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龍は眠らず  作者: 讃嘆若人
第一章 異変の始まり――2026年11月18日
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異変の始まり

同日、白鳳県警本部。


「・・・・あ、はい、了解です。」


白鳳県警特別捜査部電網一課の課長である民野耀蔵は、電話を切った後、呟いた。


「は!?市長との面会が長引くだと?舐めてんのか!!」


「どうしたんですか?」


部下の質問に対して、答えた。


「あの、きまぐれ袖木市長の付き合いで、向こうから予約してきた面会を、ドタキャンしやがってきた!生意気な教育め!」


短気な民野課長に対し、部下の浅田が冷静な口調で言った。


「松下さんの事ですか?恐らく、春風祐樹の監視で忙しいのだと思われます。」


「春風祐樹なんて、あんなチンピラ、こっちが本気になれば、いつでも、引っ張ってくれるんだ!!大体なあ、教育局のやれることって、春風の娘をストーカーする程度の事じゃねえか!」


「まあ、お気持ちはわかりますが、落ち着いて・・・・」


教育局が、児童たちの携帯をハッキングしていることを言っているのだろう。美少女で有名な春風樹依莉がどこにいるのか、についても、常時監視しているという。


教職員達の行為とはいえ、本来なら『個人情報保護法』違反で捕まっても、おかしくない行為だ。




民野のところへ、面会の予約が入っていた。


松下教育長である。


しかし、いきなり、「市長と会う予定がある」というメールで、ドタキャンしてきた。


彼は、いつもこんな感じなのだ。自分を含め、父と息子と、親子三代続きでの東大出身のためか、思い上がった態度ばかり取る。警察の特捜部内では、「いつか、松下を捕まえてやろうかな?」と、冗談交じりで、みんな言っているものだ。


だが、そんな訳にはいかないのには、理由がある。


松下の父は、法務省の大物OBなのだ。これは、迂闊には手を出せない。


検事長に、人権擁護局長も務めた、大物なのだ。


松下の今の「仕事」は、教育行政でも何でもなく、自分のかわいい孫を、東大に行かせることであるという。馬鹿らしい話だ。


普段は、生徒のストーカーをしているだけに、余計、腹が立つ。


そういえば、教育局が一生懸命、春風家はいろいろと謎の多い家だ。


樹依莉は、父親にも母親にも似ていない。


その理由は、警察も知らない。恐らく、教育局も握ってはいないだろう。


ただ、警察も、春風家の特殊事情については、ちゃんと、握っている。




そんなことを考えていると、いきなり、携帯電話が鳴った。


慌てて、発信者を見ながら、民野は言った。


「どうしたんだ、カズキ!急ぎのようでもあるのか?」

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