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龍は眠らず  作者: 讃嘆若人
第二章 朱雀ホテル事件
8/23

樹依莉の読書

※一度、投稿した後で、時間設定を大幅に変更しました!!

「おはよう!」


「あ、樹依莉?おはよう。」


朝、樹依莉が学校に行くと、大倉花音が、ハンドクリームを塗っていた。


「花音って、いつもハンドクリームを塗りまくっているよねw」


大倉は、姉の影響でおしゃれ好きで、常にハンドクリームを携帯しているのだ。


「え?あ?樹依莉も使いたいの?それなら、使ってもいいよ?」


「うん?(笑)別に私は使いたくはないよ。」


生まれながら、美形の容姿を持つ樹依莉は、とくに自分を飾ることなど、あまり考えていない。ファッション雑誌はよく見るが、ハンドクリームなど塗らなくとも、樹依莉は美少女なのだ。


しかし、クラスの男子の中では、大倉の方が人気のようだ。


漫画家を目指している、榎孝一など、いつも、大倉の方を向いてばかりいる。


樹依莉は、どちらかというと、年上の男子にモテるようだ。


実は、同学年の四年生の男子の間よりも、五年生や六年生の男子の間での方が、樹依莉は有名なのである。


誕生日には、机の中の道具箱に、見慣れない筆跡でたくさんの手紙が入っていた。


数えてみると、76枚も入っていた。名前はすべて聞いたこともない男子であった。(匿名の手紙もあったが・・・・・)


人口はそれほど多くない学校なので――――少子化の進んだこの時代では、どちらと言うと多い方ではあるが――――高学年の男子の70%が樹依莉に手紙を送った計算になる。


また、ある日は、顔も知らない中学生の男子が家の前にやってきて、樹依莉に「あ、春風ちゃん?一緒に遊ばない?」といってきたときもあるが、その時、仕事が休みだった春風祐樹が「お前、どこのロリコンだ!!二度と来るな!!」と怒鳴ったので、その中学生は半泣きの表情で逃げて行った。


なのに、クラスでは花音の方が人気で・・・・・いつもは仲良しの花音に対し、樹依莉はたまに嫉妬をすることもある。




そうこうしているうちに、昼休みとなった。


昼休みは、退屈である。


外で遊んでいる子供たちも多いが、樹依莉の性には合わないのだ。


樹依莉は、読書が好きなのであるが、廊下にある学級文庫の本は、ほとんどすべて読み終わった。


もう一度、これでも読んでみようか?


そう思って、樹依莉が手に取ったのは、シャーロック=ホームズシリーズの『ギリシャ語通訳のひみつ』だった。


表題の「秘密」が平仮名になっていることでもわかるように、子供向けに訳してある本だ。これなら、小学四年生の樹依莉にも、読みやすい。


そう思って、席に戻ると、隣の席で、優奈が小さい字ばかりで書かれた、シャーロック=ホームズの大人版と思われる、本を読んでいる。題名は、『恐怖の谷』だ。


クラスメイトの鳴瀬優奈は、低学年の時に、大阪都から転校してきた。


樹依莉と優奈は、いつも、朝の読書の時間が始まる前から、本を読んでいる。


自分だけ、子供っぽく見えるのは、いやだ。


よく本棚を見ると、下の方に、『シャーロックホームズの事件簿』や『シャーロックホームズの冒険』と言った、分厚い本がある。


樹依莉は、静かに椅子から立ち上がり、さっさと、学級文庫の本棚のある、廊下へと出て行った。分厚い本に挑戦しようと、しているのだ。


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