第一話「演習前夜」
久しぶりの投稿です。
後書きには世界観解説の為の用語解説を載せました。よかったら見てください。
それではどうぞ。
2月21日後書きと本文を改訂
210X年
2100時
環太平洋条約機構軍指定演習エリアAREA-64
北米第73艦隊所属、
ジェラルド・R・フォード級三番艦
エンタープライズ
飛行甲板
私は戦闘機が好きだ。おそらくマニアといっても過言ではない。
戦闘機黎明期の第一次世界大戦や第二次世界大戦に活躍した戦闘機や冷戦時代のものはもちろん。
2030年代に退役し始め、50年代に消えた第4.5世代のF/A-18EFやEA-18G。
2040年代から退役しはじめ、60年代に消えた第5世代のF-35CにQF/A-47。
2020年代から30年代にかけて配備され、2060年代から退役し80年代に消えた\第6世代のF/A-40ウォーホーク。
2050年代に地球外知的生命体――後にインベーダーと名付けられる宇宙人の存在を確認したことで、インベーダーとの戦争に備え開発が進められ、2065年に勃発し三十年間続いた第三次世界大戦全般で主力として戦い、今も残る第7世代のF-42セイバー。
2070年から採用され、戦争中盤の人類の戦闘に貢献し、戦争が終結した
現在も現行主力の第8世代F-47ネオセイバー。
そして、2110年代からの配備を予定し、現在開発中の
第9世代のF-50ハウンドドッグ。
これらは皆私が搭載した鳥達だ。
もうすぐ私は退役し、原子力解体プログラムに沿って解体される。その前にジェット機が飛び交う状況にいることが出来て、とてもうれしい。
人類史上初の異星人との戦争――――第三次世界大戦の影響で、アメリカは軍並びに本土に甚大な被害を与えられその影響力を大幅に喪失。パクス・アメリカーナは終焉を迎え、地球上の国家は大規模な軍拡に乗り出した。大抵の国々は連合を組んで密接な協力関係を築き上げ、政治、経済、軍事を大幅に発展させた。一方アメリカは新規空母や新規艦艇の建造を行われず細々と既存艦艇の修復や改修のみ行われ、百年近く活動する艦も珍しくなかった。戦争が終わり地球連邦が設立された二十二世紀に入ってようやく護衛艦艇の更新は始まったものの私達空母はそうも行かず、未だに艦齢九十年近く活動する空母が主力だ。乗員も三世代にわたって同じ艦に勤務している、あるいは経験があるというものもかなりいる。
現在地球上で現役の航空母艦は、北アメリカ州海軍はジェラルド・R・フォード級が四隻。ノルマンディー級強襲揚陸艦が四隻。南アメリカ州海軍はブラジリア級強襲揚陸艦を三隻。ヨーロッパ州海軍がA型正規空母とG型強襲揚陸艦を三隻ずつ。ユーラシア州海軍がアドミラル・ロジェストヴェンスキー型正規空母二隻とアドミラル・ウシャコフ型軽空母を四隻。南アジア州海軍がアユタヤー型正規空母とマガタ型ヘリ空母を二隻ずつ東南アジア州海軍がドヴァーラヴァティー型軽空母、アラビア州海軍はジェリダ型軽空母、南アフリカ州海軍はエクレール型軽空母をそれぞれ二隻ずつを所有している。
このように軍拡が進んだ結果、世界中の海軍が空母を保有する事になった。
地球連邦を設立したとはいっても、まだ政治や宗教で対立しており、名前が州になっても実質国家として機能しており、地球連邦軍自体も有事の際に各国の軍隊から抽出して構成され、平時は州軍――――実質国軍として活動している。この為に地球連邦軍という国軍として見れば少し歪だ。
もっとも、空母は小型のものでも艦艇のクルーや航空機の整備士やパイロットをあわせて、最低でも千人以上の人が必要で、ある種の町ともいえる。さらに、その護衛に艦艇をある程度揃えなければならず、また、空母自体もローテーションのために複数――――最低でも三隻作らなければならないため空母部隊創設と運用の予算はかなり高く、結局ローテーションが組めなかったり、搭載航空機がヘリや警戒機を含めて二十機前後。先進国でも三十機前後が現在の各国の標準正規空母だ。他にヘリコプター含めて十二機~二十機ほどを乗せれる軽空母もある。もっとも警戒機は省く国も多い
