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雪月花 魂の行方  作者: 荒木田久仁緒
花は宴と共に - 二ッ岩マミゾウの場合
13/19

二 嘘散る里  


(  )博麗の巫女 代替わりの儀

 並びに祝賀の宴のご案内(  )


  目の前に突き出されたチラシには、そう書いてあった。


  紅白の服を着た少女は、それを見てため息をつきながら、右手のお祓い棒を振り上げる。


「てぇいっ!」


  気合と共に打ち据えられたチラシは、たちまち大きな木の葉へと変わり、女の手から離れて地面に落ちた。


「……ええっ!?」


  驚きの声を上げる女に向かって、


「見てのとおり、これは妖怪のしわざ。タヌキかキツネか……とにかく、そいつらが撒いたデマだから」


  うんざりしたような顔でそう言い、当代の博麗の巫女──霊夢は再びため息をつく。


「ええ~。せっかく、こんなところまで歩いてきたのに……」


(   )こんなところ(   )って……まあ、いいけど。

 だけどね、変だと思わなかったの? 何の前触れもなく、巫女が代替わりするなんて」


「うーん、そうですねえ……でもなんとなく、そういうものかなって……」


  腕組みをして問う霊夢を前に、ぽりぽりと頬を掻く。その顔に、鋭い声が飛んだ。


「そう、それ!」


「ひゃいっ!?」


「そうやって、ぼんやりした考えで生きているから、こういう嘘を簡単に信じこむの。それは心に芯が通っていないせい。芯が通っていないというのは────」


  びしり、と女の鼻先に、お祓い棒が突きつけられた。


「つまり、信心が足りないの!」


「は、はぁ……?」


  のけぞって目を白黒させる女に、さらに言葉を浴びせる。


「信心が足りないと、神様の力添えもない。

 そういう人は、詐欺や妖怪に騙されやすくなる。

 そして、騙されてとはいえ、神社(ここ)に来たのも何かの縁。

 二度と引っかからないように、しっかり拝んでから帰りなさい!

 ……もちろん、お賽銭もしっかりね!!」


  まくしたてる勢いに、はい、はい、と何度も頭を下げる。

  そんな女の様子に、よろしい、と満足げに頷いて、霊夢は縁側に腰を下ろすと、飲みかけだったお茶を一口すすった。


  が。


「……ん?」


  はたと眉根を寄せると、


「ねえ、ちょっと待って!」


  去ろうとした女の背中に声をかける。


「はい?」

「あなたの少し前にも、そのチラシ持った人が何人か来て、追い返したんだけど……。ここまで登ってくる途中、その人たちから、これがデマだって聞かなかったの?」


  呼び止められた女は、えーと、と考えこんで、


「いえ……誰とも会いませんでしたよ。

 なんだか変な……獣……?……だか、犬だかとなら、すれ違いましたけど……」


「……はぁ?」


  首をひねる霊夢を尻目に、こちらも首をひねりながら、女は拝殿のほうへと引き返していった。


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