第3話【疑念は徐々に】
放課後の教室。
「やばい、あの土器の模様の動画、またバズってるって」
「見るとなんかゾワゾワするよね」
「変な夢を見た人も増えてるって話だし」
つむぎはうつむき気味に、ポツリと言った。
「……これ、何かの兆候なんじゃないかって、少し思い始めた」
心哉は驚いて彼女の顔を見た。
「兆候って?急にどうしたんだよ」
「気のせいかもしれないけど……なんか、変だなって」
帰り道。
二人の間に、不穏な空気が漂う。
「今日も土偶やら土器の話ばかりで、正直うんざりしてきた」
「でも、何か気になるんだよね…」
心哉は突然足を止めた。
「ねぇ、心哉……これって、私たちが知らない何かが動いてるんじゃないか?」
「なにかって?」
「なにかはわからないけど…」
背後の街路樹がざわざわと静かに音を立てて揺れていた。
「私図書室で調べてみる」
翌日放課後の図書室。
つむぎは古い縄文の本を手に取り、ページをめくっていた。
そこに、クラスメイトの斉藤 遥が声をかける。
「つむぎも縄文の話に興味あるの?」
つむぎは少し驚きながらも頷いた。
「うん……でも、今は何もわからないの」
遥は静かに言った。
「最近、ネットで変な集団が騒いでるみたいだよ。
“結び目教”ってやつ。都市伝説みたいな話だけど、信じる人も増えてるんだよ」
つむぎの背筋がひんやりした。
「なんか…怖いね…」
その夜、心哉も家で縄文について調べていた
その中であるチャットルームがやたら盛り上がっていることを見つけた。
そこでは、“結び目”を巡る不思議な言葉が飛び交っていた。
「覚醒」「繋がり」「ネットワーク」「結び直し」
「やっぱ気持ち悪いな…」
意味はわからないが、心哉の心はざわついていた。