次は大海原! さて、移動方法は……?
「お疲れ様です、ひとつめのミッションクリアですね! おめでとうございます!」
虹色の花畑にはわりとすぐに戻って来ることができた。虹の橋に向かおうと意識すると、目の前にあの導きの雲が現れて案内してくれたのだ。
コナタさんが大多数は惹きつけてくれたとはいえ、しばらくは後を尾けて来る人達がいたのでその間は雲も現れなかったが、乗っているオボロのスピードと、他の人よりも詳しい地理を利用して全員まいて私達だけに戻れば雲がちゃんと現れてくれたのだ。
それからは最初と同じである。
泉に急いで戻れば、ユルルングルが明るく労いの声をかけてきた。
尻尾を泉から出してぺちぺちと泉の縁を叩き、喜んでいる。ショタ感溢れる彼に喜んでもらえるとなんだか達成感もひとしおだ。
ちなみに、エインガナさんは目をつむって眠っているようである。瞳が見えないので、一見すると巨大な岸壁にしか見えない状態だ。体調がよろしくないのは本当らしい。
「あの、次にとりかかる前に訊きたいんですけど、エインガナさんへ運ぶ食料はどんなものがいいかとか……カレーとかじゃダメですよね?」
「うん、ダメですね!」
即答だった。
「ですよね〜」
『なんでそんなにカレー推しなんだよw』
『好物かなにか?』
『里の二の舞になるぞ』
これで別にカレーが好物ではないというところが重要である。美味しいけどね。わりとなんでもありな万能料理だと思っているだけである。
だって、どんな人だってカレーは美味しいって言うんですよ?
このあいだアンケートをしたときだって皆さんそう言ってました! ほら! このツブヤイターの結果を見てくださいよ!!
――――――
カレーは美味しいよね???
※ 気軽に答えてね
はい(48%)
YES(6%)
モッチロン! (12%)
当たり前じゃない? (34%)
――――――
『それはアンケートとは言わない』
『実質一択で草』
まあ、そういうネタである。
それはそれとして、エインガナさんは巨大とはいえ蛇だし、食べ物と言ったらやっぱり卵だろうか? 蛇は卵が好きだもんね。
「それじゃあ、彼女が好きそうな物ってなんでしょう? 教えていただけたら、素材採集と一緒にこなしてきますよ!」
「そうですねぇ、お魚とかも食べますよ。私もお魚は美味しくて好きですし、それに七つの素材のいくらかは海で採れるので、ついでに行ってくるならお魚がお手軽です」
ショタっ子の一人称が丁寧な『私』なのっていいよね。
……と、思いつつなるほどと頷く。
つまり釣りか素潜りかな。あとは竜宮城の洞窟ダンジョンにまた行ってくるとかそんな感じになるだろうか?
これはシャークくんの出番ですね。シャークくんはシャチだし、私が乗れるくらいの大きさもある。海へ行くならもってこいの子だ。ただ……彼ってサンド・オルカなんだよね。砂の海を泳ぐシャチ。
水の中はNGな気もするが……シャークくんで大海原を冒険するのも夢見てはいるんだよね。シャチに乗って海を渡るのはロマン。
だから、彼が海を泳げるようになるような方法があれば試したいという気持ちがある。
……こんなに珍しい素材を知っているんだし、ユルルングルはなにか方法とか知らないだろうか? 訊いてみても損はないはずだ。
よし、思いついたら即実行! 考える前になんとやら、だ!