大抵の国は護衛も満足に建造できず、出撃はかなり偏った編成となる。
アメリカは先の第三次世界大戦の影響で艦隊と呼べるものは私の所属で太平洋を管轄とする旧第七艦隊と第三艦隊を合併させた第七三艦隊と大西洋を管轄の第六二任務部隊の二つになってしまった。両艦隊とも規模や艦艇の質は高いバランスで保っているが、進水から百年近くが経過しており、老朽化で一部の艦艇はぼろが出始めている。幸いにも全空母の後継艦が建造されており、残っている空母の中で一番古い私が最初に退役する予定だ。
ちなみに嘗ての同盟国である日本は第三次世界大戦で相当の被害をこうむったものの、いち早く復興。周辺諸国の軍拡に対抗するため、経済力にものを言わせて空母と戦艦を六隻ずつ配備する66艦隊計画を開始。現在固定翼機十八機、ヘリ五機、早期警戒機二機と空母としては軽空母+α程度の能力しかないものの、給油艦、輸送艦、病院船の能力を持ったそうりゅう型多目的空母三隻と、第三次世界大戦前に配備された、ふそう型戦艦を二隻保有している。また、護衛戦力も充実しており最もバランスが取れている。
現在はその日本海軍をはじめ、世界各地の州海軍とフォーリナーの保有する惑星内部の海での軍事行動を目的とした惑星海軍と演習を行っている。演習内容はA機動部隊がとB機動部隊に分かれて戦うものだ。両方とも数的戦力は互角だ。
その日本の空母は現在隣で航空機の着艦作業を進めている。
現に爆音高らかに複葉機が着艦している。
そう複葉機が22世紀初頭就役の最新鋭空母に着艦している。
去年の演習でのこの戦闘機による戦果は軽空母二隻、駆逐艦及びフリゲート四隻
原子力潜水艦六隻、通常動力型潜水艦四隻
これは小規模な空母打撃群を壊滅させたことと同義だ。
この報告を聞いた司令官と艦長がこれを聞いて
「…今頃複葉機でこの戦果を上げるとは。」
「しかも複葉でステルス機能とソニッククルーズ機能を持っていますし。あの国の技術は侮れませんね」
と会話していた。表情が少し引き攣らせながらだけれど。
●○●
「どうしましたか、エンター?」
「パール・・・」
去年の様子を思い出していると向かいに座っていた
イージス巡洋艦のパール・ハーバーがこちらを見ていた。
彼女とは第三次世界大戦後半から私の僚艦を勤めてから随分と長い付き合いになる。
「いや、ちょっと考え事を」
「ふーん。それにしてもみんな遅いわね。」
パールと私は、仲のよい日英の艦魂――――そうりゅう、ふそう、アークロイヤル、ロンドンを誘って私の艦内でちょっとしたお茶会を開催した。
既にカッターや救命ボートに宿る艇魂達によりテーブルとカップは用意されている。
船首側ではカッターや救命ボートの艇魂達が作業を終えてジュースやお菓子を口にしている。
付近には着艦作業を行っているそうりゅうが見える。ちょうど着艦作業が終わったらしい。
しばらくしてこちらに栗毛の髪をサイドテールにまとめた少女――そうりゅうと眼鏡をつけた男性が転移してきた。
彼は遠田伍長。(ファーストネームは忘れてしまった。)
伍長はなにやら紙袋を持っている。多分お茶会で使うお菓子だろう。
「ごめんなさい。遅くなりました」
「大丈夫。気にしていないわ。」
くすりと笑い、そうりゅうに席に座るよう諭す。遠田伍長は紙袋から菓子。八橋を取り出す。
私の推測は当たっていたらしい。
「お茶のお供にどうぞ」
「ありがとう。」
お礼を言って、八橋をテーブルに並べる。しばらくして艦内から男性が出てきて紅茶とジャムを持ってきた。私のバディたるウォーレン軍曹だ
「紅茶を持ってきました。ロシアンティです。ジャムを紅茶に入れてお飲みください。」
「ありがとうございます。ウォーレンさん」
そう言って、彼女はお礼を言った。ウォーレンの入れた紅茶は中々おいしくてイギリスの艦魂や将兵にも人気がある。
