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魔法転生 転生したら魔法だった  作者: かゆゆゆゆる
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第六話 ランクアップ


 魔法は一定の経験をつむとランクアップする。

 冒険者の話を聞く限りでは、それは別にただ使用するだけでも経験値はたまるみたいなことを言っている。

 俺が特別だからか、少なくとも使用するだけではまったく成長していないんだよな。


 たぶん、成長しているのは冒険者の技量で魔法に対しての理解が深まったとかで、扱いが上手になったから成長していると勘違いするのだろう。

 実際俺も分析を行うようにしてからは、いままでより数段上の魔法を放つことができている。

 魔法は奥深い。などと考えていた俺は、眼前に表示されたゲームのウィンドウのような文字を読んでいく。


『ランクアップしますか?』


 そう質問されているのだ。いったい誰に?

 このウィンドウを作っているやつってのは……誰なのだろうか。わざわざこんな真似ができるのだから、ただの人間には無理だろう。

 まあ、神様みたいな存在がいるのかもしれない。

 なぜ読めるのかなど疑問はあるがそんなのいまさらだ。この世界に来てから言葉が理解できる時点でおかしさには慣れている。


 そもそも俺の体が一番おかしいのだから、とウィンドウに書かれている「はい」のボタンを押す。

 すると、どの魔法にランクアップするのか表示された。

 現在あるのはファイアボール、アクアボール、アースボール、ウィンドボール、エネルギーボールだ。

 この段階で俺はエネルギーボールを選択肢からはずした。いま使っているエネルギーショットの上位版なのだろうが、たいした威力があるとは思えなかった。

 火を選ぶのが妥当か。

 

 この迷宮には火に弱い魔物が多くいる。

 ウルフやトロール、さらに第七階層に出てくるボスも火に弱いらしい。

 ファイアーボールを獲得すれば、一人でウルフを狩れるかもしれない。ここで選択するのはファイアボールなのだが、俺には一つの夢があった。

 人間じゃないのなら俺はスライムに転生して、女の子を飲み込みたかった。全身もみもみしたかった。


 ……水魔法になれば、それももしかしたら可能なのではないか?

 この夢は、美少女と契約するのに匹敵するレベルでやりたいことだ。だから俺は悩んでしまう。

 美少女にあんなことやこんなことが出来る……それはとってもロマン溢れると思う。

 ……くそ、どうする。


 俺はしばらく悩み、勢いに任せて選択する。

 選択したのは――アクアボール。俺の欲が効率のよさを無視してしまったようだ。

 アクアボールを獲得すると、俺の体が水色に変化する。


 何も欲を優先したわけではない。

 合体魔法を使えばトロールが狩れるのだから、とりあえずはそれでいいのではと思ったのだ。

 いつまでもこの迷宮にいるとも限らないしな。


 これで、ようやくスタート地点に立てたな。エネルギーショットを使う冒険者はいないが、ボール系魔法ならばたくさん見てきている。

 進化した俺は、さっそく一階層へと向かう。トロール狩りを行いたいが、それよりも今の俺がどれほど通用するのか試したかった。

 移動中、俺の姿が冒険者に見えるか確認してみたが、まだ大丈夫なようだ。

 地下一階層まで戻り、俺はさっそく見つけたウルフに近づく。

 強くなったからといって基本は忘れない。ウルフの背後をとり、


『アクアボール!』


 魔法となって攻撃をしかける。拳サイズの水の球となり、ウルフの脇腹に当たって大きく崩す。

 以前とはまるで違う。戦闘になっていることに感動する。

 距離を開けながら再使用までの時間を稼いでいると、エネルギーショットが使えるのかふと気になった。

 まあ、死んでもいいか。そんな軽い気分で、エネルギーショットを放つ。

 すると……威力がだいぶ底上げされたエネルギーショットとなり、俺はウルフを吹き飛ばした。


「グゥゥル……」 


 耐え切れなかったウルフが粒子となっていく。飛び出した素材を拾えないことだけがもったいない。


 か、勝った。

 一瞬理解が遅れる。初めての個人戦闘に、俺はたまらない嬉しさを覚える。

 子どものようにその場でしばらくはしゃぐ。遠くにウルフ数体を見つけた俺は、すぐさま近くの木に隠れた。


 それにしても……魔法二発使えるのはでかいな。

 再使用までの時間を計算すれば、魔法を連発できる。エネルギーショットの威力もそれなりにあったし……先制攻撃さえしかけられれば、ウルフ狩りが可能だ。

 俺は次の獲物を探しにいく。

 ちょうど、冒険者とウルフが争っているところに出くわす。

 ……確かにウルフを倒せるが、横取りのほうがラクだしな。

 俺はトドメのタイミングを狙い、アクアボールを放つ。

 ウルフを問題なく倒すと、冒険者たちが声をあげる。


「誰よ! 人の獲物を横取りした奴は!」

「出てきな! あたしの剣でしとめてやるよ!」

「アクアボール撃ったやつ誰!?」


 三人の冒険者が途端に叫ぶ。エネルギーショット時代にはなかった反応に戸惑っていたが、俺ははっと気づく。

 ……ま、まさか、今の俺は魔法を放つと見えてしまうのか?

 急いでその場から離れる。

 強くはなったが……やはり問題が出てきてしまったな。野良魔法としてばれれば、専門の冒険者がやってきて俺を処分するだろう。

 こりゃあ、目立つ狩りはできないな。

 ラクになった部分もあるが、行動も制限されてしまった。

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