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龍は眠らず  作者: 讃嘆若人
第一章 異変の始まり――2026年11月18日
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春風祐樹の出発

美少女の父親は、ヤバい男で、海外に出張に行っております。

同日、春風祐樹は飛行機に乗り、インドへ向かっていた。


商談で、中国共産党から解放されたばかりの、チベットに向かうためである。


出国検査の際は、「ビジネス目的の旅行」といっても、なかなか信じてもらえなかった。


まあ、春風にも落ち度はあった。


特攻服姿に旭日旗のバッジ、誰が見ても、危ない奴だ。ヤクザと疑われても、文句は言えまい。




昨日から、秘書の一人から「さすがに、特攻服はヤバいんじゃないですか?」と言われていた。


この秘書は、まだまだ若い男だが、ちょっと生意気なところがある。こいつを同行者として連れて行くと、商談がまとまらないかもしれん。


春風は、バイト代わりに来ているJKを秘書として雇っていた。さすがに、JK秘書はおとなしく、文句を言ったためしはない。


そのJK秘書の浅川が目に入ったので、春風は言った。


「おい、浅川、明日からチベットに行くぞ。今すぐ用意しろ。」


「え?社長、私、学校があるんですが・・・・。」


「学校は休んで来い。どうせ、お前、商業高校だろ?俺についておけば、就職活動の必要はない。高校の成績など、二の次、三の次だ!」


ヤクザが言うならわかるが、それなりに有名で海外にもパイプのある会社の社長のセリフではない。


浅川は、まるで、ヤクザの事務所に囲われたヤンキー少女のような状況に追い込まれ、仕方がないので、ついてくることにした。


で、出発直前、春風社長の服装を見た浅川が、眼を点にしたことは言うまでもない。


「実際には、特攻隊員は特攻服ではなく、戦闘服を着ていたから、そっちを着るべきだったかな?」


そう、笑顔で言う社長が怖い・・・・・。


特攻服とは、暴力団員が事務所当番などで着用していた戦闘服を模したものであるという。


(うちの社長、前から可笑しいと思っていたけど、やっぱり、ヤバい人だ・・・・・)


浅川がそう思っていると、浅川に対して、


「君は、これを着てみるかい?」


といって、一枚のセーラー服を出し・・・うん?なんか、違うぞ?


おい!背中に旭日が印刷された白いセーラー服!?


「もちろん、着るよね?」


笑顔でこう迫る春風社長、浅川の親が春風の会社の社員でなければ、ほぼ確実にセクハラ事件扱いだっただろう。


「・・・・・着ます。」




飛行機のファーストクラスに、明らかに場違いな、危ない恰好をしたおっさんと、謎の服装をしたJKが載っていた。


危ない奴がいる・・・・・関わるな・・・・・下手すると絡まれて酷い目にあうぞ・・・・別の便にすべきだった―――――――飛行機の中を、そんな空気が支配する。


一方の春風は、日本に残してきた自分のかわいい息子と娘のことを考えながら、くつろいでいたのだった。


浅川は退屈なので、持ってきた本を読んでいた。春風社長は、自分の世界に入り込むと、秘書の存在すら忘れることがある、と、先輩秘書から話を聞いていた。


うん?なら、私の分のホテルの部屋の予約はされているのか?――――浅川の頭に、ふと、そんな疑問が浮かんだが、本を読んでいるうちに消えていった。


さすがに、先輩秘書や会社の事務担当が、ホテル部屋の予約ぐらいしているだろう。そう思いつつ、読書の世界に引き込まれていったのである。

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