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織田のぶなが

タイトル酷いですね。

漫画を鞄に入れて店内へ。

レジの奥に座って本に値札を貼っている白川さんを見つけた。

白川さんは私に気付いた様で手を止めて顔を上げた。

柔らかい微笑で歓迎してくれた。

机と椅子の所に早速移動して対面に座る。

こころなしか白川さんはわくわくしている様にも見える。


「私のオススメの漫画はこれです。」


すっと白川さんの前に置く。

ヘタレ主人公が少しづつ成長していく内容。

共感出来る場面が多くて好きなのだ。


「わざわざありがとうございます。」


そう言うと白川さんは本を取り出した。

と、白川さんは急に動きを止め名前を尋ねて来た。

そういえば言ってなかった事に気付く。


「織田です。のぶながとか呼ばれてますよ。」


織田なんて珍しいからだろうけど自己紹介したら直ぐにのぶなが、のぶながと呼ばれることに。


「偉人と同じ名字ですか。未来の武将ですね。」


常に柔らかい雰囲気、それでいて人離れした雰囲気の白川さん。

またにこりと笑った。

白川さんが紹介してきた本は恋愛物で私が女なのを考慮しての紹介だったのだろう。

漫画でも恋愛物は読んだこと無いのでどんな物かと読んでみたけど面白い。

ハッピーエンドではなかったけど最後まで楽しめる作品だった。


白川さんの方をみると丁度読み終わった所らしい。

私の方も読み終わったのを確認して感想を述べた。

私と同じく共感出来る所が多いし絵が付いているとすごく新鮮で楽しく読めたとのこと。

喜んで貰えて安心した。

これでつまらないと言われたら凹んでてたと思う。













そろそろ帰る時間になる。

また今度持ってくるのでどんな話が良いかと聞くとハッピーエンドな話を読みたいと言われた。

やっぱりハッピーエンドの話が1番だ。

私は見栄を張って文学な本を頼んだのだが白川さんはくすっと笑い、読めるんですか?と言ってきた。

少しムッとしたので意地でも読んでやる。

それより白川さんと打ち解け始めた事が嬉しかった。


「それではそろそろ。」


白川さんは古い振り子時計をみてもうこんな時間でしたかと言って漫画を片付け始めた。

帰る前に1つ訊きたい事があることに思い出す。


「そういえば、白川さんバイト募集してたりしませんか?」


白川さんは一瞬悲しそうな色を見せた気がしたが特に変わった様子は無かった。


「すみません。辺鄙な所にありますし来客はほとんど無いので…。」


申し訳なさそうに笑いかけてきた。


「あ、いえ!私の方こそ我儘言ってごめんなさい!」


「いえいえ、もう少し人の出入りがあったらお手伝いお願いしたかも知れませんが…。お気持ちだけでも充分ありがたいです。」


ぺこりと帰りの挨拶をして店を出た。

今日は白川さんの見送り付き私が見えなくなるまで見送ってくれた。

遠くに立っている白川さんは儚く見えて一瞬走って白川さんの所に戻ろうとしたがやめた。

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