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初戦突破

『ピピーーーー!!』


「っと、もうホイッスルか。」


それからどちらも一歩も引かぬ戦いを繰り広げ、0対0のまま折り返しを迎えた。


「ふぅ…あのガチムチの防御が中々堅いな。

まさか魔法で再現したとはいえ必殺技がことごとく防がれるとは思わなかった……。」


「俺とマリア、ユウヤの雷帝冷却ライトニングブリザードすら止められたしwなんなんだよあのガチムチwwマジで人間か?」


そして今は5分間のハーフタイム。

皆でコート脇にしつらえられたベンチに腰掛けながら、前半を振り返っているが、会話に出てくるのは殆どが化け物じみた防御力を誇るあの大男のことだ。

前半では主にマリア、リカが魔法で様々な必殺技を再現して何度もゴールを狙ったのだが、ガチムチの魔法や肉体にことごとく止められたのだ。

それに加え、相手チームの攻撃陣も中々のテクニックや攻撃力を持っており、あのガチムチのセットプレイからの連携に何度もシュートを狙われたのだ。

その度におれが必殺技で止めているわけだが……。


「このままだとジリ貧だな。イツキ…そろそろお前も攻撃に参加しようぜ?」

「そうだな、みんなに負担をかけすぎるのも悪いし。5分間を使い、そんじゃいっちょやりますか!」


俺がそう言うと同時に学園長のホイッスルが鳴り、後半が始まった。


「それじゃあ後半始めるよ♪後半は2Aからのキックオフね♪」


コートに入り、それぞれがポジションに着くと学園長がセンターラインに立っていた男子生徒にボールを渡し、高らかにホイッスルを鳴らした。俺はゴールラインから走っていく。


「今度こそボールを奪うぜよ。」

【局部強化】【属性強化】

「二重強化じゃ!」

《時魔法》【クロノス世界ワールドの不動】


男子生徒が後ろに控えていた女子にパスをした所で、いきなりリカが強化魔法を足に二重掛けして凄まじい速度でボールを奪った。


「おっしゃwww決めたれw」


そしてリカは直ぐに振り返り、5分間だけキーパーをやめ少し前に出る。俺に向けて強化したままの足でボールを蹴ってくる。


「ったく、せめて強化くらい解除しろって…の!!」

《来い始祖はじまりイザナミ

憑装アームド


俺は溜め息混じりに凄まじい速度で迫ってくるボールを見据え、イザナミを具現化して憑依する。トラップもせずにそのままボレーシュートで相手ゴールに向けて蹴り飛ばした。


「ぬうっ!?【ガイアウォー…ぐはぁ!!」


そして、俺が蹴ったボールは、丁度センターラインから相手選手達が反応する間も無く、選手の間を矢の様に真っ直ぐに突き抜け、そのままブロックしようとボールの前に立ちはだかったガチムチごとゴールに突き刺さった。……もう少し弱く蹴ればよかったかな?

一応強化とかは無しで蹴ったんだけど………。


「歯~ブラ~シ!ゴ~シゴ~シゴ~~~シ!いやぁww……憑装アームドして素の蹴りでコート半分突っ切った上に、あの防御力カンストのガチムチごとゴールを決めるとか

さっすが全パラメータカンストの神外チートwwww俺達に出来ないことを平然とやってのけるwwwwそこに痺れる憧れふぐぇっ」


得点板の俺達の所に1の文字が追加されると、この得点のアシストを努めたリカがニヤニヤしながら近寄って来たので取り敢えず鳩尾に膝を叩き込んだ。


「おいバカ、なんだ?さっきのパスは?受け手が俺じゃなくてグレンとかモブメイトだったらどうするつもりだったんだ。」

「さ、さーせん。ちょっと調子くれてましたw出来心だったんですww許してヒヤシンスw」

「……まあいい、次から気をつけろよ。」

「イエスサーwwww」


そう言って俺たちは自分のポジションへと戻って行った。


『あなたも人のこと言えないけどね。能力の殆どを封印した今の状態もそこら辺のザコ転成者何百人よりも強いんだから。

もう少し手加減を考えなさい。』

『分かってるよ』


ちなみに夏休みに伊邪那美とした修業でどうにか神外スペックを制御しようとしたのだが、どんどん使わない能力が増えた上に尋常でない身体能力になってしまったので今はそれを抑える為に何億重という封印を自分自身にかけている。

