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バンド

「で、今年は出ないのですか?」

「流石に出ないわよ…恥ずかしいじゃない……。」


昨年の事を思い出したのか、少し顔を赤くしてそっぽを向くヒナさん。


「残念、出ないのですか。私も生で聞いてみたかったんですけど……」


雨〇笑顔とFly h〇ghとSpring has c〇meとTe〇nage Diaryを歌って欲しかったんだが、残念だな


「おや、ヒナ出ないのか?イツキ君が露骨にガッカリしてるぞ?」

「だ、だって……。」

「そういえば、いっちゃんって楽器得意だったよね?」

「ん?ああ、まあ一通り出来ますけど……それがどうかしましたか?」


コリーがそう聞いてきたので逆に聞き返すと、それを聞いていたチヅル先輩の目が妖しく光った……気がした。


「そうか、ならばイツキ君、もしヒナが歌うと言ったら伴奏できるかい?」

「全身全霊をかけてやらせていただきます。」


即答で返事をした。


「ふむふむ、……だそうだがヒナ、それでも出ないのかい?」

「う……」

「愉しいわよ~」


今のチヅル先輩の囁きが悪魔の囁きに聞こえたのは俺だけだろうか?


「わかったわよ……やるわよ……」


どうやら悪魔(先輩)の誘惑?に負けたらしいヒナ会長が折れたことで決着がついたらしい。


「ただし!イツキくん、伴奏よろしくね。手なんか抜いたら許さないんだから!」

「YES Your Highness。」


胸に手置いて頭を下げる。

ジト目で見てくるヒナさんにニヤリと笑い掛けそう言った。

さて、帰ったら久々に楽器でと練習でもするかな?


選択楽器オプションコードフォルム》【ギター】


という訳で、生徒会の仕事を終えた俺は妖城『世界』に帰り、食事入浴を済ませてから地下に作ったスタジオに入った。

というかもはや寮の一室の原型が存在しない件について。


「うん、いい感じだな。リカ、そっちはどうだ?」

「大丈夫、問題ないはない。」


ギター形態で出したコードの弦を何度か弾いて調子を確かめ、俺の後ろで何度かドラムを叩いて同じく調子を確かめているリカに声をかけると、某天使の様なセリフが返ってきた。


「よし、じゃあ始めるか。リカ、リズムよろしく。」

「あいあいさー。」


そう二人で声を交わし、それぞれオプションコード(楽器)を構え演奏を「ちょ待てよ」始められなかった。


「なんだよ?マリア?」


いきなりモノローグに飛び込んできた乱入者マリアに声をかける


「いやありがとよ。俺の部屋に転移してきたと思ったらいきなり拉致ってくれて。

危うくフェルトに拷問仕掛けられたからよ。」

「そうか……我ながらバッドタイミングだったな。何故拷問をされようというのは置いといて

いや、突然なんだが。来月の文化祭でバンドやるから手伝え。」


有無を言わせない口調でマリアにベースをボックスから取り出して渡す。

ちなみにこのベースはリカが作ったものだ。


「いきなり過ぎだろてか何でベース?」

「何でって……お前ベース弾けるだろ。よくライブハウスでやってたろ。そのベースはお前にやるからよろしく頼む。」

「何で知ってんだよまあ別にいいけどさ。で……アンプは?」


そう言いながら俺が渡したベースの弦をビンビンと弾くマリア。


「ああ、アンプは無いぞ。端子が付いてないだろ?

中に音属性の術式が刻んであるんだ。魔力を流しながら弦を弾いてみろ。リカと共同製作だ。」

「流石イツキ。どうでもいい物に貴重な技術を無駄に注ぎ込むな。」


マリアが魔力を流しながら弦を弾くと、軽快な音が鳴った。


「よし、ちゃんと使えるな。それじゃ、これが文化祭でやる曲目だ。」


面白そうにベースを鳴らし続けているマリアにベース用に起こした楽譜を渡す。


「誰が歌うかもう予想出来たんだが。」


楽譜をパラパラと捲り、目を通したマリアは、いつも通り笑いを浮かべて、楽譜を折り畳みポケットに入れた。


「トータルで6曲か一応知ってる曲ばっかだし問題ないすぐ憶えられる」

「そうか……とりあえず一回ずつ合わせてみるか?」

「りょwwww」

「わかった。」


その後、6曲を三人で合わせて、さらにサプライズ用の曲を弾いて、その日の練習は終了となった。

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