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Guild   作者: 真津 忠村
後継者
3/5

第2話 「後継者」 Ⅰ

真田は硬式飛行船に乗った

「ぼろいな・・・・」

飛行船といっても外観はとても綺麗なものではなく、客船のようにはいかなかった

「まあ、これしかないんだから仕方あるまい」

真田は手元にある書類を見ながら、休憩所に向かった






第2話 「後継者」 Ⅰ





3日前

エドワードは真田が書類を見始めると同時に説明に入った

「依頼主はエベレン国の王子だ」

「エベレン国って・・・半年前ぐらいに国王が死んだところですよね」

エベレン国はそれほど大きくない国で人口は1000万人位

王政をしている今になっては数少ない国だ

隣国にべランというそれなりに大きな国があり、そこでは量産型飛行船や兵器などを売ってぼろ儲けをしている

そういった工業に必要な資源の調達先がエベレンだそうだ

ちなみに微妙に名前が似ているのは当事国いわく、

「領国に親密さを世界に知らしめるためだ」

とか表向きは言っているが、べランがエベレン国を無理やり吸収しようとしたときの名残だ。というのは有名な話である

まあそんなことがないように、日々ギルドが働いているわけだ

「後継者争いですか?」

「そんなところだ。本来は王子のマーグリスに王位を相続するはずなんだが、彼はまだ12歳でな、18ぐらいになるまで前王の側近のホイタッカーが代理で国を治めるとか言ってるらしいが、それが不満らしいな」

「悪しき者なら一度代理の王になってしまえば法律とかころころ変えて自分の在任期間を引き延ばすのも可能ですからね」

「しかしまだホイタッカーが警戒を要する対象かどうかの確認はギルドはしていないからな、ホイタッカーが実質的に王になってもギルドは特別に止めもしないし、挨拶代わりに使者ぐらいは送るが・・・」

「なってからじゃ遅い・・・・ていうことですかね・・・・」

「それと今回はあくまでエベレン国ではなくてマーグリス王子個人の依頼だからな」

「はい。でもそんなので利益出るんですか?」

「でねえよ。でも価値はあるかもしれない」

にやりとエドワードは笑った

「・・・・依頼実行人兼密偵ということですか?」

「こちらとしても久しぶりにエベレン国にギルドの隊員を送る口実ができたんだ。これを逃す手はあるまい」

ギルドは建前では「世界平和のための非国家組織」という位置づけだが、それに反発や不満を持つ国も多い。これを俗に反ギルド国家と呼ぶ。

そしてエベレン国はどうかというとどちらともいえない微妙なラインだ。

前国王派どちらかといえばギルドを容認している方だったが、一部の大臣が反ギルド派らしくその大臣の中に外務大臣がいたので結局ギルドに対して閉鎖的な国家となってしまった

「ちなみに赤字分は自己負担だから」

「なんで?そこは会社で持ってよ!」

「うるさい!いい加減早くいけ!」

「え~~~~~~!!理不尽な!!」

「これじゃ前回と同じだろ!!」

「???前回って?・・・あっ!やめて!また写真をばら撒こうとしないで!!行くから!むしろ行かせて下さい!!」






・・・・はい、という訳で着きましたエベレン国

資源の輸出国だけあって国内の輸送機関はかなり整っていた

綺麗なわけではないのだが

遠くに城の様な物が見える

あそこに王家が住んでいるようだ

「あんなモン建てる金あるなら町並み綺麗にしろよな・・・」

俺が着いた町は国の首都なのだが、建物は西部劇に出てきそうな家に似ている

さすがに西部劇にあるような意味のないドア(あのドアなんていう名前?)のある酒場があるわけではないがほとんどが木造で雰囲気もいかにも発展途上国みたいな感じがする

大きな地震があったら全部ペッシャンコだ

しかし、GDPから言えば先進国とはいえないまでも十分立派な国だ

その証拠に先ほども言ったように道路はちゃんと整備してあるし、コンテナや電車などの輸送機関も発展途上国顔負けだ

人ではなく輸出用の資源のためのものだろうが

多分ほとんどの利益は国民に還元されていないのだろう

「大体王って名乗ってる奴のいるところはそんなもんだけどね」

まあそんな感じでぶつぶつ言っていると、あるポスターが目に留まった

往来するトラックのせいで砂埃にまみれているがそこには中年の男性とこぎれいな少年がパレードのようなもので人々に手を振っている写真で大文字で『私達が変える!!」というありがちなキャッチコピーを載せたものだった

