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ポーション職人の異世界攻略記  作者: リディア


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第31話 歌姫 その7

カナリアの部屋に戻ると、彼女はハクを膝に乗せたまま、窓の外を眺めていた。


「ぷるぷる〜」


ハクが優しく鳴いている。


「カナリアさん」


俺が声をかけると、彼女がゆっくりと振り返った。


「……どうでしたか?」


「やはり、沈黙草の結晶だと思います。でも、除去できます」


「本当に……?」


「はい。二、三日で特殊なポーションを用意します。それを使えば、確実に治ります」


カナリアの目に、希望の光が灯った。


「……ありがとうございます」

「ただ……」


俺は慎重に言葉を選んだ。


「除去の際、少し痛みがあるかもしれません。それでも……」

「大丈夫です」


カナリアが、強い目で俺を見た。


「どんなに痛くても、耐えます。声を……取り戻したいから」

「わかりました」


俺は頷いた。


「じゃあ、明日また来ます。それまで、ゆっくり休んでいてください」

「はい」


カナリアが、ハクを優しく撫でた。


「ハク、ありがとう」

「だいじょうぶ〜! ぷるぷる〜!」


ハクが元気よく鳴いた。



部屋を出て、工房への道を歩く。


クロエとリーシャも、無言で隣を歩いていた。


「お前、本当にやる気だな」


クロエが静かに言った。


「当たり前だ。彼女を助けると決めたんだから」

「失敗したら……」

「失敗しない。絶対に、成功させるんだ」


クロエが、ふっと笑った。


「……やっぱり、ヒナトらしいな」

「それに……」


俺は空を見上げた。


「犯人も、必ず突き止める」

「ああ。それは私も手伝う」


クロエの目が、鋭く光る。


「許さねえ。歌姫を陥れるなんて……絶対に、許さねえ」


肩の上で、ハクが小さく鳴いた。


「がんばる〜! ぷる〜!」


まるで、「一緒に頑張ろう」と言っているみたいに。


俺はハクの頭を撫でた。


「ああ。必ず、何とかする」


明日――いや、カナリアさんが覚悟を決めた時。


俺たちは、彼女の声を取り戻す。


そして、この卑劣な行為をした犯人を見つけ出す。


そう心に誓いながら、俺は歩き続けた。


夕暮れの空が、オレンジ色に染まっていく。


長い夜が、また始まろうとしていた。

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