ち落とし、氷の短槍で穿ち、雷の人形が抜刀術にて粉砕する。
「あのチャクラムって相当集中しないと使えないんじゃなかったのか?
その割りには3つも魔術を発動してるけど。」
「ああ、使えないぞ。少なくともお前にはチャクラムを操るので精一杯だろうさ。
今度貸してやるからやってみるといい。」
「遠慮しとくよ。ならなんでミキはチャクラム以外にも魔術を行使してるんだよ、同一のものを3つならまだ分かるけど、明らかに系統が違うものを3つもな。」
「ああ、それはミキの特技…というか才能だな。
普通人が魔法や魔術を行使するときにその改変結果になるように無意識の内に脳で演算をするんだが、ミキの場合その演算をする能力が常人より遥かに優れているんだ。
だからああやって普通の人なら不可能な多重発動もできる。
お前の身近なところではコウガが、ミキに近い才能を持ってるかな。流石に勇者をやってるだけはある。」
「なるほどね……確かに俺は最高でも5種類までしかマルチキャスト出来ないし、ユウヤなんか3種類で限界だろ?」
「そうだな。」
「(え……俺2種類が限界なんだけど……)」
俺達の話を聞いていたグレンが何故か落ち込んでいた。何があったし。
「お前らがそうでもミキはチャクラム無しなら20種類までマルチキャスト出来る。
あのチャクラムを使うとなるとマルチキャストは10までかな?」
俺がそう言うと、マリア達は驚愕の表情を浮かべて絶句した。
「そんなに驚くなよ……鍛え方次第ではその数を増やすことも出来る。」
「そうなのか?……じゃあイツキ達の限界数はいくつくらいなんだ?」
「えーと…イロハが160、シェリカが140、ルーチェが1600、ジョットが1200、リカが1500万、、ユナは100かな?」
「……お前は?」
「あのチャクラムを那由多操りながらこの世に存在する魔法妖術全部を発動できる……かな。」
「うわぁ………」
「私はともかく、イロハ達はそれぞれミキの多重発動みたいな突出した才能を持っている。
イロハはスピード、シェリカは超精密な魔力コントロール、ミキは多重発動って感じだ。」
「なるほど、っていくら何でもあれは無理じゃね?」
「ん?」
マリアに指差され、舞台に目を向けると、27枚余りの円盤が一斉に射出されていた。
「なんだ、たった27枚ちょっとじゃないか。丁度いい、さっき言ってた<あれ>が見られるぞ」
そう言ってマリアの視線を舞台に向けさせると、ミキは左手薬指にはめられた指輪に右手を触れていた。
「来て下さい!」
《妖器》【星天】
そしてミキがそう鋭く声を上げると、指輪に埋め込まれた属性石が光を放ち、中から何かが飛び出すと、光は一つの星の形をしたヘアピンに変化し、ミキの前髪を留める。
「おいおい、器ってまさか……」
「そのまさかだよ。もっとも神器になるのは霊じゃなくてミキの指輪に宿った私の分身体だ。
名は星、器は天。ミキが名付けたミキだけの妖器だ。」
まあミキは神ではないので正確には「神器に類似した何か」だけどな。
「ちなみに能力は万年不幸少年みたいに主の補助的なことをする。今ならミキの術式演算の補助、標的の捕捉、魔力消費の効率化、チャクラムのルート計算をしている筈だ。」
「どんだけ万能なんだよお前の分身体……」
「さあ?本音では分身体に宿る能力は俺が考えた訳ではない。宿るのは分身体がその指輪の持ち主に能力と才能によって必要なことを解析して発現する。
その辺は魔武器と原理は同じだよ」
次々と多彩な魔術と流れるようなチャクラムの動きで大量の円盤を打ち落としていくミキを見ながら俺は会話を締めくくった。
「お疲れ、ミキ」
「ありがとうございます。イツキくん」
競技を終えて観客席に戻ってきたミキに声をかけると、ミキは安心したように柔らかく微笑んだ。
「珍しく天を使ったんだな、使わなくても余裕だったんじゃないか?」
「そんなことないですよ。
パーフェクトを出せたのはこの子のおかげです」
そう言ってミキは膝に乗せた5歳くらいの黒髪の男の子の頭を優しく撫でる
「わあ、可愛いですね~」
「そうね、やっぱりどことなくイツキさんの面影があるわね。さすがに分身体ってことかしら?」
そう、この女性陣に遊ばれている子供はミキの指輪に宿る俺の分身体だ。
容姿は黒髪黒目の俺を子供にした感じ、ただ目が俺よりややぱっちりと開いている。
「……や。…はずかし……」ギュー
そして性格はミキから受け継いだのか超が付くほどの恥ずかしがり屋、そしてお前それどっから持ってきたと言いたくなる程のクーデレだ。
……こいつ俺の分身体だよね?………どうしてこうなった
ちなみに誤解の無いように言っておくが、こいつは俺がわざと子供の姿にした訳ではない。
ミキに渡した指輪にてきと…げふんげふん無作為に分身体を宿らせたらこの姿になったのだ。