この写真の少年が今回の依頼主マーグリス王子、そしてその横の胡散臭そうな笑顔の中年がホイタッカー国務大臣である

「とりあえず会いに・・・・・・」

バリッ

突然横から手が伸びてきてポスターを乱暴に破りとった

「え?」

俺が呆然としている横でその手の主は親の敵がごとくポスターをくしゃくしゃに握りつぶし、持っていたライターで火をつけた

「こんなもん見てんじゃねえ!!」

黒ずみとなったそれを地面に落とし踏み潰すと、ジュウと音を立て何の紙だったかわからなくなった

「いいんですか?こんなことして?」

こんなことすれば厳しい国だったら即逮捕だ。ただのポスターとはいえ公共物だからな。

「ハッ!!いいんだよ!!こんな詐欺師!!コイツを明日にも殺しに行ってやりたいほどだ!!」

彼はオーバーオールにシャツ、少し中年太りで立派な白髭をはやし、ところどころ砂で汚れていた。多分鉱夫だろう。

不機嫌な彼は汚物を見たようななような目をしたままこっちを見た

この写真はそうかもしれないが俺は違うぞ

「まあまあ、落ち着いてください。俺今日観光に着たばかりでこの国の情勢とか全然わかんないんです」

本当のことをいうわけには行かないのでとりあえず観光ということにしておいた

俺はさりげなく彼にのホイタッカーに対する気持ちを喋るように誘導した

依頼主に会う前に情報を集めるのもいいだろう

「そうかそうか。じゃあ教えてやろう。ちょっとこっちに来てみろ」

これは指で催促すると酒場に連れて行った

やっぱり西部劇に出てくる酒場のドアはなかった

本当にあのドアなんていう名前だっけ?