最終的に能力を使い熟すことは出来たのだが、万全を期してということで自分の能力の殆どを封印しているのだ。

ちなみに使い魔達の能力は完璧に制御出来るので封印はしていない。

というか封印してしまうと俺と魂が繋がっている使い魔達まで能力、権能が封印されてしまうので封印しようにも出来ないのだ。

~閑話休題~

ようやく俺のシュートをモロに受けた大男が立ち直り、2Aチームから再度試合再開となった。

さて、どんどん行こうか。


「絶対に取り返す!!」


プレイ再開のホイッスルが鳴ると同時に、相手チームは一旦ボールをMFまで下げ、2人のFWが左右に散開し、一気にコートを駆け上がって来た


《幻魔法》【濃霧からの強襲】


そして、FWの片方(女子)がMFからボールを受け取りイロハが守る所に走っていく。


「来たね、先輩には悪いけどやる気になったし私達ももう手加減はしない。」


そう言ってリカは体操服のハーフパンツのポケットに手を突っ込むと、一つの手の平サイズの携帯端末のようなものを取り出した。


「ボール、貰う。」


イロハは指を躍らせてオプションギア【魔法妨害器具(MAD)】を操作しながら魔力を流し、左手を向かって来る女子生徒にかざす。


「えっ!?ボールが動かない!?」


すると、女子生徒がドリブルしていたボールが跳ねた瞬間に空中で静止し、どんなに力を加えても動かなくなってしまった。もちろん俺はあのボールの相対位置を硬化魔法で固定しただけということは理解出来るが、この世界では科学は地球と比べるべくも無く未発達だ。

おそらく女子生徒は突然何らかの力が働いてボールが固まったとしか思えないだろう。


「きゃっ!!」

「もらい…イリヤ!!」


女子生徒がどうにかしてボールを動かそうとしているうちにイロハは女子生徒に向けて移動系の魔法を発動、女子生徒が後ろに吹き飛ぶと、ボールにかけていた硬化魔法を解除し、近くに居たイリヤにパスを繋げた。


「はい!」

「行かせない!!」


そのボールを受け取ると、すかさずFWの男子生徒がイリヤをマークする。


《幻惑魔法》【惑わす2人の蜃気楼】


だが、イリヤにとってたった一人のマークなど大した問題にもならない。

イリヤは幻惑魔法、ミラージドラフトを発動して自分そっくりの蜃気楼を作り出して男子生徒に蜃気楼を追わせて難なく男子生徒のマークから外れる。


「シェリカ!!」


そしてしばらくドリブルをした所でセンターラインまで上がっていたシェリカにパス、シェリカはそれを受け取ると、前に向けて走りだす。


大地針ガイアニードル


そしてシェリカは進行方向に先を平にした針をいくつも生成して、その上を器用にリフティングしながら素早く渡り歩く。


「リカ!!」


そしてシェリカは空中でフリーだったリカにボレーパス、リカはそれを受け取るとニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。


「マリア、ユウヤ!イツキ!ww」

「「了解!!」」


何となくリカがやりたいことを察した俺たちと共にリカの前に走る。

すると、リカは足に大気の圧力を纏いボールを高く蹴り上げる。


「落ちろ!」


天高く舞い上がったボールは、どす黒い雲を集めたかと思うとリカの声と共に落雷の如く落ちてくる。


「食らいなww」

《四人合体蹴り》

星天流星雨デストロイミーティア


次の瞬間、俺、リカ、ユウヤ、マリアの四人で落ちてきたボールをゴールに向けて蹴り、飛んで行ったボールは今度は声を上げる間も無く相手GKのガチムチもろともゴールに突き刺さり、ネットを突き破って後ろの地面に叩きつけられた。


『ピ、ピ、ピーーー』


それから約10分、俺達は前半とは打って変わり一方的な試合を演出し試合終了を迎えた。


「ガハハハハ!完敗だな!ここまでボロボロにされるといっそ清々しいわ!!」

「本当は20点取るつもりだったんだがな。タフすぎだろあんた。」


最後の挨拶をしようと整列し相手リーダーのガチムチと向かい合うと、ガチムチは豪快に笑いながら右手を差し出してきた。

流石にガチムチの意図は理解できたので、俺は軽口を叩きながらその手を掴みしっかりと握り返す。


「ガハハハハ!!あれ以上取られたら自信を無くしてしまうわ!それにそっちのキーパーも俺達の攻撃をその華奢な体で全て受け止めたじゃないか!」


ガチムチは俺の手を強く握り返しながら首を動かす。その視線の先には、19対0と表示されたスコアボードがあった。

言わずもがな19の方が俺達の得点だ。


「これでも一昨年度の優勝クラスだったんだがなぁ。

やはり上には上が居るものだな!!」


そう言ってガチムチはニヤリと口元を綻ばせた直後またガハハとひとしきり豪快に笑い、言を重ねた。


「俺達に勝ったんだ、負けるんじゃないぞ。」

「もちろん。」


そしてお互いにもう一度手を握り合い、ガチムチは堂々とフィールドを出ていった。

………何このスポ根みたいな終わり方


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