矛盾
悲しくて、胸糞悪い話です。見たい人だけ見てください。感想待ってます。
小さい頃の僕にとって世界はとても美しくて、輝いて見えていたんだ
小さな箱庭でできるいろんな友達。優しくて時に怖い両親。
いたずらしたら怒られて、上手にできたら誉められて。
それが僕にとっての当たり前で、周りにとっても当たり前だと思っていたんだ。
小学校六年生の春。転校してきた子に親友が構うようになったんだ。
それは、僕にとって許せないことで、子供にとって大事なおもちゃをとられるようなものだったんだ。
転校してきた子にとっては、ゲームみたいなものだったんだよ。
僕がその子と遊ぼうと約束した日にわざと連れまわしたり、僕とその子が喋りながら歩いていると背中を押され、なんだろうと振り替えると、当たり前のようにその子の隣にいてこちらには目もくれないんだ。
僕は、必死に我慢したよ。だって、僕には他に、いじめで心を傷つけられて、自殺未遂をしようとする幼馴染みをしっかり見ていて、刃物を持ってないか、精神が安定しているかを見てなくちゃいけなかったんだ。
辛くても、悲しくても、表に出したら、それに幼馴染みが引きづられてしまうかもしれないから。
本当にいっぱいいっぱいで、とうとう親友と喧嘩しちゃったんだ。転校生にも怒ったんだ。何で僕と親友が一緒にいるの邪魔するのって。遊ぶんならみんなであそぼって。その声を聞いて先生が来たんだ。喧嘩してると思ったようで何があったのって聞いたの。したら転校生が泣き出して、悪いのは私なのって言うんだ。私が親友と仲良くなったからって。そしたら先生が鬼のように怒るんだ。僕は、親友と遊びたかったのに遊べなかったからどうやったら遊べるようになるか考えて、今までのこと謝ってほしくて提案しただけなのに。それに、意地悪されてたのも僕だ。なのに僕が意地悪したみたいに言うんだ。僕が口を開こうとすると、言い訳は聞きたくないって言って両親を呼んだんだ。僕は悪くないのに大人はみんな謝りなさいって言うんだ。
──────まるで全部僕が悪いといってるみたいだった
誰も僕のいったこと信じてくれないんだ。転校生とも親友とも誰とも会いたくなくて初めて仮病で学校を休んだんだ。
それから、どうしたら親友いや、元親友たちと会わなくてすむか考えて、私立の中学校を受けようと決めたんだ。
なにもしないでいたら、みんなと同じ中学校にいくことになるからね。
中学校に通うってなったとき、すでに僕は人間不信になりかけていたんだ。
あんなことがあったんだ。きれいなままの僕ではいられないよ。それでもまだ世界はきれいなんだ。悲しいくらいにきれいだったよ。
もうあんなことがないようにって一人でいたんだ。でもね、自分で決めたことなのに寂しいんだ。みんな楽しそうで、僕だけ仲間はずれにされたみたいだったんだ。そしたらさ、僕に話しかけてくれた子がいたんだ。とても優しくて、いつの間にか友達になってたんだ。
でもね、文化祭の時に言われたんだ「付きまとうな鬱陶しい!お小遣いがないんでしょ!一緒にいる意味がない!」って。ずっと一人でいたからいいかもにみえたんだね。
──────また、僕は傷つけられた
体の奥底でね、なにか砕けた音がしたんだ。その瞬間だった。僕の世界からは色が消えた。もちろん色の認識はできるよ。僕の中から感情が消えてしまったから世界がきれいに見えなくなったんだ。不思議だったのが、その場面を見ていたお母さんが、泣きながら抱いてくれたんだ。階段から落とされたわけでも、切り刻まれたわけでもないのに、まるで僕が死んじゃったみたいに。
でもね、学校にはちゃんといったよ。この学校は後少しで卒業だから、次の学校で失敗しないように観察してたんだ。どういう話し方、キャラ、仕草などが、僕がしたときに違和感がないか。自分じゃ意図しないとできない表情の観察。本当は、そのまま高校に行ってもよかったんだけど、両親が違う学校に行きなさいって。せっかく中学受験したのにね。
しかも、精神病院に行かされたときは驚いたよ。まあ、普通の人の心理、表情の変化、常識を観察してたから、問題なしだったけどね。
高校では、おとなしくて、本が好きな子で優しい子だよ。最初は、人見知りでおどおどして、誰か話しかけるのを待っていて、笑うとかわいい子。目立ちすぎず、でもおとなしすぎないようにするのは難しいね。でも、これが普通なんだよね。
人を殺してはダメ。自殺もダメ。自分はこんなに汚くて醜くて、素を出したらすぐ捨てられる。勉強も運動も普通から逸脱すると、嫌われる。しすぎると体が壊れる。自分はいつ死ねるんだろう。自分はいつか狂うんじゃないか。
───────自分ってなんだったっけ。
わからない。自分は何をしてるのだろう。
いつ犯罪を犯してもおかしくない。だってまた、体の奥底から...
世界はきれいなんだ。鮮やかでキラキラしているんだ。
世界は悲しいくらいに残酷だ。どろどろしていて汚いんだ。
僕はそれを知ってしまったんだ。
世界はどこまでも矛盾している。
きっとそれを見るとその人も矛盾する。
今日もまた、僕は笑うんだ(泣くんだ)