「この町は鉱山以外は酒しかないからな。酒はいけるクチか?」

彼は少しにやりとして勧めた

「いえ。下戸なんです。」

本当は未成年だからだが、彼は俺は成年と見ているようなのでそっちの方が甘く見られず済むと思った

「それはもったいない。じゃあコーヒーでいいか」

「お願いします」

彼は店員に慣れたように注文し、こっちにすぐ向いて説明をした

「まずはどこから話そうか・・・・・」















長かった、非常に長かった。そして気づけば俺も酒も飲んでいた

うろおぼえだが彼の言ったことをまとめよう

ホイタッカーは5年前国民選挙で当選した大臣で、公約に「国家と国民の更なる繁栄」ということを言っていた

当時国民は彼の公約と弁論に心を奪われ、選挙は圧勝だったらしい

そして彼が在任してはじめてやったことは「権力の分散」だった

当時いた大臣は総理大臣、国務大臣、外務大臣の3人と少なく、行政の決定権も王に比べて貧弱だった

ホイタッカーはもっと王家に集中していた権力を分散させ、国民の意見に近い政策ができる民主的な国になるべきだと提案した。

今までの王だったらそんな自分の権力を減らす提案当然却下だっただろう

しかし前国王は違った

彼もまた国を繁栄するためには今までのような絶対主義な政治では時代遅れな事を承知していた

しかし民主主義にすると自分の一族は路頭に迷うことになってしまう

だがホイタッカーは国王には国の決議権の4割を残し、残りの6割を各大臣で分けるという方法をとった

その代わり大臣は国王とは完全に独立した立場で国王の一存では退任させることはできないとし、国民選挙で選ぶとした

前国王はこの提案を快諾し、1年後法案は公布された


その結果どうなったか


ホイタッカーは大臣を丸め込み、密かに自分の支配下に置き、事実上ホイタッカーがこの国の法律を作る権利を得てしまった

そして2年後無理やり大臣は国民選挙で選ぶという法律をなくしてしまった

このあたりから一部の国民は政府に反発し始め、反政府団体も目立ってきた

だがホイタッカーは軍事力で反政府団体を鎮圧した

元々この国には軍はなく小さい自衛隊しかなかったのだが、ホイタッカーが拡大させて今や立派な軍隊となった

よって政府と国民の間には大きな溝ができるようになった




まあ、本当はもっと長かったんだけど、俺の脳が勝手に簡略化してしまった

師匠が酔っ払ったときもこの機能が使えればいいのに

機能したらそれはそれで、大変な目にあうんだけどね


この国の歴史をほとんど言い終えた彼は最後にニヤケながら口を開いた

「ククク・・・だけどこんなのもこれまでだ」

意味がありげな感じだ

「ほう。」

これはおもしろそうなことになりそうだ。







広い部屋、大きなベッド、窓をのぞけば見晴らしのいい景色、古い色調の部屋の割には完璧な空調設備

貧困気味のこの国の平民でなくても、多分この世界の一般ピープルの約半数はこの部屋に住みたいと思うだろう

しかしそれ以外には何もない

絵本、テレビ、小物、スポーツ用具、少々いやらしい本の類

今年で16歳になるこの部屋の主を象徴する物はない

本も勉強のためのものばかり、ゲームなどはこの国に元々ないとはいえ娯楽物はほぼない

机の上の小さな写真たてが目立つぐらいに寂しい


コンコン


ノックの音が部屋に響く

広く、他の音もないためか反響がとても心地よい音になった

「失礼いたします」

ドアがそっと開き、初老の男が現れた

白髪で60代ぐらいだが、そうとは思えない姿勢の良さがあり

タキシードを纏い、目は細かった

「ああ、セーガンさん、お疲れ様」

この声の主は明かりもつけずにベットに座って外を見ていた

「マーグリス王子、どうしたんです?明かりもつけずに」

セーガンは明かりをつけた

いかにも高価そうな照明は部屋をやさしく照らしたが、この部屋の持つ寂しさを残したままだった

「別に・・・・ぼうっとしていただけさ・・・」

マーグリスは視線をセーガンに向けずに単調に言った

「そうですか・・そろそろ食事の時間ですのでお呼びに参ったのですが」

「もうそんな時間か。よろしく頼むよ」

「今日もこちらで・・・」

「うん。迷惑かけるね」

「いいえ、私はかまいませんが・・」

セーガンがためらっていると、マーグリスはため息を吐き

「嫌なんだ、あいつに会うのが」

「しかし一応あの方が応じの養父代わりですので」

「間違ってもあいつに『父』なんて言葉を使わないでくれ!」

マーグリスが怒鳴ったとたん静寂が強くなった

両方が息を呑みこれ以上の追求をやめた

「すまない、怒鳴ったりして」

「いえ、私の不手際でした。申し訳ございません。これから食事を運びますので少々お待ちください」

セーガンは表情を一切変えずに部屋を後にした

マーグリスはセーガンが出て行くのを見届けるとベッドに顔をうずめて唸った

「どうしやいいんだよ・・・・」



親父を殺したあいつが王に就任するのは1ヶ月後

就任したら、僕たちの一族に王座が戻ってくることはない

何とかして止めなければならない

でもどうやって?

脅すか?

何を持って?弱みを握られているのは俺のほうだ

殺すか?

でもあいつには護衛がたくさんいる

あいつの悪事は暴露するか?

そんなの誰でも知っている。だけど証拠がない。

八方塞だ

所詮僕は飾り物の王子なのか?


