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漫才シリーズ

漫才「シチューオンライス」

作者: まさかす

ボ=ボケ

ツ=ツッコミ

二人「みなさんこんにちはー」


ボ「早速ですが」

ツ「何でしょう」

ボ「この前ね」

ツ「はいはい」

ボ「私の嫁が不思議な食べ物を作ってくれたんですよ」

ツ「不思議な食べ物?」

ボ「はい、シチューオンライスって名前なんですが知ってますか?」

ツ「何ですかそれ?」

ボ「白いご飯の上にクリームシチューをかけた食べ物です」

ツ「嘘でしょ?」

ボ「本当です」

ツ「だって白に白でしょ? 豆腐の上に練乳かけてるような物でしょ?」

ボ「ドリアとかも似たような物ですよね?」

ツ「見た目が全然違いますよ」

ボ「見た目なんてどうでも良いでしょ?」

ツ「超大事ですよ。目で楽しみ鼻で香りを楽しんだ後に舌で以って味わう。時には手で以って触感や温度すらもね。食事とはそういう物でしょ?」

ボ「口の中での味さえよければ何でも良いですよ。お腹の中に入れば一緒でしょ? 見た目なんかどうでも良いでしょ?」

ツ「それは料理人に対する冒涜ですよ」

ボ「そうですか?」

ツ「そうですよ。例えば御飯と味噌汁、それに漬物や鮭の切り身、そういった和風の朝食をごっちゃ混ぜにした物でも食べられると言うんですか?」

ボ「全然イケますね。全ての味が同時に楽しめる上、朝食が早く済みそうです」

ツ「ならパンと牛乳と目玉焼き、次いでにベーコンをごちゃ混ぜにした物でも食べられますか?」

ボ「全然イケますね。それも朝食が早く済みそうですね。お腹に入れば一緒ですから」

ツ「一緒くたで良いならそれぞれを個別に料理してる意味無いじゃないですか」

ボ「私の舌はどんな状態であっても、それぞれの料理の味を識別出来ます」

ツ「あっそ。なら熱いお茶の中に握り寿司をそのまま入れた状態で出されても食べられるんですか?」

ボ「イケますね。寿司は日本のファストフードとも言えますからね。更にファストな感じですね。というかお茶漬けみたいですね」

ツ「そこまで言いますか。じゃあ今度寿司奢りますからお茶の中に入れて食べて下さいね」

ボ「良いですよ」

ツ「では色についてはどうですか? 白は色が無いといっても良いですよね? 色が無い物同士はゼロ足すゼロと同じですから、やはり白白は無いでしょ?」

ボ「色は慣れの問題でしょう」

ツ「だって白に白ですよ?」


ボ「白い肌に白い髪、そして白い着物」

ツ「は? 突然何の話? お化け屋敷か何かですか? ならばその白白はありですね」

ボ「白いスーツに白いシャツ、そして白い靴」

ツ「結婚式の話ですか? まあ、違和感はあるけど許容範囲の白白かなぁ」

ボ「白い歯に白い歯茎、そして白いニキビ」

ツ「歯とニキビの話? 白い歯は良いけど、歯茎が白いのは医者に行った方が良さそうだねぇ。つうかニキビは色に関係なく無しでしょ? つうか何の話?」

ボ「白い紙に白インク、そして白いバインダー」

ツ「バインダーの色はどうでも良いけどさ、白インクは何の意味があるの? あぶり出しでもするの? 暗号文書か何か?」

ボ「白いコップに白い水、そして白い粉」

ツ「白い水って何? 牛乳? カルピス? つうか白い粉って何? 言葉その物が怖いんだけど」

ボ「白いスーツにクリームシチューを溢してみた」

ツ「投稿動画のタイトル? つうかさっきから何の話してるの?」

ボ「白に白は世間に溢れているという話ですよ」

ツ「確かに無くは無いかもしれないけどさ、食べ物同士の色の話をしていた訳だから、君の言ってるのは殆ど関係無いよね?」


ボ「豆腐の上に練乳かけたみた」

ツ「それさっき私が言った事だよね? 存在するの?」

ボ「知りません」

ツ「あっそ」

ボ「とはいえシチューオンライスは美味しいとは思いますけどね」

ツ「いや、私だって味だけに関して言えば、それを全否定するつもりはないよ?」

ボ「それに美味しいって言い続ければCMとか来るかもしれないし」

ツ「来ますかぁ?」

ボ「『こんな白白した食べ物があるなんて知りませんでした! 初めて食べたけど超美味しい! 体の中まで白くなりそう!』みたいな」

ツ「白々(しらじら)しい……で、結局どうだったの?」

ボ「何がです?」

ツ「いや、そのシチューオンライスの味」

ボ「知りたいんですか?」

ツ「折角ですから教えて下さい」

ボ「食べた事無いので知りません」

ツ「は? 嫁さんが作ってくれたんでしょ?」

ボ「はい、私が風呂に入っている間に作ってくれました」

ツ「ふむふむ……で?」

ボ「嫁は一人分のソレをテーブルの上に置くと、そのまま寝室に行って寝てしまいました」

ツ「夜遅い時間だったのかな? 遅い時間に作ってくれた嫁さんに感謝だね」

ボ「白い照明の下の白いテーブルの上に白い皿、その皿の上に白い御飯、その御飯の上に白いシチュー」

ツ「白白白白白って感じですね。で、味の方はどうだったんですか?」

ボ「実は私、目が凄い悪くてですね」

ツ「そうらしいですね。なのに眼鏡もコンタクトも嫌いなんですよね……で?」

ボ「で、白に埋もれた白白したその存在が全く見えなくて、結局食べれませんでした」

ツ「何か色々(いろいろ)白々(しらじら)しい!」


2021年02月25日 2版 誤字訂正

2020年08月16日 初版


「第2回GETUP!GETLIVE!漫才・コント大賞」投稿作品


先に投稿した『シチューオンライス・フォー・ユー』の派生作品です。それを書いている最中に「同様のネタで漫才っぽく書けるかな」と思って書いてみた物です。まあ、何とか書き上げましたが、やはり意図的に人を笑わそうとする話を書くというのは、何と難しい事なのだろうかと痛感しております。それよりも何よりも、年のせいか「白白」という文字を見ているとゲシュタルト崩壊しそうです。


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