恐怖の舘
コトン……
カメラをたてている女性がちゃんと映っているかの確認に手を振っている
撮れていると確認してから彼女は
「皆さん、こんにちは
春夏秋冬、時間も問わず恐怖を皆さんにお届けしようと思っております。天野 文 (あまの ふみ)です。」
と、さっきの静けさは何処へいったのか……
その場所の雰囲気には合わない明るい声が響き渡った。
明るいのもそのはず、声を発している女性は見た目にして25歳くらい。年相応とはまさにこの事である
ボブの黒髪に動きやすそうな格好から言って、お洒落には興味がないようだ。しかし、その瞳は純粋な黒だがライトが当たった一瞬だけ奥が赤く光ったように見えたのは気の所為だろうか……
嬉しそうに彼女は続けた
そして毎度同じ見にもなってきましたと言ってもう一人カメラに写った
今度は小さな影だ
えぇっと…とちょっと戸惑っているようだが、まだまだ幼さが残っているがお手伝いのレオです…と答えた
見た目からして、小学生くらいの男の子だ
それもイギリス系の顔立ちをしている。金髪に目は透き通る海のような青色…誰もが見惚れるような容姿だった。
しかし、そんな男の子が来る場所ではないことはこの背景からしてよく分かっている
「今回は…なんと、恐怖の舘と呼ばれる場所に来ています」とにこやかな笑みで女性はいった。
そして続けた
「記録として録画しておくので、バッチリ見といてくださいね。では」と録画を続けたままテキトーに前挨拶を終えた彼女は歩き出した。
ここら辺で彼女の事を文。男の子をレオとする。
それにしても、記録のはずなのにバッチリ見とけとはどういうことなんだ。
さも、誰かに見られることを前提としていたような話し方だった。
と思っているうちにどこかに着いたようだ。
えぇとここは…と考える素振りを見せる文にレオはカメラに向かって答えた
「うんと、ここは…図書館、かな」
とおどおどとした感じでいった
そうそうと元気に同意したのは先程困った様子だった文だ。
「恐怖の舘とは言いますが、大体は図書館というむしろ図書館です。中には誰もいないとの事前調べがあったので中に入ろうと思います」
と元気そうに言ってから両手でドアをバンッと押し、レッツゴーと楽しそうに笑っている
文おねぇちゃん待ってぇとレオの声もするようだ
その時だった。
「だぁれ、あなた達」
ゆっくりとよく通る声で第三者の声がした
女の人とも女の子ともとれるような声だ
あれれ…と困ったような顔をして文は考え始めた
今日は誰もいないはずだったのにと頭を抱えているようだ。
というか、それどころではないような気がしなくもないが、レオはおねぇさんだぁれと質問を質問で返しているところだ。
普通の小学生なら1番怖がるはずだ
ちょっと頭が抜けているのか
「こっちがしつもんしているのだけれど。まぁいいわ……あなた達……」と言ってゆっくりと姿が見えた
が、綺麗な赤色のドレスを身にまとっている15歳くらいの女の子だ。髪の毛は金髪で瞳の色は赤だ。
とてもこの世の生き物ではない。
なんとなくでもそう思う
そしてなにより、口からちらっと見えている八重歯が物語っている。
しかし、2人を観察するように見ていると
少し驚いたような顔をしてふふっと笑った
「あら、なんとも不思議な巡り合わせね。それともそこが1番落ち着くのかしら」
不思議な発言をして、改めて2人を見た
「いくらあなた方だからといってここを荒らすものは全て排除致しますわ。ご要件は何かしら」とさっきとは一変して冷たい空気に包まれる。
えぇ…あのぉ…と文が話し出した
「ここのオカルトスクープを撮りに来ただけなので荒らすとかそういうのはないですよ」とお手上げですのジェスチャーをした
「そうなの、おねぇちゃん」と不安げに見ている
そうですそうですと頷き
「その場だけでも、相手が弱くても強くても無闇に喧嘩を売るのは良くないんですよ」とやれやれといった感じで手を振った。
「ま、喧嘩を売らないのが正解よ」
と、殺意を消してから答えた
力より知識の方が上なのだからと答え、ゆっくり見ていきたいのなら見ていきなさいと言ってすぐ近くにある椅子に腰をかけて寝始めた
どうせなら1枚ぐらい欲しいですねぇ……
といいながら近づき、デジタルカメラでパシャッと音がした。
んーやっぱり
「寝る子は育ちますねぇ」
ちょっとした変態気質があるなと思った
まぁ、軽く一人目GETですよ
さぁどんどん行きますよーレオくん
といった