秘儀 神獣纏『暁光の翼』
見事なマーメイド姿になったサンゴさんを見て、私は思わず手に力が入った。
そりゃあそうだ、感動に打ち震えるしかない。ずっと「あったらいいな」「できたらいいな」と夢見てきた機能の実装……! 聖獣や神獣との合体技……!
これが、興奮せずにいられようか!
「あなたは〜、アカツキくんとオボロちゃん、それとシズクちゃんとなら、みんなもうできそうね〜」
思わずガッツポーズも出るってものですよ!
というわけで。
「じゃ、じゃあやっぱり最初はアカツキで……」
「スキルの習得はエッグをその場で使用することでできるわ〜。条件が揃わないとその場で使ってもなにも効果がないのだけれど〜、今なら『スキル 神獣纏を習得しますか?』って出るはずだわ〜」
あ、そっかアカツキはもう聖獣じゃなくて神獣だから神獣纏なのね。
うん、最初はもちろん、相棒からだ。
というわけでストックしてあるエッグをインベントリから取り出してさっそくその場で使用。
サンゴさんの言った通りのウィンドウが現れ、迷わず「はい」を選択。
――――――
神獣纏『暁光の翼』を習得しました!
――――――
こ、これで……!
これで私も憧れの空を飛べるように……!
しかもちょうどアカツキの名前に相応しい『暁光』の名前が入ってるし! 偶然の一致だとしてもすごく嬉しい……!
「スキルは一度使うごとにエッグが必要になるわ〜? あらかじめエッグにスキルを付与しておく必要があるから〜、いくつかストックしておくと便利よ〜! レベル1の制限時間は二分間で〜、レベルが上がるごとに制限時間が二分ずつ伸びていくの〜!」
つまりレベル最大の5ならば制限時間は十分間。
ボス戦の耐久時間が基本的に二十分だと思うと半分くらいは自由に変化して逃げ回ることも、攻撃を加えることも、そしてギミックを解くこともできるわけだ。
説明部分を読むと一度に使えるエッグはひとつだけ。他の種類のエッグとの同時使用もできず、まあこれは当たり前だが……ひとつのエッグを使った後に違う種類のエッグを使うということもできない。
つまりアカツキのエッグで変身したあと、解除後にオボロのほうですぐに変身! とはいかないようだ。
同じカテゴリーの道具とスキルであるため、その辺りの制限はしっかりとある。クールタイムは二十分。ボス戦で使うにしても一度きりしかできないな。そのボス戦でどれを使うかという悩みもできるかもしれない。
「このスキルも任意詠唱を作ることができるから〜、お好みでスキル起動のキーワードを設定してみるといいかもですわ〜!」
よし、あとで絶対に決めよう。これは格好良く決めたいもんね!
どきどきしながら、さっきのサンゴさんがやったように……えっと、さっきのでエッグにスキルは付与されているはずだから……と、アカツキの額にある太陽のような模様と全く同じ模様が刻まれたエッグを肩の辺りに持っていく。
「アカツキ、お願いします」
「クァーッ!」
翼を広げて鳴いたアカツキがその額を押し付けるようにしてエッグに触れる。すると緋色の炎に包まれるように私の周りが光で満たされ、背中に収束。火の粉を散らして白から緋色に変わっていく大きな翼が生えた状態で光が霧散した。
手は……変化していない。足も……変化はなし。
あ、でも頭にアクセサリーが増えてる? 頭にあるお面のようなものに触れて確かめてから、取り外せないか試みてみるものの、取り外して見た目を確認することができない。
あ、メニュー開けば全体図が見れるか。
思いついてメニューを開くと、そこにはカラスのお面を頭の横につけた私の姿が映る。
背中に大きな翼があり、頭にはカラスのお面がアクセサリーで追加。多分モデルは鴉天狗あたりかなあ? 元から装備している一本歯の下駄がますます天狗っぽさをかもしだしている。
「んー、意外と動かすの難しいですね……」
「イメージが大事よ〜。マーメイドは足を動かすのとほとんど変わらないから苦労はしないけれど、元々なかった体の部位ができたようなものだから〜少し慣れるのが大変かもしれないわ〜。今のうちにコツを掴んでおくといいわよ〜」
背中に違和感。
腕を動かすようにして動かそうとしてみるものの、なんとなくぎこちない動きになる。背中に神経が繋がっているかのような錯覚を起こしそうになるほど、かなりリアルに翼の動きは感じ取れるんだけど……何回か飛ぶ練習をする必要がありそうだ。
「ちょっとこのまま、飛ぶ練習してみます」
「それなら〜、変身状態だと『練習』の項目が出てくるはずよ〜! そこで思う存分練習するといいわ〜! ただし、魔獣の出ないセーフティエリアでしか『練習』はできないから気をつけてちょうだいね〜?」
メニューを開いてみると、確かにそこにあった『プラクティス』の文字。というか練習の文字。これを選択して説明書きを読むと、街などのエリア内でだけ無制限に変身したままでいられるモードのようだ。
確かにこれならなんとかなりそう。二分だけで完全に習得するのは難しいだろうし、正直すごく助かる!
「なるほど、これなら本当に竜宮城の中を飛びまわれそうですね。このまま練習してきます」
「分かったわ〜、わたしは呼べば駆け付けられるようにしておくから〜、存分に楽しんでちょうだいね〜」
このサンゴさんの分身は私専属なので呼べば来る……ということだね。
さて。
「これからつまらない映像が続くと思います。なのでいったん配信を切って、もう一度飛ぶ練習の配信に切り替えるので、興味がある人はそちらに来てくださいね」
助走つけて飛ぶ練習……はまだできない。
まずはまともに翼を動かせるようになることからだ!
オボロやシズクの纏もそのうちお披露目したいですね。
・ご報告
章タイトルをスタンプラリー編と竜宮城編で増やしました。
◇
一部のプレイヤー「擬人化ケモまだー???」
運営「……」
一部のプレイヤー「萌え擬人化の実装を! ケモミミ! シッポ!」
運営「はい、実装」
>>聖獣纏<<
一部の(略)「違う、そうじゃない……!」
運営「お前がケモになるんだよ!!!!」