「なら行き先は竜宮城ですね。あ、それとユルルさんに訊きたいんですが、サンド・オルカが海を泳ぐことができる方法とか……そういうのはあったりするんでしょうか?」
「クォ!?」
抱っこされたシャークくんが驚く声をあげた。
やっぱり海はダメな感じ……? だよねぇ。でも砂漠限定となると結構きついんだよね。砂漠エリアなんてこの子をスカウトした島しか知らないし。
シズクは体の大きな一目連から、善女龍王に進化してサイズが三十センチ程度と小さくなってしまったから。
「海を泳げない聖獣が海を泳げるようになる方法……ええと、ちょっと待っていてください。思い出します」
お、手応えありか? これは。
『待ってそんな方法があったら大発見なんだけど!?』
『そういやこのゲーム、NPCが結構こういう情報落としてくるよな』
『聞かなきゃ言わないだけで聞かれたら答えるよねー、こいつら』
『積極的に質問するのが大事ってことか』
『そうそう、そんな感じで発見されることもあるからね』
『※ただし、要素が増えるとそれだけ検証班が死ぬ』
「うん、思い出しました! えっとですね、目的のひとつである『泡沫の鉱石』と、樹海の奥の沼で採れる『雨受けの皿蓮華』と『アクアビット×10』と『リヴァイアサンの鱗』を錬金術で合成することでできる『海鳴りのお守り』というものがあります。これを使うといいですよ」
「海鳴りのお守り……」
そして錬金術か。
錬金スキルは持っていないし、自分で取るとしても成長させる余裕はない。誰か錬金スキルを使える生産職の人を募集して、協力してもらうのが一番の近道だろうか。
私の呟きを拾ったユルルングルは明るい声で返事をする。
「はい、泳ぎが不得意な属性でも、これがあると不快感を感じさせずに泳げるようになる代物です。それがあれば、元から場所が違うとはいえ、『泳ぐ』ことが得意なサンド・オルカは問題なく海中移動できるはずですよ!」
これは有用だな。
「ただ、お守りを装備することで泳げるようにはなりますが、アクセサリー枠を使いますし、なによりこのお守りをつけている間は攻撃をしたり、スキルの使用ができなくなってしまいます。移動と逃走ならできますが、そこは注意してくださいね!」
「デメリットもあり、ですね。分かりました」
「あと、あまり長時間使いすぎても一定確率で壊れる割合が上がってしまうので、一時間ごとに装備から外してお休みを入れたり、どこかに上陸したりすることを推奨します。一時間までなら壊れる確率はゼロなので!」
「注意事項まで! ユルルさん、ありがとうございます! いろんなことを知っていてすごいです!」
「いえいえ〜、共存者のお役に立てたなら光栄ですよ〜」
照れてる! 可愛い〜!!
頬のあたりを尻尾でかいてルンルンな表情だ。
こちらも有益な情報をもらってハッピーだし、彼も嬉しい気分になってwin-winですね!
だけれど、あれだ。
錬金術に必要な素材が多い。リヴァイアサンの鱗に関しては竜宮城に行けばいいだけだが、アクアビット×10が正直きつい。
スキルを覚えるためのアイテムじゃん……それを10個も使うの……? きつい。
「ちなみに泡沫の鉱石は、浜辺の岩場か、竜宮城付近のダンジョンで採掘をすれば低確率で手に入ります。竜宮城のほうがまだ確率は高いですね。気泡の出ている岩場で採掘すると出やすい……かもしれません!」
「いっぱい喋ってくれるじゃないですか! ありがたすぎる〜!!」
「えへへ、サービスです」
「賢い! 最高! ユルルさん格好いい!! 素敵!!」
尻尾パタパタしてる可愛い。
『これ、掲示板に情報書き込んでいい?』
『あ、錬金術持ってます! はい! はい! はい! 会いたい!!!』
『待て待て、まだ募集すらかかってない』
『素材もまだ取ってないんだから、出番があるにしてもまだでしょ』
『めっちゃ有用やん!!』
『竜宮城イベントの前に知りたかった〜』
『確かにw』
『それだとほら、サメとかイルカとかレンタルされないから……』
『やはり金をむしるために……?』
おっと、掲示板に情報を書き込むのはOKですよ。
うーん、そうですね。錬金術を使える人にお願いするにしても、まずは錬金素材を手に入れてからってことになります。
「ええと、あとは……そうでした。あと海方面だと『深海の灯火』ですね? これは、鬼ヶ島の濡れ姫、ならび牛鬼に交渉して釣り餌の灯火を分けてもらってください。このカンテラに入れて貰えばミッションクリアです。泡沫の鉱石も10個くらいお願いしますね!」
「はーい!」
なるほど、深海の灯火とやらはチョウチンアンコウの光ってる部分か。
確かにあれを受け取るには濡れ姫さんの承諾が必要だろう。
「竜宮城にワープもできますが……」
本来ならば、竜宮城にワープして乙姫ちゃんやサンゴさんにサメやイルカを貸してもらうこともできるのだ。無理にシャークくんで海を行く必要は、本来ならない。錬金素材を探す時点で回り道もいいところだし、リヴァイアサンの鱗をもらいに竜宮城に行くついでにレンタルすればいいだけ。
でも、シャークくんと一緒に大海原の旅をしてみたい気もするしなぁ。
今後、海鳴りのお守りが活躍する機会がまだまだあるかもしれないし……どうしようかな。
……うん。よし、アンケートでも取るか!
皆さんはどっちがいいですか?
今ここで教えてくださーい!!
――――――
①錬金術素材を集めてシャークくんで大海原を行く!
②乙姫・サンゴにサメかイルカを借りる! (有料)
――――――
ときには人を頼るべきって天楽の里で学んだからね!
丸投げとは言ってはならない!!
TwitterアンケートURL↓
https://twitter.com/shigureookami/status/1352370726385246209? s=21
誤字報告ありがとうございます!!修正しました!!