「それで、イツキの子供のころってこんな母親とかにしがみついたりしてたのか?」
と、ニヤニヤしながらリカがミカ(分身体の名前)をいつに無くキラキラした目で撫でているマリアに訊ねる。
「イツキはもっとしっかりしてた。でも母親は居なかったが、祖母から離れなかったところはそのままだ。」
「そんなことないだろ?私はこんなにばあちゃんにベッタリじゃなかった筈だ。」
「…ああ、そうだ祖父にもベッタリだった。」
「ふーん。」
「な、なんだよリカ。」
「いやぁ?ww完全無欠のイツキ君にも可愛い時期があったんだな~と思いましてwwww」
「なっ!?」
「ふぉっふぉっふぉwwww」
「リカもシバかれんのは目に見えてんのに何でわざわざおちょくるのかね……。」
「…みぃ、ねむ………」
「はいはい、抱っこしてますから眠っても大丈夫ですよ。お疲れさまでした。」
「おや…」
「ん?眠ったのか?」
リカを捕まえて一通りシバいてから観客席に戻ると、ミカはミキに抱かれてすやすやと寝息をたてていた。
「はい、やっぱり補助は負担が大きいみたいですね。あれだけ大量の複雑な演算の補助ですから。」
「なるほど。それにしてもなんで中身までショタなんだか……」
一応俺のコピーも同然なのに、なんでこうなるのやら。
もう少し真剣に作ればより良いものが作れたのかもしれない。
「まあミキは53秒でクリアだった訳だけど……シェリカはどうかな?」
「競技にすらならない気がするわ……まず魔法自体使わないでしょうね。」
「だよなぁ……」
シェリカは影魔法を使う達人、さらに糸魔法を使いまず円盤を動かすのだって糸を使ってるら、その糸さえ支配してしまえばもうシェリカの独壇場だしな。
ミキのように他の円盤にぶつけるもよし、その魔力を霧散させて推進力を無くして円盤を地面に落とすもよし、魔力を暴発させて円盤自体を砕いてしまうもよし。
「まあ流石にそんな分かりやすいことはしないだろうさ。多分50秒台に抑えるよ。」
「だと良いんだけどね……ってサッカーの決勝はいいのか?もう2時半だぞ?」
「え?あ、マジだ。……じゃあシェリカの競技だけ観ていくよ。」
流石に決勝だしマリア達は少し前に会場に入って体を温めた方が良いだろう。ユウヤはそれを伝えて去っていった。
え?俺?…俺が真面目に体を動かしたらどうなると思う?
「結局他の人たちの競技見れなかったな……。」
「まあまあww運がなかったと思うんだなwwww俺だって参加したいのに出来なかったんだからwwww」
「ふぅん……あ、ならイリヤ、リツキを出してくれるか?」
「え?わかりました。おいで、リツキ。」
頼むと、イリヤは指輪に手を触れ小さく呟く
すると、指輪の属性石が発光し、手の平サイズの緑髪の俺が現れる。
こいつはシェリカの指輪に宿る分身体、名前はリツキ
『あ、本体じゃん。何?パシリ?』
「よくわかったな。まあ説明するとだな、かくかくしかじか。」
『まるまるうまうまって事ですね分かります。わかったよ、本体のご命令とあらばどんな決定的なシーンでも逃さないぜ!』
そう言ってリツキは少し体のサイズを大きくし、どこから取り出したのかテレビカメラ(RED)を構える。
「よし。あ、先に言っておくが余計なもん撮ったら折檻だからな。」
『誰が撮るか!!俺が撮るのはシェリカたちの可愛い動画と妹の成長記録だけだ!!』
「ならよし」
「ここにも重度シスコンがwwww」
「………ま、こうなるよな」
俺は苦笑いを浮かべながら舞台を見下ろす。
そこには、右手を突き出したシェリカと少し先の隆起した地面の上に無数の円盤の破片が落ちていた。
『きょ、競技終了…です……記録はパーフェクト……た、タイムは……30秒……。これは…理論上出せる最速記録となっています……』
はい、という訳でシェリカの競技は解説する間も無く30秒という記録を叩きだして終了となりました。
「流石はクラスのチート…声援に勝る原動力は無いってことか?」
俺のシスコン云々は後でみっちりO☆HA☆NA☆SHIするとして、マリアの言葉通りシェリカはパワーを爆発させることとなった。
というのも、シェリカは競技開始直前までは普通にイリヤ達と同様に50秒台に抑えるつもりだったらしいんだが、
競技が始まった瞬間に闇人が「お姉ちゃん頑張って!!」と叫んだことによりシェリカ。そこからの競技は、射出された円盤は有効エリアに入った瞬間に糸魔法が円盤の影から出現し、次々と放たれる大量の円盤もなんのそのと広範囲魔法の連続発動でエリア内に侵入したそばから破壊されるといった運びとなった。
「ま、これで三人は確定だな。あとはフェルト姫達がチヅル先輩の記録を越えるか、それともチヅル先輩が逃げ切るか、はたまた大穴で他の誰かか……まあいいか。
さて、いよいよ決勝だ。マリア、リカ、先にイロハ達を連れてフィールドに行っててくれ。」