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[chapter:序章]

[chapter:序章]


 ベランダで亀を飼ってるんだ。

 のんびりとそう言った羽柴に手招きをされて、ベランダに置かれた衣装ケースの網を取り、羽柴は「ほら」と、亀を見せてくれた。

 それは別によかった。そこまでは、

「あ、ジョセフィーヌ」

 羽柴が顔を上げると、そこには猫がいて、羽柴の声に応えるように降りてきて、

「ちょくちょく来るんだよね。俺はジョセフィーヌって呼んでて――」

 その説明のさなかに、そのジョセフィーヌが亀をひょいと加えて、踵を返してどこかへ行ってしまうまでは。


 ぽかん。と、した表情で羽柴は猫が消えた方向をながめ、それから一拍おいて、


「え、えええええええ!?」


 どうみてもタイミングがずれた悲鳴をあげた。


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