アラサー女子と転生物語
これは作者の夢を思い出し、改良しながら書いています。
そのため更新は不定期となると思います。
出来るだけ完結できるように頑張っていきますので、皆様お付き合いいただければと思います。
いつも夢に見ていたのは、自分の大好きなファンタジーあふれる世界だった。
耳の尖った美しい姿のエルフ。
猫や兎、狼などの耳や尻尾を生やした獣人。
ずんぐりむっくりな体型にもじゃもじゃの髭を生やしたドワーフ。
キラキラと鱗粉を振りまきながら自由に宙を飛び回る妖精。
野ねずみのように小さいものから、城のような大きさのものまでありとあらゆる種類のモンスターたち。
そんな誰もが知っているファンタジーあふれる世界を毎夜夢に見ていた。
そんな私ももう三十路を過ぎて早数年。
アラサーからアラフォーに格上げされるまで秒読みを始めた私の人生は常に孤独だ。
まだ人の少ない電車に乗って出勤し、夜もどっぷりと深くなり酔っ払いが一人で座席を占領している様子を眺めながら家に帰る。
会社にいても、自宅にいてもほぼ会話はない。
会社では仕事についての最低限の会話のみ。
勿論仲の良い友人などはいないし必要ないとも思っている。
自宅では一人暮らしで、両親も早くに亡くし兄弟もいなかった為大分昔から孤独であった。
ワンルームの部屋にはたくさんの本とパソコン、必要最低限の生活用品があるだけ。
所謂、私は喪女でヲタクと呼ばれる人種なのである。
帰宅したらパソコンをつけてネトゲにログインするのが日課。
ギルドのみんなに挨拶をしてデイリーをこなし、勃発した戦争があればちょっとだけ参加。
数少ない私にとっての外部との繋がりだ。
日常では全くない会話をゲームの中ではチャットという形で活発に交わす。
ちょっとした仕事の愚痴なんかも聞いてくれるし、聞く。
束の間の癒しの時間である。
その後、シャワーをしてベッドに寝転び、大好きな異世界転生モノの小説を読み漁るのだ。
この世界には絶対にない世界での冒険がとても好きだった。
ご都合主義といわれるものも全然抵抗なく、むしろ好きな方だった。
現実世界での不条理を抱いたまま若くして死んでいった主人公が、異世界でハーレムを築いたり、無双をしていく…なんとも心躍るではないか。
そしてそのフワフワと浮かれた気分のまま、いつの間にか夢の世界へと旅立つ。
これが私の毎日。
毎日毎日変わり映えのない日々ではあったけれど、それで満足…してたのかな。
確かに一人で寂しいとも思う。
誰か傍にいてくれたら心強いと思った時もあった。
けれど、いくら願ったところでそれを手にする事は出来なかった。
外見はとても地味な私。
仕事に追われて、いつの間にか年もとった。
若さでカバーできていたところはもうカバーできず、かといって年の功といえるような特技のようなものもない。
成るべくして私は一人だったのだ。
そんな私だから、異世界転生に憧れるのも仕方なかったのではないだろうか。
現実に満足するしか他ない状況ではあるが、満足しているのかは疑わしい…というか、していなかった。
だから、夢物語とわかってはいるが異世界転生を恋焦がれるように求めてしまっていたのだ。
そんな世間から見たらとてもイタイ私、アラサー喪女の物語が始まる。
お読み頂きありがとうございます。
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