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世界樹の魔女  作者: ぺぺん
1章 落とされた幼女
4/9

幼女と家族

さてさて。

森って言ったら…?


(…兎、リス、ネズミ、狼、熊?)


ぱっと思い浮かんだのがそれくらいだったからちゃちゃっと作ってみよう!

そう、実験とはお友達…動物たちを作れるかって事。

本当は人間がどっかにいればいいんだろうけど、この森を作るのに私は結構歩いてみたんだ、この荒野を。

でもね、荒野の切れ目がわからなかった。

この荒野の切れ目が見えないって事は相当広い荒野だって事。

私は体力がないから、そんな荒野をあてもなく彷徨うなんて事はしたくなった。

だから安易に、自分の魔法でなら生物を生み出す事が出来るのではないだろうか…と思って今に至る。


まず、私は家を出て外に出た。

そして両手を前に出し、目を閉じてちょっと心を落ち着ける。

そしたら体の中になんとなく温かいような優しい感じの熱を感じる事ができる。

それを操作して掌に集まってくるようにする。

そしたら出てきてほしいものをイメージする。

出来るだけイメージははっきりと、詳細にしたほうが出来がいい事は昨日までで大分わかった。

そして私はそっと目を開ける。


(…こんにちは)


目のまえには先ほど願った兎、リス、ネズミ、狼、熊がそれぞれ番で3組ずつ現れていた。

それぞれは私の知っている動物たちとちょっとずつ違っていた。

角が生えていたり、ポケ〇ンのように前歯がすごく発達していたり、足が大きかったり、手や爪がすごい事になっていたりと。

ちょっと怖い。

でも彼らからは敵意が全く感じられない。

それどころかどこか私に敬意を持っているような様子がうかがえる。

ちょっと試してみたくなってペコリ、と軽くお辞儀をしてみた。

そしたらみんな慌ててマネするようにお辞儀?してくれた。

とても可愛い。

見た目はちょっと怖いけど、とても可愛い動物のお友達ができた。


通じるかどうかはわからなかったけど、とりあえず私は魔女のようなものな事、ここは元不毛の地であり、私が世界樹を作って森も一緒に作った事、まだ森は狭い事、とりあえず子孫が繁栄して数が増えてくるまではみんな争わないで欲しい事を伝えた。

そしたらみんな私の言葉を理解し頷いてくれた。

凄いし有難い。

草食の子たちは木の実や山菜?が結構森に自生しているからそれでいいとして、他の肉食の子たちには私が魔力(と勝手に思ってる)を使って食べ物を出すから、毎日決まった時間にここに集まってほしい事も伝える。


思ったよりも数多くの動物が現れて、今のままでは森が狭いと思った私は森を広げる事にした。


(…今は半径5キロだから…一気に15キロくらいに広げようか!)


フンスと鼻を鳴らして私はまた集中する。

今度は両手を頭の上に突き出すようにする。

そして森が広がる事をイメージする。


(広がれ~。どんどん広がれ~。広がれ~どんどん~)


私の中の魔力がどんどん掌に吸い上げられているのがわかる。

それと同時に森がザワザワとざわめく。

そして森が広がり切ったのを感じると一気に体の力が抜けるのがわかる。


(あ…やり過ぎたかも…)


そして私の意識は暗闇の中へと落ちて行った。








▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲









目を開けると木々の間から星空が見える。


(寒くない…のは君たちか…)


私を囲むように今朝出した動物たちが身を寄せ合ってくれていた。

守るように。

慈しむように。

この世界に落とされてから、私はずっと一人だった。

だからこの暖かさが、なんだかくすぐったくて…嬉しくて。

ちょっと涙ぐんでしまった。


それを私の一番近くにいた狼くんが、目ざとく見つけ私の頬を舐めてくる。

ありがとうという気持ちを込めて、頭をそっと撫でてあげると気持ちよさそうに目を閉じる狼くん。


(…家族ができたんだなぁ)


彼らはどう思っているのかわからないけれど、私にとって彼らはもう家族。

彼らを守るために。

彼らがより住み良いように。

この森を守り育てて行こうと決めた。


「……ありがとう」


ハッとしたように目を開き、互いの顔を見合ってから再び私を見る彼ら。

彼らはみんな笑顔だったような気がした。


それから彼らの食事を用意して、私も一緒に外でごはんを食べて、その日はそのまま一緒に寝た。

誰かのぬくもりに包まれて眠るのは体だけじゃなくて、心も温かかった。

お読み頂きありがとうございます。

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