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第六話 『救出作戦 開始』

「……ご注文の品を届けに仕った。テバ殿は其方か?」


 冒険者ギルドを出ると、黒装束の男が目の前に現れた。フードを深く被っていて顔が見えない。


「えっと、誰?」

「ああ、テバさんに紹介しますね。彼は私のクラスメイ――」

「闇の者でござる」

「へ? いや、だって影村くん――」

「影の者でござる」


「…………テバさん、彼は影の者です」

「諦めるなよ!」


 死んだ魚のような目になるナツミ。影の者だと名乗った男は、背負った風呂敷から勇者の剣を取り出した。

 こいつがナツミの知り合いの鍛冶師なのか!


「テバ殿。勇者の剣は壊れてなどおらぬ。眠っていただけでござった」

「どういうことだ?」

「持ち主が更新されて眠っているのでござる。何かの拍子で目覚めるとは思うが……とりあえず、魔力を補充しておいたので役立ててくだされ」


 影の者から勇者の剣を受け取る。膨大な量の魔力が宿っているようだが、一度使うと無くなってしまうだろう。まあ、ナツミの友達を救い出すには十分だ。


「して、ナツミ殿に良い知らせと悪い知らせがあるでござる。どちらから聞きたい?」

「私としては影村君が忍者になってる理由が聞きたいんですが。武士言葉もちょっと変ですし……あ、悪い知らせからお願いします」


 ナツミの言葉に、影の者はフードを脱いで素顔を晒す。黒髪黒目の少年の顔。その顔に残る火傷の跡と開かれた瞳孔が惨状を物語っていた。


「拙者と同士たちも甘地(アマジ)の所業を止めるべく動いていたのでござるが、魔王軍の襲撃を受けて同士たちが意識不明の重体に陥ったでござる」

「そんな! みんなは無事なんですか?」

「死んでいないとしか言えないでござる。そして、最悪な事に甘地がダンジョン遠征を切り上げて王都に帰ってきているとの情報が」

「──ッ!」


 最悪の状況だ。ナツミの友達や他の外来勇者をお菓子で【洗脳】した犯人――アマジが返ってくるまでに十分な準備時間があると思っていた。今すぐにでも助けに行かなくては。


「影の者、良い知らせは何だ?」

「一人の男が援軍に来ているでごさる。外来勇者中、最強の男が。奴は想い人を傷つけた魔王軍を滅ぼしてから、甘地を止めに来てくれるでござる」


 つまり、俺たちが無理に交戦する必要は無いのか。ならば勝機が見えてきたな。

 アマジが返ってくるまでに洗脳されたナツミの友達と外来勇者を連れ出せばいい。


「わかった。ナツミ、今すぐ王城に乗り込んで友達を連れ出すぞ」

「はい!」

「拙者はやるべき事が残っているので、さらばでござる!」


 ドロンと煙を上げて影の者は消え去ってしまった。


 さて、時刻は夕飯時を少し過ぎた頃。お腹が空いたな。さっさとナツミの友達を連れ出して、今日の夕飯はご馳走にしよう。


 俺とナツミは重い足を走らせて王城に向かった。

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