出されたスプーンでジャムをひとすくい。そして口に入れた後に紅茶を飲む。そうりゅうも飲んだようだ。
「おいしいです。ウォルケンさん」
「いえ。おそまつさまです」
そう言って、ウォルケン軍曹は下がる。
それと同時に今度はつり目が勝気そうな印象を与える黒髪のショートヘアの少女とウェーブがかった髪をサイドにまとめた髪形をした少女と眼鏡を着用し、髪を外はねにした少女――ふそう型戦艦一番艦ふそうの艦魂とアークロイヤル型正規空母一番艦アークロイヤルの艦魂、R型空中駆逐艦一番艦ロンドンの艦魂が転移してきた。こちらも男性が着いている。英国のブラント曹長だ。
「すまない。遅くなった」
開口一番にふそうが。
「ごめんなさい。待たせたわね。ちょっと航空隊の収容に手間取ったのよ。」
「すみません。私は護衛のために離れるわけにはいけませんので。」
こんどはアークロイヤルと、ロンドンが口を開く。
「別にいいわよ。さぁ、座って」
ふそうたちが座って、お茶会のメンバーがそろう。ウォーレン達は艦橋に行った。
艦魂の転移でこちらに移ったので、その報告をしにいったのだ。最もあらかじめ艦魂だけで開催する催しと伝えているので、戻ってくるのは演習が始まる時間に近づいたころだろう。
私たちは私たちで、雑談に興じる。雑談内容は様々。
「戦争は変わったわ。」
「二言めにはそれですね。思い出話は老化の証拠ですよ?」
パールが私の言葉に返す。
「そうね。でもほんとに変わったのよ。衛星軌道が航空機の作戦範囲に入ったり、レーザーやレールガンが実用化したり。後は戦艦が復活したり。
私が新米のころはSFだけだった兵器がこうして運用されてるのよ?」
「そうですね。戦艦の復活も昔は考えられていなかったらしいですし。私の建造も経済界の思惑で敵地への揚陸艦として航空戦艦として建造されましたし。」
ふそうがそう言いながらうなる。第三次世界大戦前にふそうは強襲揚陸艦として建造され、自動装填装置により第二次世界大戦のころとは比較にならない連射速度を誇る大口径砲で砲撃支援をしつつ航空機で敵地沿岸部の上空を制圧すると言うコンセプトで作られ、敵の眼前で暴れるということで防御力も高めに作られた。しかし、第三次世界大戦勃発後はその防御力を生かし、姉妹艦のやましろと共に囮任務や電子機器が使用不能な環境での近接砲撃戦に携わる回数が増え、最終的に純粋な戦艦として生まれ変わった。
私は兵器だけでなく現在地球が新しく抱えた社会問題についても言った
「それに私たち艦魂の存在や幽霊や妖怪、妖精まで
人類は把握できるようになったのも昔じゃ絶対あり得ないわよ」
第三次世界大戦は人類に甚大な被害や混乱を生み出しただけでなく、科学技術の大幅な発展。そして皮肉にも人類が抱えていた紛争や対立すらも破壊し社会秩序の一新
にも一役買った。その過程で人類はこれまで空想の存在と考えられていた妖怪、妖精
幽霊などの存在をインベーダーの技術の解析の結果認識できるようになった。
この事で人類は一般生活から国家の政治まで幅広く幻想の力を使用できるようになり
社会は発展した。
しかし、その反面幻想との新たな対立や問題も起こるようになった。
既存の科学では太刀打ち出来ない幻想に、地球連邦は幻想の存在による事件、事故に
対応するための組織を作った。地球連邦軍の場合は陸海空の三軍と宇宙を管轄とする
宇宙軍に加え、新たに魔法や呪術などを専門に取り扱う幻想軍を設立した。
幽霊や妖怪も大半はここに所属し、普段は幻想系事件の対応をしているが、
ほかの四軍に出向する事もある。
この幻想軍。地球のみにしか存在しない特殊な軍で
フォーリナーをはじめとする宇宙連合も地球と接触するまで幽霊などは空想上のものと考えられていた。そのため宇宙連合所属の科学者たちはなぜ地球のみに空想上の
存在が有るのかを研究している。
ちなみに、海軍とつながりの深い艦魂は海軍が直接取り扱うために海軍所属となっている。
「ええ。しかしなぜ地球にしかいないんでしょう?
