目覚めの時
最強決定戦の裏で動き出すものがいた。
魔大陸魔王城地下にディアゴが降りていく。部屋中に入ると大きな水槽が現れる。ディアゴが膝を下ろすと同時に、水槽に変化が訪れた。
水槽の中でゆっくりと目を開け、目を覚ましたのは魔王『イーデリア』である。魔王は両手を握りしめて感覚を確かめ、自ら水槽を壊し出てきた。
「ディアゴか…久しぶりだな。」
「魔王さまもお変わりなく。」
「私が寝ている間、職務を全うしてくれたようだな。」
「滅相もごさいません。」
『1000年前は勇者にしてやられ……500年前にはあの小賢しい小僧と小娘に消滅させられた。復活までに時間は掛かったがその奴等も居なくなった。今度はこちらから仕掛けるときだ。』
「そう思い……アレイティア小国を、シェイラとメイラデイールの二人で滅ぼしました。が本当によろしいのですか?貴方様は本当は…」
「ディアゴ…それは変わるものだ。そして月日は早いものだ。私も力を付けて1ヶ月後に忌々しい勇者がいるイース王国に進軍する。全員に通達せよ。」
「御意……部隊を編成いたします。(どうにか気持ちを変えなくては…)」
イーデリアは歩き出して玉座の間へと歩いていく。ディアゴも後ろから着いて行き、部屋に入室すると、魔人将たちが集結していた。魔王は玉座に座ると魔人将が膝をついた。
ハザマも膝を付き、顔を下ろす。そしてニヤリと笑いながらイーデリアの話を聞いていた。自分が操り人形とも知らずに…