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魔法使い達の部活

 魔法。

 現代日本には存在しないはずの物。

 しかし異世界と繋がったことによる影響か、この日本に魔法使いが現れ始めた。

 ではその方々からの証言を紹介しよう。


 A「あれは一昨日位だったかなぁ。耳元で虫が五月蠅いから、さっさと燃え死なないかなって思ったらホントに燃えちゃって」

 B「沙耶センパイはそんな感じだったんですか。私の場合は料理してたら指少し切っちゃって、痛いなー治んないかなーって思ったらホントに治ったんです。麻子部長は?」


 C「私は熱いから紅茶を冷やそうかと思ったことがきっかけね。ちょっと冷えすぎて飲めなかったけど。雄二は?」

 D「俺は居住区外を探索してる最中に魔獣と会った時だ。一対一で戦い、もうだめかとも思ったときに......」

 A「魔法を使えるようになったの?」

 D「あぁ。以前から考えていた技、風の力を纏いし拳、疾風拳が完成したというわけだ」

 B「それでまさか魔獣を倒しちゃったんですか」

 D「あぁ。中々の激戦だったがな」

 C「相変わらずあなたは楽しそうね」


 以上が4人の証言である。

 

 A「ところで巽君はどうなの?」


 証言者Aが俺に聞いてくる。

 ここで5人目の証言を追加することにしよう。

 

 E「......俺もまあ皆と似たようなもんだ」


 きっかけについてははぐらかしておく。

 ここで言うには恥ずかしい理由だった。

 それより、俺には皆に聞きたいことがあった。


「なあ皆、魔法を使った後になんか反動があったりする? 例えば脱力したりとか、どっか痛くなったとか」

「うーん、そういえば結構脱力感はあったような......」

「私もそんな感じでした。傷が塞がったのはいいけど結構疲れちゃって」


 他の二人も頷いている。

 なるほど、やっぱり疲れるのは皆同じか。

 だけど目が痛くなるのは俺だけか。なんでだろう。俺実は才能がないとか?

 そのことは良いとして、ここまでの証言をまとめるとこうなる。

 

 

 俺→見た対象を遅くする(時間系? 空間系?)

 沙耶→物を燃やす(炎系)

 麻子部長→物を冷やす(氷系)

 美樹→傷を癒す(回復系)

 雄二→風を纏う(風系)


 上手く属性がばらけている。

 これはゲームなら理想的なパーティーじゃないか?

 それに、俺と雄二には実戦経験がある。

 これなら俺の提案も上手くいきそうだ。


「皆、聞いてくれ」


 今度は4人の視線が集まる。

 一人一人の顔を見ながら、俺は提案した。


「俺達で、居住区内の安全を守ろう」


 驚く4人(いや、雄二はあまり驚いてなかったが)に説明を始める。

 まずはこの居住区内に魔獣が出現していること。

 軍や警察は外敵の侵入を防ぐのに忙しく、居住区内部のことは疎かになっていること。

 昨日現れた魔獣を倒したのは俺だということ。


「え.......。あの魔獣倒したの巽君だったんだ......」


 沙耶が驚く。


「あぁホントだ。つまりこの部には魔獣を倒したことがある人間が二人もいるんだ。それに皆魔法が使える。俺たちが協力すれば、居住区に入ってきた魔獣の退治も出来ると思うんだよ」

「でも危ないですよ、魔獣と戦うなんて。センパイは怖くないんですか?」


 美樹が少し怯えたような表情をしている。

 

「確かに危険だ。でも、もし俺達がやらずに居住区内の他の人が襲われたらもっと危ないと思うんだ。俺達なら魔獣を倒す力がある。せっかく力を得たんだからしっかり活かさなきゃいけないんじゃないか」

「それに本当にヤバそうなやつがいたら全力で逃げて、警察やら軍やらの助けを呼ぼう。これなら大して危なくないんじゃないか」

「......ホントに大丈夫かなぁ」


 まだ美樹は少し不安そうな顔をしている。

 だが一旦美樹の説得は止め、麻子部長に協力を求める。


「そういうことなんで、部長の家の方からなんか武器とか防具とかもらえませんか?」


 麻子部長の実家、伊吹家は実はかなりのお金持ちだ。

 過保護な親で、それが嫌で彼女は今一人暮らしをしているらしいのだが、それだけ金持ちなら娘の頼みなら武器の一つや二つ、あっという間に買い与えられるのではないか。


「頼めば出来ないことは無いだろうけど......。本気なの?」


 麻子部長は疑うようなまなざしでこちらを見つめる。


「俺はマジです。マジでやる気です」

 

 麻子部長は肩を下ろした。


「分かったわ、頼んであげる。でもあまり期待しないで頂戴ね」

「というわけだが、改めて皆はどうだろう」


 地盤は固めた。

 麻子部長に援助の要請はしたし、提案を通すための下地は揃った。

 さあ、どうなるか。


「ふむ、居住区内の魔獣討伐。自警団のようなものか」


 真っ先に口を開いたのは雄二だった。


「いいじゃないか、面白そうで。せっかく疾風拳も完成したんだ。ちょうど使いたかったところだしな」


 ナイスだ雄二。

 空気は完全に賛同モードへと変わった。

 沙耶も、麻子部長も、最後には美樹も、俺の提案を受け入れてくれた。

 

 

 かくして、俺達サバイバル部は、居住区内の魔物退治をやることになった。

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