表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

第1話【縄文ブーム】

教室のざわめき。窓から差し込む朝の光。

いつも通りの月曜日。

桐生つむぎ(きりゅう つむぎ)はノートを開きながらぼんやりと考えていた。


「なんか……最近、みんなの話が変なんだよな」


クラスメイトがスマホを見ながら話す声が耳に入る。


「ねえ、この縄文ブームマジでやばくない?」

「TikeTalkであがってた土偶の動画めっちゃ可愛かったよね!」

「見た見た!あのフォルムたまんないよね!」


つむぎは目を伏せながら呟いた。


「縄文?なんで流行ってるんだろね…」


隣の席に座っている高森心哉たかもり しんやもいぶかしげな顔をして話を聞いていた。

心哉はつむぎの幼馴染でなぜかずっとクラスが一緒だ。


「オレもなんか変だと思ってた。意味わからんブームだよなぁ。」



帰り道、心哉とたわいもない話で盛り上がっていた。

つむぎはこの時間がとても好きだった。


「縄文時代ってそう言えば、土器とか土偶以外のことなんも知らないかも」

「縄文時代って、教科書にもろくに載ってなかったよな。1ページか、2ページくらい」

「そうだっけ?もうそんなことも忘れちゃったな」

「俺は縄文なんかより明治維新とかの方が好きだからさ」

「確かに心哉は分かりやすい漫画みたいな話の方が好きだよね」

「おい、今馬鹿にしただろ」

「ふふ。してないって」


その時、つむぎのスマホに突然、謎の通知が来る。


『記憶ハ紡ガレル』


目の前が揺れ、周囲の音が遠くなる。


「な、なにこれ……?」


心哉は眉をひそめた。


「どうした?」


「スマホに変な通知が…ほらこれ」


心哉は目を細めてスマホを見たが、画面には何も表示されていない。


「なんも来てないけど…」


「え…?」


「まったく…土偶の話なんかしてるから…」


夕焼けがじわりと滲んで、まるで世界がゆっくりほどけていくようだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