1/22
一面の闇の世界。
自分の姿さえも見えないような黒が広がっている。
何かが動いていてもわからない、そんな世界で。
白が、生まれた。
始めは小さな点だった物が徐々に大きくなり、巨大な球体へと姿を変えてゆく。
球体の表面は虹色の光が揺らめき、中の様子は伺えない。
遠くから、鈴の音が響く。
リーンと鳴り、しばらくしてから再び鳴る。少しずつ音は強くなり、鳴る間隔は狭くなってゆく。
リーンリーン、リーンリーンリーンリーン。
そして、音が空間を震わせる程大きくなったころ。
ピシッ。
音を立てて球体の表面が割れ始めた。パラパラと破片が宙に舞い、内側の薄膜の光をキラキラと反射する。
その中に一人の少女が横たわっていた。
薄紅色のシフォンが幾重にも重ねられたドレスを纏い、ほんのり光る丸い膜に包まれるようにして眠っている。膜の内側半分以上をドレスの長い裾と少女の長い髪が覆っていた。
そして少女は目を覚ます。
それは、始まりの合図。
薄膜が光を強め、世界は光に飲み込まれた。