向こうの宇宙船や船舶を見てみましたが、艦魂なんていませんでしたし。」
「そのせいでどこぞの原理主義が地球が宇宙の原点
なんて訳の分からない事言い出して問題になりましたね」
アークロイヤルとロンドンが話し合う
全くもって同感だ。
私たちはこの議題について延々と語り合った。
○●
最終的にあそこから偉人の幽霊、過去の戦争で亡くなった軍人、その軍人の乗った
兵器、その兵器と同名の現代の兵器の話題。過去と現代の兵装の違いに移った。
「私艦載機なんて色も形もすごく個性的ですよ。」
そうりゅうの言葉に同意する。日本は艦艇こそ王道だが、艦載機はかなり奇抜だ。さっきそうりゅうに着艦した戦闘機はF-6「蒼天」。第八世代戦闘機に分類されている。
あの艦載機の武装は、固定武装として25mmガトリング「イコライザー」を装備。中距離、短距離空対空ミサイルを十二発ずつその二対ある翼に搭載可能の戦闘攻撃機で、迷彩はかつてのF-2と同じ柄。機動能力は従来の戦闘機を大幅に超え、対艦任務では八発の対艦ミサイルと六発の短距離対空ミサイルと八百ガロンの増槽を二つ積み、その状態でも高い機動性能を発揮する。
これはインベーダーの技術を解析して生まれた重力制御装置が装備される為だ。これにより従来では考えられない機動性能を確保している。
護衛艦を見ればかつてTRDIが作り上げた偵察用小型装備の球形飛行体をスケールアップさせた零式対潜ヘリコプター――――通称「零潜」――――が着艦しようとしている。
あの飛行物体は(あんなものをヘリコプターと呼ぶには私にとって抵抗がありすぎる)日本陸軍が採用している九九式汎用ヘリコプターの派生型で九九式との違いは機体下部に着艦装置を搭載したことと対潜兵装を運用可能にしたことと防塩処理だけでほかはオリジナルと同じらしい。さすがに有人機にしたせいか、球形飛行体のように完全な球体と言うわけでなく下部が出っ張った楕円形になっている。あんななりでも重力制御装置を搭載していないから驚きだ。
地球外由来の装甲を使い避弾経始を採用しているのであんななりでも直撃さえしなければ127mm砲弾に耐えることが出来るというのだ。
ちなみにイギリスでも採用されている。…奇抜なデザインが英国に気に入られたのだろうか。
イギリスのほかに海外にも輸出されており、ベストセラー機となっている。
わが国は自前で充分な性能を持った機体を導入したので採用していない。
あの球形飛行体をはじめてみたときは目が点になった。しかも、地球に滞在している宇宙人は日本があの物体を従来の航空機と同様の原理で飛行していると説明したために、怪しんで続々と諜報員を派遣。時期が最終的に地球連邦諜報部の工作員と激闘を繰り広げ一時期は新聞に乗るほどの国際問題になった。
「あら?。ロンドンなんて空飛ぶ艦艇よ?。奇抜さならわが国も負けておりませんわ。」
「アークロイヤルさん。それ自慢になってないかもです」
そうアークロイヤルに突っ込みを入れたロンドンは第三次世界大戦後
エイリアンの宇宙船技術を研究して建造された空中艦艇で、空中飛行しながら
戦闘行動が可能な艦艇だ。
武装は実弾のみだが、甲板上だけでなく舷や船底にも武装を施しており
実用高度も五十キロで高高度を飛行可能。弾道弾の迎撃も比較的容易となっている。また、大気圏外から海中まで全領域の敵を攻撃可能と言うメリットを持つ。
しかし、純粋に飛行能力のみに限定すればいいものを水上航行能力も追求した結果
舷と船底にある武装が原因で攻撃を食らえば一発で沈みかねない耐久性に難がある
艦艇になってしまった。
それを補うためにバリア展開装置を搭載した結果水上速度が二十二ノットとなり
バリア自体も水中では機能しない欠陥品だったために魚雷攻撃一発で轟沈しかねないところは変わらず、結局水上艦としては欠陥扱いの艦艇だ。
「ロンドンさんは…その……欠点はありますが、個性的な船ですよ。」
「なんでこうなったんでしょうか…」
そうりゅうのフォローにそうつぶやくロンドン。
それは英国面が出ちゃったからだろうなぁ…。ちなみに、この子の艦載機も「零潜」だったりする。
「それを補って余りあるメリットがあるからいいんじゃありません。ロンドン?」
「そうですね…」
アークロイヤルのフォローを受けて笑みを浮かべながらそう答えるも、どこか陰のある笑みを浮かべるロンドン。
