第2話:洗礼の儀
「そろそろ参りましょうか、神殿で皆様がお待ちです」
ティルアに手を取られ、長い裾を引きずりながら神殿へ向かう。
敷布の上を歩いていくと、目の前に塔のような建物が見えてくる。
その塔、神殿に近づくと一斉に楽士が楽を奏で始めた。奏でられる荘厳な楽の音は澄み切った空、白く積もる雪へ消えていく。
ここでティルアの手が離れた。侍女である彼女はここから先メイリと並んで歩くことは出来ない。
1人で神殿に入ると、敷布沿いに並んだ兵達が統率のとれた動きで剣を掲げ、集まった多くの人々が次々に平伏していく。
その間をしっかりとした足取りで、踏みしめるようにメイリは進んでいく。
神殿の中央に、メイリの父でありテュリエス帝国皇帝であるマリエスと、最高司祭であるトリエルが正装に身を包んで立っていた。
ゆっくりと二人の前まで進み礼を取る。頭を下げ、皇帝の言葉を待った。
「太古の昔より――」
マリエスの浪々たる声が響く。
「我が神々に定められし掟の中、今日をもってテュリエス帝国第1皇女メイリ=ヴィ=テュリエスの成人をここに認める」
次に司祭のトリエルが首に成人の証である天使の刻印が入った首飾りをメイリの首に掛けた。
「謹んで、お受け致します」
顔を上げると同時に、周りの人々も腰を上げた。
「おめでとうございます」
その後延々と祝の言葉を聞き、言葉を交わした後に城の大広間へと場所を移して宴が催された。
その時、事件は起こる。
今回は昨日に比べてテンポ良く話を進められたかなと思いますw