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休息

模擬戦でボロ負けをしたあと、俺たちは露天風呂に入った。いつも通りバカどもの覗き特攻したので全員で沈めた。風呂から出た俺はマリアと二人連れ立って廊下を歩いていた。


「くっそ~…何でイツキには勝てないんだよ……」

「元のスペックが違うんだよ。ほれ」


マリアのぼやきにそう返しながら一本の瓶を投げ渡す。


「おっと、牛乳か?」

「ああ、コーヒー牛乳と苺牛乳もあるがどれが良い?」

「いや、普通のでいい。………ん、美味い。やっぱ風呂上がりは牛乳を一気飲みだよな。」

「これが浴衣だったら尚良かったんだがな。」

「違いない。」


そう話しながら手に持った牛乳瓶を傾ける。

口の中に広がったまろやかなコーヒー風味の液体を飲み下した。


「そういえばコウガの奴が居なかったが、どこに行った?」

「あいつならいまも修行中だよ。昔から熱中すると周りが見えなくなるからな。俺も強くならなくちゃな。」

「そうだな……つよくならんと奴に勝たなくちゃな……」


コウガはまだ初代勇者と戦闘中である。たまにサクヤが休憩を挟んでいるみたいだ。


「そういえばこの世界にも日本みたいな国はあるんだよな?」

「ん?ああ、露天風呂なんて文化があるくらいだし当然あるぞ。ジパングって名前だ。」


「東方見聞録?」

「いや、マルコ・ポーロは居ないが。ジパングにはミキの実家があるんだよ。」


マリアのベタなボケに突っ込み、話を続ける。


「ミキ曰く、向こうは基本着物文化だとさ。それにミキの実家にも温泉があるらしいし、浴衣くらい向こうに行けばいくらでも着る機会はあるだろ。」


話を切って空になった瓶を妖力で消す。


「妖力の無駄使いだろ……」


呆れたようにマリアは呟くが、マリア自身も同じように混沌属性の魔法で瓶を消していた。お前も人のこと言えないだろ。


「それで、お前は向こうに行ったらミキさんの両親に挨拶しょうぶをするわけだ。」

「まあ、そうだな。」


マリアが、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて聞いてきたことにあっさりと返す。


「……もう少し動揺する事を期待してたんだが…面白くないな。

「そりゃアテが外れて残念だったな……おっと、俺の部屋ここだから。また明日。」


どうやら話している間に俺の部屋の前に着いていたらしく、マリアとはそこで別れて部屋に入った。


「…お風呂上がりの師匠……ゴクリ」

「………なぜここにいる?セリス」


部屋に入ると、何故かセリスが私のベッドに顔を押しつけていた。


「そして何をしていた?まだそのベッドは未使用だぞ?」

「…問題ない。師匠の座ったところの残り香を堪能していただけ。」


座ったといってもほんの5分程度だった筈だが、コイツは犬なんだろうか?

セリスの姿を見ると、薄手の紫のネグリジェ一枚という扇情的な服装だった。

適度に育った果実とむき出しの脇がなんとも……


「じゃなくて!何故お前がここにいる?ちゃんとアンさんに部屋が割り当てられただろ?」


俺の問いにセリスは少し考え込む素振りを見せて、口を開いた。


「……夜這い?」

「何故疑問系?」

「…夜這い」

「言い直しても意味無いからな?全く……早く部屋に戻れ。」


痛む頭を押さえながらセリスに退室を促す。


「師匠のいけず……。…おやすみなさい。」

「ああ、おやすみ。」


唇を尖らせながらも素直に部屋から出ていくセリスを見送り、ベッドに腰掛ける。


「……結局何しに来たんだアイツ…?」


弟子の奇行に頭を悩ませながら部屋の隅に置いてあったカバンを手繰り寄せ、荷解きを始める


「む?下着これだけしか持って来なかったっけ…?」


すると、かなり多めに持ってきたつもりの下着類が思っていたより少し少なかったことに気づいた。


「……忘れたかな?…まあいいか、どうせ洗濯はするし足りなくなることは無いだろ。」


最悪創造で創ればいいだけだしね。

そう思考を放棄したところで荷解きに没入した。


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