第21話 リーナの異変
「――おはよ〜ぷるぷる〜」
朝日が窓から差し込む中、ハクの小さな声で目が覚めた。相変わらず可愛い起こし方だ。
「おはよう、ハク」
俺が体を起こすと、クロエとリーシャもすでに起きていた。
「さて、今日はギルドに報告と素材の売却だな」
「その前に、ハクのスキルを整理しておかないか?」
「そうだな。どれくらい増えたか、ちゃんと把握しておかないと」
俺たちは円を描くように座り、ハクを中心に置いた。
「えっと、まず【打撃無効】【ハイジャンプ】【自己修復】【アイテムボックス】【気配察知】【簡易発声】……ここまでは確認済みだな」
「うん〜ぷるぷる〜」
ハクが嬉しそうに震える。
「で、昨日新しく増えたのが……【毒耐性(微)】【素材分離】【痕跡解析】【麻痺耐性(微)】だったか」
「毒と麻痺……」
リーシャが不安そうに呟く。
「つまり、森には毒や麻痺を使う魔物がいるってことだな」
クロエが腕を組む。
「ハニービとか、麻痺トカゲ系の魔物かもしれないな。気をつけないと」
「解毒ポーションと解麻痺ポーション、持っていったほうがいいですね」
「いや。おそらく俺のポーションで問題ない。だから、誰かが状態異常になったら、すぐに声を出して知らせること。連携が大事だ」
「わかった」
「はい」
二人が頷く。ハクも「わかった〜ぷるぷる〜」と震えた。
「【素材分離】は、魔物の体から魔石や素材を取り出しやすくするスキルだな。便利だ」
「【痕跡解析】は?」
「偽造品や毒の混入を見破ったりできるかもしれない。まだ試してないけど」
「……ハク、どんどん化け物じみてくな」
クロエが呆れたように笑う。
「でも、頼もしいですね」
リーシャがハクを優しく撫でる。ハクが「えへへ〜ぷるぷる〜」と嬉しそうに震えた。
ギルドは朝から賑わっていた。冒険者たちが報告書を書いたり、受付で素材を売却したりしている。
「おはようございます、リーナさん」
「あ、ヒナトさん。おはようございます」
受付のリーナが、いつもの笑顔で迎えてくれた。でも、その笑顔はどこか……疲れている?
「今日は討伐報告と素材の売却をお願いします」
「はい。それでは、討伐した魔物の種類と数を教えてください」
「スライムが15体、ゴブリンが10体、猪型魔物が3体、虫型魔物が20体ほどです」
「……すごいですね」
リーナがペンを走らせる。その手が、わずかに震えていた。
「リーナさん、大丈夫ですか?」
「え? あ、はい……大丈夫です」
彼女は慌てて笑顔を作る。でも、その目は笑っていなかった。
「素材はこちらです」
俺は薬草の束と魔石の入った袋を差し出す。リーナが一つ一つ丁寧に確認していく。
「薬草が30束……魔石がE級15個、D級8個……合計で……850シルバーになります」
「ありがとうございます」
「あと、Eランクポーションも持ってきました」
俺はアイテムボックスから、Eランクポーションを10本取り出す。
「透明度が高いですね……相場通り、1本200シルバーで買い取らせていただきます。10本で2,000シルバーです」
「お願いします」
リーナが金貨と銀貨を数えて渡してくれる。その手は、やはり少し震えていた。
「……リーナさん、何かあったんですか?」