飛行能力を持っていること自体が水上航行能力の欠点を補って余りあるメリットなのはほんとのことだからもっと自信を持って欲しい。
「それにわが国には自慢の戦闘機がありますわ!」
「・・・それって、性能が低すぎて攻撃機扱いだったような」
「何ですって?」
ジロリとふそうを睨むアークロイヤル。アークロイヤルの言った戦闘機はBAE「レイヴン」だろう。
第七世代戦闘機で、旧式化が目立つ戦闘機で外見こそ第五世代戦闘機に似ているが中身は別物で、特に目玉となるのが Multi Laser System《多用途レーザーシステム》(通称MLS)だろう。
この兵器は弾道弾迎撃から浅海域への対潜攻撃まで対応可能で第三次世界大戦では
インベーダーのバリアを貫通できる唯一の兵装として重宝された。
後に全地球地域に輸出されイギリスはその金で復興を主導し、欧州の盟主となった。これによりイギリスは光学兵器の分野では世界トップクラスの腕を持つにいたり
最高の威力を持つレーザー兵器を保有している。
しかし、「レイヴン」に搭載したMLSは重すぎたために。また、MLS運用のために作ったエンジンが発電量こそ多いものの、出力が低かったために機動性能は低かった。光学兵装の軽量化やエンジン出力の増大等の改良のめどが立ったのは第三次世界大戦終結の半年前だった。
現在では、改良は生産後期の機体に施されたのみで、初期の機体は一部が博物館の展示品となり、後は解体された。
「私は日本の兵器に衝撃を受けたけどね。」
「それはわかります。いくら奇抜さは負けていないとはいえ日本の兵器は……優れていますし」
アークロイヤルがそうつぶやいて紅茶を飲む。そうりゅうがやっぱりあれかなと言った。
「第三次世界大戦時に当時のTRDIの学者が言ったあの言葉をモットーにしたからかな?」
「私もそう思う。」
TRDIのモットーは
・常識を捨てること
・実用性より可能性を
・発想を逆転したり回転させること
この三つだ。第三次世界大戦で時の政府が新技術開発のために大盤振る舞いをした結果、とんでも兵器やビックリドッキリ兵器を多数製作し、極東に存在していたエイリアンの母艦を追い詰めた。
私の所属していた第七艦隊もこれらの兵器で助けられた。
・・・ノルマンディー上陸作戦のときにイギリスの改造戦車を馬鹿にしていたアメリカ軍の将兵の気持ちがよく分かる。
しみじみとそう思いながら紅茶を口に含んだ。
○●
「っと。そろそろ戻ったほうがいいだろう。遠田達も来ているようだし。」
ふそうがテーブルの上の時計を見ながらそういう。ウォルケン軍曹たちが接近していることも察知したらしい
「そうね。それじゃあ、私達はこれで。」
「それでは演習で会いましょう」
そう口々に言いながらそうりゅう達は自分たちの艦へ戻っていった。
私もテーブルの上にあったものやテーブルを片付けて演習の準備に入った
用語
第三次世界大戦
2065~2095年に起きた人類初の異星間戦争。
この戦争により各国のパワーバランスは大きく崩壊。また、人口も激減した。皮肉にもこのことで人類が長年抱えていた問題がある程度解決し、地球連邦設立に一役買った。
さらにこのとき鹵獲したセンサー類により幽霊や艦魂の存在が確認され、世界中で大混乱に。以後、世界中で妖怪、幽霊に対する対策機関が設立されているが、混乱は収まっていない。
艦魂
古代から小数に確認されたが、第三次世界大戦を血気に大多数の人間にその存在を認知された。
また、これと同時に幽霊、妖怪、要請、精励などの存在も認識された。
地球連邦軍
第三次世界大戦前に宇宙人に備えて設立された超国家的軍隊の地球防衛軍を前身とする。しかし、戦争中期までは弾薬の統合もしていなかった。
現在では連邦軍に名を変え陸海空に加えて宇宙軍と幻想軍が設立されている。
宇宙連合
平たく言えば宇宙版国際連合。所属する国家は地球を含め870カ国。
銀河を複数束ねた組織で常任理事国は25カ国。
ちなみに銀河間宇宙航行技術を有していない惑星には原則的に接触は禁止だが、
インベーダーはそれを破ったために制裁を喰らい、しかも未開惑星に敗北したために
国際的威信が大きく下がり政変もおこった。
第六世代戦闘機
第五世代のステルス強化、低出力光学兵装、無人機の搭載。
第七世代戦闘機
高出力光学兵装の搭載、無人機母艦化
第八世代戦闘機
インベーダーの技術を解析して作られた重力制御装置の搭載
第九世代戦闘機
幻想の技術の使用。