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16 陽光と洞窟

<しかし、安請け合いしたものですね。あなた一人でどうにか出来るんですか?>

「だってしょうがないじゃないですか、あのままだとあの人たち全員で乗り込んで行ってましたよ。人質も取られて、更に呪いなんてハンデがある状態ではどう考えても状況はよくなりません。ここは呪いが効かず、尚且つ相手の狙いの美少女である自分の出番ってわけです」

カミ子さんと話しながらガラマ山を登っていく。幸い、登山道の傾斜はそれ程険しくなく、分かれ道なども無いため迷う事もなさそうだ。

 ガラマ山は、最初に辿り着いた村(イマノ村というらしい)から歩いて3時間程の場所にある。山頂の標高はどれ程かは分からないが、今回は登頂が目的ではない。途中にある洞窟に捕らえられているはずの女の子達を助け、そしてその原因を解決出来ればいい。登山や観光はその後でゆっくりすればいいだろう。

 ちなみに、今は一人で登山中だ。イマノ村からガラマ山までは村の若者の一人に案内してもらったが、ここから先は危険だから、とか言って彼とは山の入り口でお別れした。

「しかし、登り始めてもう一時間は経ったと思うんですけど、思ったより疲れてないですね。これも天給のおかげでしょうか?」

<そうですね、疲労を完全に無効化するころは出来ませんが、ある程度軽減は出来ているはずです>

なるほど。……ってあれ?

「カミ子さん、前は『余計な情報は与えません』とか言ってませんでした?」

<あなたがある程度の情報を得て、理解を深めた事に関しては更なる追加情報を得ることが可能になりました>

「おー、それはありがたいですね。それで、自分についての追加情報というのは?さっきは呪いを無効しましたが」

<はい、あなたの天給は【健康】。一番の特徴として、その体は常に最良の状態を保ち、自分の身を犯す毒、呪いの類を無効化します>

 ……これって地味だけどかなり強力なのでは?さっきの村長さんの件で他人の呪いには干渉できない事は分かったけど、自分に対するいわゆるステータス異常系の攻撃が効かないというのは十分戦える能力だろう。

<更に、『代謝機能上昇』『消化機能上昇』『回復機能上昇』『疲労軽減』などが備わっています>

「健康食品の効能かな?」

 こうしてみるとやっぱり地味だなと思う。異世界の能力として、『筋力上昇』とか、『暴食(グラトニー)』とか、『致死武器(スカ―デッド)』とか欲しかったとも思う。

「ちなみに、物理的、魔法的な攻撃に対してはどうなるんですか?」

<………………>

 どうやらまだこれは自分の理解不足により教えてもらえないらしい。その内に試してみるしかないだろう。……痛かったら嫌だなあ。

 魔法に関しては、イマノ村で聞いた話である程度の存在は確認できている。炎を生み出したり、水を操ったりといった不思議な力はこの世界には存在する、と。

ただ、その力はこの世界の全員が持っているわけではなく、イマノ村では余所から来た旅人や騎士が使っているのを見たことがある程度の存在だった。

「しかし、魔法に騎士ですか……いよいよファンタジー世界に転生した実感が湧いてきましたよ」

<そんな浮かれていていいんですか?ほら、見えてきましたよ。あれが噂の洞窟じゃないですか?>

 カミ子さんの言うように、山道の横の岩壁に、洞穴が大きな口を開けて現れた。

 まるで、大きな蛇が獲物を飲み込もうとしているようと待ち構えているようにも見える。

「よっし、行きますか」

<速いですね!?もっとこう、準備とかないんですか?何が待ち構えているか分からないし、見ての通り真っ暗ですよ?>

「いや、村を出る時も防具とか武器とか渡されそうになったんですけど、筋力不足で何も装備できませんでしたし、特に疲れとかもないんで準備もないかなーって。それに、暗闇に関しては準備があります」

 そう言って、村でもらってきたものを取り出す。

「てれれてってて~。陽光石(ようこうせき)~」

<何ですか、そのダミ声は>

「気分ですよ、気分。初めてのファンタジー的なアイテムなのでテンション上げて行かないと」

 自分が持っているのは、形は元の世界のランタンに似た物だ。金属製の外枠、台座の中心に、ガラスのような素材で出来た円柱状の部分がある。そこに入れられているのが、陽光石だ。

 この石は、太陽の力によってエネルギーを生成、蓄積することが出来る。エネルギーを蓄えると発光し、イマノ村では屋内の照明として使用していた他、今自分が使っているように持ち歩いて使う事も出来る。

「日光に当てなくても、曇りや雨の日でもエネルギーを作れるって言うんだから便利ですよねー。元の世界でも欲しいですよ」

<陽光石の純度や加工の方法によってエネルギーの量や質も変化すると言っていましたね。おそらく照明以外にも様々な用途があるのでしょう>

試しにランタンを掲げてみると、洞窟の中の様子が確認できた。道は緩やかな下り坂になっており、入り口には罠や危険物は確認できない。陽光石のおかげで視界も確保でき、探索を始められそうだ。

<村で一番純度の高い陽光石を渡してくれたと言ってましたね> 

「そうですね……少しでも力になりたいって感じでした」

 ここからは、いよいよ本格的に洞窟探索だ。

 送り出してもらった村の人たちの事を思い浮かべながら、一歩を踏み出した。


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