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再会

「よし、到着。ミキ、お疲れ。」

「お疲れさまでした。」


話ながら二人で階段を登ること10分、合計1373段の階段を登りきり、ミキと声を掛け合う。


「あら?ミキちゃん?」

「この声は……ミナお姉ちゃん!!」


しばらく二人で参道の端を歩いていると、竹箒で参道を掃いている巫女装束(脇巫女ではない普通の)に身を包んだ20代前半くらいの黒髪黒目の綺麗な女性がミキに声をかけた。


「久しぶりね!お帰りなさいミキ!変わり無い?」

「はい!お姉ちゃんこそ元気でしたか!?」

「私は元気よ!ミキが居なくて寂しかったけどね!………ところでミキ、そこの格好良い彼は?もしかして、ついに良い人を見つけたの?」

「わっ!?ち、違います!」

「!!あ~ん!もうミキったら可愛い!!っと、置いてきぼりにしちゃってたわね。私はミナ、この神社で境内のお掃除などのお手伝いをしているわ。」


ミキをキツく抱き締めていたミナさんは、改めて自己紹介をしてきた。


「ミキの師匠をさせてもらってます。イツキ・イーステリアです。よろしくお願いします。」

「…ふーん………」


自己紹介を済ませると、ミナさんは俺のことを、目を細めなめ回すように観察し始め、次の瞬間ミナさんの体は一瞬ブレて、その場から消えた。


ヒュッ!

パァン!!


「……危ない。今の威力は《普通の》人間だったら即死レベルですよ。」


そしてミナさんは俺に向かって拳を放ってきて、俺はそれを右手で受け止める。


「……それを平然と受けとめるあなたは普通じゃないわね。


「否定はしない。普通じゃないことは自覚している。ただ、牙を向ける相手は選んだほうがいい。」


そう言って俺はミナさんに割りと本気で殺気を当てる。ちなみにこれを無差別に撒き散らすとこの星の全生物が滅ぶ。


「……肝に命じておくわ。いきなり殴りかかってゴメンね?ミキの師匠がどんな人か気になったの。」


だが、俺の割りと本気の殺気をピンポイントで受けてもミナさんは、顔色を少し悪くした程度で平然としていた。


「いえ、お気になさらず。」

「じゃあミキちゃん、お父さんとお母さんは本殿に居るから挨拶してらっしゃい。引き止めてごめんなさいね。」


ミナさんの言葉を聞いて俺達は巨大な本殿へと向かった。ミナさんに連れられ、長い廊下を渡り、本殿の目前まで進む。荘厳なオーラを醸し出す巨大な扉が俺を圧倒させた。


「あ、言い忘れてたけど、本殿の中では西洋式の魔法は一切使えないようになってるから。」

「へぇ。」

「この本殿の四隅に貼ってある札の効力でね、放出した純粋な魔力を四散させちゃう結界が張られてるのよ。札とかを介した東洋式の魔術は使えるけど、外から来た人は基本的に魔法しか使えないから一応忠告ね。じゃ、私は掃除に戻るわ。ごゆっくり~。」