「くそ・・・結局来てくれないのかよ・・」




半年前

「父上、父上!」

マーグリスは父の書斎に赴いていた

ホイタッカーの行動が明らかにおかしいのでどうするつもりか問いただすためだった

「開けますよ?」

いつもなら開いていないのだが今日は何故か開いていた

「父上・・・・・・」

いつもなら膨大な資料を処理しているか古典書を読む父の姿があるはずだった

そして許可を受けていないのに開けたので父からの第一声はいつもの怒号

マーグリスは覚悟をしていた

今回はどうせ言い争いになるに決まっていると思っていたからだ

しかし今回は違った

机に上半身を委ね、目は虹彩がなく、口からは血がこぼれている

怒号どころか、呼吸の音もなく、血と机の上のウィスキーの香りが生まれて初めての嫌な臭いを醸しだす

「どうして・・・・」

マーグリスは千鳥足で父に近づく

意味はないとわかっているが体をゆすってみる

『ドッキリでした!』なんて父がやるわけがない、しかし今回だけはそんな父でもいいと思っても見た

「う・・・うわあああああああああ!!」

泣いているのか混乱しているのかわからなくなった

ただ父の体をひたすらゆすっていたのはわかった

そこでマーグリスはあるんものを見つけた

それは父の手に掴まれていた紙のようなものだった

「な・・んだ・・・これ・・」

彼は必死に思いを抑えた

そしてマーグリスは硬直していた手に苦戦しながらもその紙を取り出した

そこには10桁の数字が書いてあり、その横に一つの単語と文が書いてあった

それは外国の文字で書いてあったがマーグリスが勉強したことのあった言語だった

「ぎ・・・・る・・ど?」

聴いたことのない言葉だった

文のほうはエベレン語で書いてあったので容易に読めた

「ミズガルズが罪?」

マーグリスには全くか意味が不明だった

マーグリスは物理が苦手なのだがそのテストの方がまだ簡単だと思えるほどに

数字の方は多分電話番号だろう

「マーグリス様?」

不意に入り口のほうからしゃがれた声が聞こえた

「セ・・セーガン・・」

マーグリスは急に現実に戻された。

急いで紙をポケットに入れて、セーガンの方に向いた

「マーグリス様!王様はどうしたんです!!」

セーガンは今まで見たことのないような驚愕した顔をしていた

マーグリスは再び父だった物のほうを見た



ああ、そうか死んだんだっけ


それよりもミズガルズってナニ?


アレ?なんかせーがんガぼやけてミエル


父上がシンデ僕はイキテイテ


父上とはモウ話せなくて・・・・・・・



「あぐああああああ!!」

マーグリスは机の上のウイスキーのコップと瓶を掴み窓に叩きつけた

バリッリン!

窓は容易く割れ、瓶とコップは窓に下にあった川に落ちていった

「マーグリス様!落ち着いてください!!」

セーガンはマーグリスに掴みかかった

それでもマーグリスはそれを振り払うように暴れる

「父上が・・・父上が・・・・」

元々綺麗めだったマーグリスの顔は見事に涙や鼻水で壊れていた

「ち・・・ち・・・が・・・・」

マーグリスの視界はどんどん狭くなり

「ち・・・」

真っ暗になった





マーグリスが医務室のベッドの上で目覚めたのは2週間後だった

目覚めてしばらくしたら死因は毒殺だということを教えられた

この国の検死技術はまだ未熟なので、どのように毒が体に入ったのかは不明だと言うことだった

5ヶ月前は風呂場で起きた殺人事件の死体の死因を明らかに首に締め付けた跡があったのに水死としたぐらいだから、毒殺とはっきりわかっただけでも上出来だ

しかしマーグリスは判っていた

「あのときのウイスキーか・・・・・」

判ってはいたが言い出せなかった

父のことがどうでもよくなったというわけではなく、今は思い出したくないし、言っても生き返るわけでもないと思っていたからだった

「マーグリス様!大丈夫ですか?」

急に遠くまで響きそうな男声の声が聞こえた

「ホイタッカー・・・・・」

国王の側近兼国務大臣のホイタッカーだった

「話は聞きました。まさかこんなことになるなんて・・・・」

最近は行動がおかしいが大臣に就任した頃は国王の信頼が厚く、国王に「自分に何かあったら息子を頼む」と頼まれるぐらいだった

「今後のことは全部私にお任せください」

「ああ・・・・お願いします」

マーグリスとしては本当は頼みたくなかったが、彼が国王を裏切ろうとしているという証拠はないし、正直な話マーグリスも完全にホイタッカーを疑っているわけではなかった

他の大臣を丸め込んだのもただの噂に過ぎないだけかもしれないし、鎮圧した反政府団体のことも危険思考の団体なんていまどき腐るほどいるから絶対ホイタッカーが悪いとは言い切れないと思っていた

