パジャなくじゃハッと
名前の由来、ルーツの根源が様々ある中で考えたお話です。
皆様の素晴らしい名前がより一層輝く世界でありますように願いを込めて‥
パジャなくじゃハッと
むかし、むかし、とまではいかない今もあるかも知れないお話。
ある所にチョットめずらしい名前をもった双子の兄弟がいました。
ひとりの名前は「カルヴェマルトパジャナクジャアハット。」もう一人は「トルボダンパジャナクジャアハット。」と、まあなかなか長い名前の二人です。二人はあんまり名前が長いので、それぞれカルヴェとトルボと呼ばれていました。そんな二人は大工の父と三人で暮らしていました。
今日は学校がお休み。二人は、お休みの日にはお父さんの仕事場におとうさんを迎えに行く事が日課です。楽しみな双子は仲良くスキップ。
スキップまでも揃うのはさすが双子です。そんな楽しそうにしていたトルボは急にスキップをやめたかと思うと、カルヴェに
「なあ、なあ、カルヴェ、どうしてボクたちのなまえってなんでこんなにながいのかな?」と深刻そうに聞いてきます。
「えっ?そんなの‥かんがえたことなかったなぁ。でもなんで?」
「きのう、がっこうのともだちがいうんだ、なまえがおかしいって。」
「おかしいってなにさ?」
「なまえがカタカナ、それにみんなより長いって。」
「そうだなぁ‥そういわれると‥そうかも。」
双子は悩んでしまいました。しばらくトボトボ歩くとカルヴェは決心したように
「じゃあさ、おとうさんにきいてみようよ。なんでなまえがながいのか。」と投げかけます。
するとトルボは
「そうだね。おとうさんにきけばなにかわかるかも。」
双子の気持ちが固まると足取りもおのずと速まります。
「おーい、おとうさん。」
「おお、よく来たな。大丈夫だったか?」と双子に聞くと、答えを聞く前に二人をギュッと抱きしめます。
「いたいよ、おとうさん、だいじょうぶだよ。」
「そうだよ、だいじょうぶ。おとうさんは?」
「大丈夫。父さんは元気!元気!よしっ帰ろっか!」
いつものように手をつないでいっしょに帰ります。すると双子の様子が少し違う事におとうさんは気づきます。
「どうした?なんかあったか?」
そう聞かれたトルボがうつむくのを見てカルヴェはいままでの出来事をとつとつと話します。
「そうか、じゃあ二人はなんで名前が長いのか知りたいんだ。」
「うん、なんでボクたちのなまえはほかのひととちがうの?」と双子は聞きます。
「それはなぁ、お父さんの生まれた所が関係するんだ。」
「お父さんの生まれた所って?ここじゃないの?」
「お父さんは実はここよりとぉーくの場所で生まれたんだ。そこではね、みんなみんな、名前が長いんだ。だから二人も長いんだよ。」
「えぇ〜そんなぁ。ぼくもみじかいなまえがよかった。」
「そうだよ、みんなとちがうのヤダ。」
「そうかぁ。でもなぁ二人の名前にはとってもスゴイ魔法がかかってるのに。」
「なに?魔法って?」
「それはね。悪魔から二人を守ってくれる魔法だよ。お父さんの故郷では悪い悪魔がイタズラしてみんなの幸せを奪ってしまうんだ。」
「えぇ!そうなの?」「こわいなぁ」
「そうさ。悪魔はね、みんなが眠ったころにやってきて、イタズラするんだ。」
「トッドルンガ、トッドルンガ、この子の幸せ飛んでけーってね。」
「ほんとに?」
「本当さ。でもね。呪文を唱えただけじゃダメなんだ。呪文の後にその子の名前をつけなきゃいけないんだ。」
「トッドルンガ、トッドルンガ、カルヴェマルト‥パジャなくて、ジャヤ?いやなんだったけ?」
「ええい、面倒だ。もう一人の方だ。」
「トッドルンガ、トッドルンガ、トルボダンパジャ‥じゃなくてハッと?あれ?おかしいな、あーもう!こんなヤツら知るか!」
「って具合に悪魔はどこかに行ってしまうんだ。」
「ええ?どうしてアクマはボクたちのなまえをいえないの?」
「それはね。二人の名前には幸せの魔法がかけられてるんだ。悪魔は幸せの魔法がかけられた名前は覚えられずに言えないんだ。」
「スゴイ。ボクたちのなまえすごいんだ。」
と納得するカルヴェに対してトルボは
「でもね、おとうさん、みんなのなまえはながくないよ、みんなはアクマにイタズラされないの?」
「大丈夫さ、みんなとは魔法が少し違うだけで、みんなと二人の名前の長さは違っても、同じように幸せの魔法がかかってるんだ。だから悪魔もイタズラできないんだよ。」
「そっかあ、そしたらよかった。みんなアクマにイタズラされちゃうのかとおもった。」
「そうだね。だからさ、今度お友達に名前の事を聞かれたらさ、名前が違うのは幸せの魔法が違うからなんだよって教えてあげてごらん。それでも納得してもらえなかったらその子のお父さん、お母さん、なまえをつけた人に聞くようにって言ってごらん。必ず名前には幸せの魔法を込めたって、言うはずだから。」
「うん、わかった。今度お友達に話してみるよ。」
「そうだね。えぇっとなんだっけ?トッド‥」
「おっと、その悪魔の呪文は言わなくて大丈夫。その呪文は悪魔を呼んでしまうからね。」
「えっ?でもさっきおとうさん言ってたよ。」
「そうだよ、どうしよ。」と双子は心配そう。するとおとうさんは
「そうだった、そうだった。そしたらね、今度は悪魔の呪文は反対から読むんだ。そしたら、悪魔を追い払えるんだ。見ててごらん。」
そう言うとお父さんは深呼吸して、大声で
「ガンルドット、ガンルドット、パジャナクジャアハット、悪魔よ出ていけ!!」
「ほら、これで大丈夫。アクマはいなくなった。」
「ダメだよ。おとうさん。ボクたちのなまえもはんたいにしなきゃ。」
といい、ふたごは目を合わせ大声で叫びます。
「ガンルドット、ガンルドット、トッハアャジクナャジパ、アクマよでてけ!!」
ほぉーら、アクマがいなくなった三人には笑顔でいっぱいになったとさ。
おしまい。