ミナさんはそう言って境内の方へ歩いていった。


「魔法は使えない、か」

「大丈夫ですか?イツキくん。」


俺の呟きにミキが心配そうな目を向けてくる。その前に妖術は禁止されていない。


「大丈夫だよ、別に戦闘をするわけじゃないんだ。それに、ミキの魔術及び陰陽道を鍛えたのが誰か忘れたか?」


俺は悪どい笑みを浮かべてミキを見据える。


「……ふふ、そうでしたね。余計な心配でした。」

「いやそうではない。」


ミキにそう声をかけて豪奢な扉を開いた。

なんとなく気分はボス戦に向かうビーター君だ。


「ただいま帰りました。」

「失礼します。」


二人で並んで本殿に入ると、先ずは広さに目を奪われた。日本の学校の体育館二つ分くらいの面積があり、奥には本尊が祭られているだろう巨大な祭壇がある。

そして、その中に二人の人物が居た。


「お父さん…お母さん……」


ミキがその人物を見て呟く。

1人は、柔和そうな顔立ちをした20代半ばに見える線の細い神社の宮司のような服装の黒髪の男性。

もう1人は、並んだら双子に間違えられそうな程ミキにそっくりなミナさんと同じ、巫女装束に身を包んだ黒髪の女性。

どちらも子持ちの見た目には見えないが、ミキの呟いた通りご両親なのだろう。

そんな二人が広大な本殿の中央に二人並んで目を閉じ、正座をしていた。


迅雷じんらい

斬渦ざんか


二人がゆっくりと目を開けて呟いた瞬間、二人の背後から一枚の札が飛び出し、青い超高電圧の雷と凄まじい速さで回転する水の渦が俺達に向かって飛んできた。


「なっ!?」

「ミキ、大丈夫だ。」


咄嗟に札を取り出して防御しようとしたミキに抑えるように言い、俺が代わりに懐から16枚の札を取り出す。


〈オンビシカラカラマコウビソワカ〉

《守符陣 》【四方絶陣】


俺が札に囁きかけ上に投げると、札は俺達を囲むように地面に貼りつき、立方体の結界を発現させた。


「きゃっ!?」


次の瞬間、結界のミキの両親側の面と俺の背後の面から雷と水流が襲い掛かってきた。


「……へぇ」


絶え間なく襲いくる魔術を結界で防ぎながら二人を観察していると、男性が柔らかく微笑んだ。


「うん!合格!!」パンッ


男性が満面の笑みを浮かべながらそう言って手を叩くと、俺達に襲い掛かっていた魔術が消え去った

そして、男性が座ったまま頭を下げた。


「まずは突然攻撃を仕掛けた非礼をお詫びさせて貰おうかな。ごめんね二人共、びっくりしたでしょう?」


「もう少しちゃんと謝りましょうよ……。私からも謝罪させていただきます、申し訳ありませんでした。」


二人の言葉を聞いてまず感じたのは、怒りでも戸惑いでもなく「なんとも対照的な夫婦だなぁ」なんて若干失礼なことだった。


「さて、まずは自己紹介させて貰おうかな。僕はシンゴ・イサナ。ここの神主をやらせてもらってます。」

「私はシンゴさんの妻のマモリ・イサナです。先程の非礼、本当に申し訳ありませんでした。」


そう言ってミキのお母さんが頭を下げてくる。


「いえ、頭を上げてください。それほど気にはしてませんから。申し遅れましたが、イツキ・イーステリアです。ミキさんの妖術…いえ魔術の師匠をさせていただいてます。」


そう言って俺も頭を下げる。


「うんうん、ミキをよろしくね、イツキくん。」



俺の自己紹介に返ってきたのは二つ三つ段階をすっ飛ばした答えだった。


「いや~、本当は君のことは結構前から知ってたんだよ。イース王国のラグナっているでしょう?あの人から君の話は聞いてたんだよ。手紙を貰う前から。」


「そうだったんですか?お父さん。」


どうやらこのことはミキも知らなかったらしい。

まあ一国の王と神社の神主が関わりがあるとは思わないよな。


「それで、彼からある程度君の人となりは聞いてたし、今この目でしっかりと見極めさせてもらった上で僕からもお願いしたい。僕達の一人娘をどうぞよろしくお願いします。」


そう言ってシンゴさんとマモリさんは深々と頭を下げる。


「はぁ……」

「……はい!ありがとうございます!!」


こうして、ミキと俺は両親公認の仲となった

ちなみにミキは俺の手を握りながらポロポロと涙をこぼしていた。

ミキさん貴方は俺のこと好きだったんですね……

こうして師匠弟子の関係から恋人の関係になってしまった。まぁ退屈はしないが……ハーレムはあまり作りたくないのだけど……


「そうだミキ、しばらくお友達と一緒に泊まるんだろう?そろそろ呼んだ方が良いんじゃないかな?」

「あ、そうですね。イツキくん」

「了解。みんなを呼んで来てくれ。」


俺がそう言うと、式紙達は一様に翼で敬礼をして飛び去って行った。


「……凄いね、ここまで使いこなしてる外の人は初めて見たよ。」


後ろで見ていたシンゴさんが感心したように呟く。


「これでも現役の退魔師ですからね。」


俺は転移してくるであろう皆を待った。

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