全部気のせいかもしれないかもしれないのだ






「実は私はついさっきベレンへの出張から帰ってきたばかりで事件のこともつい30分前に聞いたばかりなんですよ」

ホイタッカーがため息を吐きながら言った

「まさかウイスキーに毒を入れて自殺なんて・・・・・」





え・・・・・

「葬儀は明日行われますが、王子から何かご要望はありますか?」

まさか・・・・・

「いえ・・・・・」

こいつが・・・・・・・

「そうですか・・・亡き国王様の恥にならないような葬儀にいたしますので、ご心配なさらないで下さい」

コイツかコイツかコイツか

「それと・・・・」

マーグリスは怒りでホイタッカーに掴みかかろうとしたが

「あなた様が時期国王にふさわしくなるまで」

入り口にいる腰にある回転式銃に手をかけ1秒もあればマーグリスの頭を真っ赤にできる兵士を見たとたんに戦意を奪われ

「私が代理の王になることが決定いたしましたので」

ニヤケながら喋るホイタッカーを見て

「よろしくお願いします」

俺しかしらないはずのウイスキーのことを知っていたホイタッカーが言いたいことを理解した




マーグリスは父の部屋からの唯一の戦利品を自分の部屋で眺めていた

「・・・・・・・・」

そして自分のふがいなさに絶望していた

自分は父の仇討ちより自分の可愛さを優先したのだ

「そういえば・・・・」

ふと紙の数字を見た

これは電話暗号だ

電話番号ということは掛ければ誰かに繋がるわけだ

マーグリスは何故か電話しないといけないと思った

何か根拠があるとかではなくて寝食と同じような本能的な部分で感じた

マーグリスは机の中から携帯電話を取り出した

これは王族専用で盗聴などのためのプロテクトのついたものだった

プルルルル・・・・・

何度コールしても出ない

いつもなら自動的に留守番サービスに移るぐらい待ったがそれでもまだコールが続く

いい加減切ろうとしたが手元の紙に書いてある文を思い出した

「ミズガルズが罪・・・・」

『はい!こちらはギルドカスタマーサービスです!」

「!!!!!!」

さっきまでコールしか聞こえていなかったのに急に若い女性の声が聞こえた

「あ・・・あの・・父の・・・」

『はい。エベレン国の国王様のことですね!』

「知っているんですか?」

『先日国王様からお電話を受け取ったのですが依頼は保留ということだったのですが』

「依頼?」

『はい。当方はさまざま問題解決を請け負う仕事をしています。』

「例えば・・・どのような?」

『国内侵略の阻止や紛争の早期終結など軍事的依頼や要人の警護、武器や薬物の運搬、さらには個人的な悩みにまでフォローいたします!』

「要するに危ないことができる万屋ってことですか?」

『簡単に言ってしまえばそういうことですね!』

元気な人だな。見習いたいものだ

「・・・・暗殺とかも?」

『もちろんです!寧ろそれが得意分野ですから!』

やっぱりやめた

だけど・・・・・

「僕でも・・・・依頼できますか?」

『はい!ですが・・・・』

「何か問題でも?」

『個人の依頼ですと・・審査などがありますのでしばらく時間がかかってしまいますが・・・』

「そうですか・・・・何を審査するのですか?」

『はい。大体は当方としては依頼完了時に依頼者の全財金の3分の2を報酬として徴収することになるので十分な利益が出るかどうかを調べたりします』

「・・・・・・・」

3分の2か・・・・

『どうしますか?』

「え・・・・・」

何か心が読まれたように思われた




『何かご依頼がありますか?』







それが半年前

もう時間はない

「はあ・・・・・」

マーグリスは今日何度目かのため息をついた

マーグリスは自分の部屋で一人の食事していた

ホイタッカーは毎日のようにセーガンにマーグリスを夕食に誘っている

マーグリスがそれに乗ったことは一度もない

ホイタッカーが自分と親密な姿を見せびらかしたいだけだというのを判っていたからだった

「ため息ばかりじゃメシが旨くないぞ」

「わかってるよ。こんな状況じゃしょうがないだろ」

「こんな状況?一回でも変えようとしたか?」

「変えれれば変えるよ。でも無理なんだ」

あれ?

「よく言うじゃないか『やってもいないのに無理なんていうな』とか、まさにそのとおりだよ」

僕は誰に説教されている?

マーグリスは急いで後ろを振り返った

「ふむ平目とポワロ葱のソテーか。なかなか旨そうじゃないか」

机の上の食いかけの好評を言っているこの男は、マーグリスの記憶には全く登場したことのない姿だった

黒いコートを纏い、黒髪、右目だけ赤く、首には大きめの傷跡、なかなか整った顔

「だれだ・・・・・」

マーグリスは驚き3割恐怖3割疑問4割の顔をしていた

その疑問のさらに4割くらいは顔に似合わない酒の臭いについてだった

「大丈夫だ。酒は飲んだが。ちゃんと意識はあるぞ」

そんなことはまだ聞いていない

というよりまた心を読まれたのか?

そんなこと思いながら呆然としていると男はコートの内側をマーグリスに見せた

そこにはGの文字が白い刺繍で縫い付けられていた





「ギルドの者です」




それは自分が待ちに待ったものだった





to be continued.......





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