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10  発見と遭遇

少し歩いてみて、分かったことがある。まず自分の事だが、簡単に言うと疲れにくくなった。転生前も運動は好きな方だったが、今は体の軽快さが以前とは段違いだ。これが天給によるものなのか、それとも単純に肉体年齢が若返ったからかは分からないが、当面は徒歩が移動手段になる事を考えるとこれは重要な事だ。

 次に、この世界の事。辺りに生えている草や、見かけた虫などは、元の世界でも見かけるものに近かった。植物や虫が似ているという事は、気候や地形なども似ているという事だと思いたい。ゆくゆくは火山や洞窟などのファンタジー感溢れる所に冒険に行ってもいいが、まずは住みやすい環境が一番だ。

<よかったですね、程よい気候で。私に感謝してもらってもいいんですよ?>

「そうですねー(棒読み)」

 しかし、まだまだ分からないことも多い。何と言ってもまだコミュニケーションが取れる生き物と出会っていないのだ。この世界にどんな生物がいて、それがどんな力を持っているのかも分からない。天給という概念がある以上、魔法などのファンタジー的要素はあることは予想される。試しに以前に読んだ漫画に出てくる方法で魔法を使おうとしてみたが何も起きなかった。

<さっきぶつぶつと唱えていたのは魔法を使おうとしていたんですか>

「ええ、右手から炎を出すイメージだったんですが、火の粉の1つも出ませんでした。もしかして自分……水属性?」

<そういう問題ですか?>

「しょうがないじゃないですか、カミ子さんが何も教えてくれないから、想像する事しか出来ないんですよ。尋ねようにも人が……ん?」

 話しながら、ふと違和感を覚え足を止める。視界の端に、何か光るものが見えた気がしたからだ。

 じっと集中して、今自分がいる小高い丘の上から辺りを見渡す。光るものは自分よりも下の位置に見えた。数は5……いや6つか。どうやら丘の間の道を移動しているようだ。まだ遠くて分からないが、明かりを持った集団のように見える。

「おお……ついに第一異世界人発見ですよ、カミ子さん」

<分かりませんよ?まだ人間かどうか。まあ人間だったとしても友好的かどうかも不明ですし>

 確かにそれもそうだ。相手の事もわからないし、こっちは中身はともかく外見はか弱い美少女だ。慎重になるに越したことはない。

 とりあえず、集団が移動していく先を見る。しばらく進んだ先に森があり、その向こうはかすかに明るくなっているように見える。

「あれはもしかして……村か町があるのかな」

 ということは、あの集団はそこの住人で、帰路についている最中という事だろうか。まあ考えていてもしょうがない。まずはあの集団に近づいてみることにする。念の為に、自分のいる丘の上から集団の背後に回り込むように下りていく。程なくして、その姿が見える位置まで近付くことが出来た。

 道の脇に点在する岩の陰から、そっと集団の様子を伺う。

<どうですか?友好的な感じはしますか?>

「うーん……ダメそうですね。どう考えても、山賊とか野党とかの呼び方がしっくりくる人達なんですよね」

<人を見かけで判断してはいけませんよ?>

 確かにその通りではあるんだけど、見た目は30~40代で全員が斧やら剣やらで武装していて、服は何かの毛皮を加工したようなものを着ている筋肉隆々の集団に穏便に話をする勇気は自分にはない。ここが日本だったとしても、十分に通報される案件だろう。

もしかすると、この先の村に帰る途中じゃなくて、襲いに行く途中なのかもしれない。とりあえず、このまま気付かれないように観察しながら付いていくのが吉というものだろう。



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