2/3
NO.1 誕生
……甘い香り。
ああ、どこかで聞いたことのある、あの匂い。
なんだっけ。おもいだせない。
私は懐かしい香りに思わず体の力を抜いた。
気づかなかったが、随分長いこと体に力を入れていたようだ。気だるい体をもぞもぞと動かし、私は重い瞼を開いた。
ぼんやりとした白い光の中。
何となく、周りの状態が分かった。
柔らかい二つの盛り上がり。
甘い匂いはどうやらここからのようで。
私はその一つにしゃぶりついているらしい。
……しゃぶりついている?
「!?!ふぎゃ?!」
何かとんでもない声がでた気がするが、気にしない。というか、今更だがここはどこだ。
慌ててよく動かない首を曲げ、上を見る。
パッチリと合う瞳。
「あら〜、どうしたのー?お腹いっぱいかな?」
あ、どうやらここは天国だったみたいです。